1989年創立 個の出会いと交流の場 研究会インフォネット
HOME 研究会インフォネットとは 会員規約 お問い合わせ
会員専用ページ
過去のINFONET REPORT カレンダー 会員連載エッセイ なんでも掲示板
会員紹介 財務報告
会員連載エッセイ
最近の記事 以前の記事
葉山日記
28 窮鼠、猫をかむ
2003年10月15日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ 秋まき野菜のシーズン。指導してくれるセミプロ氏(手前)の植え方はやはりどこか違いますね。
ネコに追い詰められたネズミが決死の反撃―明日(10月17日)行なわれる日本道路公団の藤井治芳総裁解任に関する聴聞会の話には、そんな緊迫した雰囲気が漂う。本来秘密会で行なわれる予定だったのだが、総裁本人の希望で報道関係者に公開されるという。

「うやむやのうちに国家権力の言うがまま首を刎ねられてなるものか」という藤井総裁の執念のようなものが伝わってくる。世上、藤井総裁はまごうことなき悪役で通っている。ネコに追いつめられるネズミに喩えるのはおこがましい、フセインにも比すべき悪の権化。若い石原伸晃国交相が手玉に取られてかわいそう、という向きもあるかもしれないが、ここは少し冷静に考えてみたい。

藤井氏は国交相に就任したばかりの石原さんに会うにあたり、辞任を覚悟のうえでのぞんだのではないかと思う。石原さん、引導の渡し方を間違えたのではないか。マスコミや世間のムードを背景に、理屈抜きの感情的な議論で藤井さんを攻め立てた。藤井氏にすれば、苦労知らずの若い2世議員、小泉と父親の後光を背景にえらそうなこの青二才めが、と自分でも予期せぬ反抗心がとつぜんむらむらと湧きあがってしまった、というところではないか。

石原氏の若さを感ぜずにはいられない。もし彼が「長い間のおつとめご苦労さまでした。いろいろな思いはおありでしょうが、ここはひとつ潔い辞任表明でこれまで築き上げられた名誉をお守りになっては。総理もそのことを望んでおられます」とプライドを傷つけない納得のさせ方があったような気がする。

人間だれしもプライドというものがある。往々にして自分自身に対する評価は、他人からの客観的評価よりも高い傾向がある。ましてやこれまで日本の道路建設を担ってきた、と自負する仁である。その自信、プライドの高さは周囲の想像をはるかに絶するものがあるだろう。

石原さん、たぶん話の進め方を間違えた。この初老の「能吏」の強烈なプライドをおもんばからず、得たばかりの地位を背景に高圧的な話の切り出し方をしてしまった。もしくは藤井さんの、慇懃無礼なふてぶてしい態度に思わずカッときたか。こうなると売り言葉に買い言葉、2人の議論の場はかなり感情的な雰囲気に包まれてしまったであろうことは、藤井さんが、公団に群がった悪徳政治家のイニシャルまで口走った、という石原さんのコメントから想像がつく(こういうことをテレビの討論番組で軽々にしゃべってしまうところが石原さんの若さでもある)。

以上のような光景が目に見えるように浮かぶのは、かつて僕自身に似たような体験があるからだ。年上の部下職員に退職勧告を下したことがる。彼のそのときのすさまじい「反撃」が今でもはっきりと思い浮かぶ。その部下に明らかな怠慢があっての退職勧告ではあったが、追いつめられた人間、職を失うかどうかの瀬戸際に立たされた人間の執念、逆襲というのはすごいものだ。ましてそれが年長者からのものならまだしも、自分より若い上司からの宣告、となるとその感情は捻じ曲がってさらに加速度がつく。

逃げ場を残さずに他人をとことん追いつめても良いことはけしてない。「闘争」の結果、こちらが失うものもそれなりに大きいのだ。そのことを僕自信肝に銘じているだけに、明日の聴聞会の行方が気にかかる。

藤井総裁にはこれまで同情心などこれっぽっちもなかったし、辞めていただくのがいいとは思うが、今回だけは石原大臣の若さと「立身出世」ゆえの傲慢さにお灸をすえるべく、藤井さんにはすこしばかり踏ん張ってもらいたい。


※ 本記事に関しては、その後10月21日付け朝日新聞サイトにかなり私の考えと近いものがでています。参照ください。
http://www.asahi.com/column/hayano/ja/TKY200310210119.html
最近の記事 ページトップへ 以前の記事
ボーダーを越えて
雨宮 和子
かくてありけり
沼田 清
葉山日記
中山 俊明
寄り道まわり道
吉田 美智枝
NEW
僕の偏見紀行
時津 寿之
老舗の店頭から
齋藤 恵
ぴくせる日記
橋場 恵梨香
縁の下のバイオリン弾き
西村 万里
やもめ日記
シーラ・ジョンソン
徒然.... in California
明子・ミーダー
きょう一日を穏やかに
永島 さくら
ガルテン〜私の庭物語
原田 美佳
バックナンバー一覧
123 富士三昧
122 断捨離(2)
121 断捨離(1)
120 喪中につき
119 いろいろあった2014年
118 年賀状考
117 新年号準備中
116 あの日の朝
115 心に響いたことば
114 僕の海
113 ウィンドサーフィン
112 無心の境地で
111
110 64歳のスタート
109 妻との会話
108 坂の上の雲
107 「変人たち」の一瞬
106 歯みがきチューブ
105 宣告(下)
104 宣告(上)
103 とんがりコーン
102 グローバル戦略(1)
101 大臣辞任
100 なにはともあれ
99 ガラガラポン
98 野球とハリケーン
97 ある土曜日の記録
96 続・決定的瞬間
95 鳩時計(下)
94 鳩時計 (上)
93 決定的瞬間
92 HANG IN THERE
91 残すか、捨てるか
90 同窓生
89 去りゆく夏
88 東京タワー
87 立ち位置
86 エッセイ再開
85
84 侮るなかれ、恐れるなかれ
83 整理
82 孤独
81 写真家
80 鬼怒川温泉
79 夢物語
78 SOMETHING
77 還暦
76 花盗人
75 ホリエモン(下)
74 ホリエモン(中)
73 ホリエモン(上)
72 フィルムが消える日
71 新年読書三昧
70 下請け
69 蝉しぐれ
68 インターネット時代のジャーナリズム(2)
67 インターネット時代のジャーナリズム(1)
66 海坂
65 刺客
64 麻酔
63 偶然
62 六本木の病院
61 波乱万丈
60 シ・ア・ワ・セ
59 「老害」を打破せよ
58 「ライブドア」対「楽天」
57 ブログってなに?
56 ブログ戦争
55
54 不思議な「装置」
53 釈明不要
52 皇族の自己責任
51 皇太子発言
50 異常のなかの日常
49 ロバート・キャパ
48 コンテンツ(最終回)
47 コンテンツ(9)
46 コンテンツ(8)
45 コンテンツ(7)
44 コンテンツ(6)
43 コンテンツ(5)
42 コンテンツ(4)
41 コンテンツ(3)
40 コンテンツ(2)
39 コンテンツ(1)
38 下戸
37 野狐禅
36 続々・年賀状考
35 続・年賀状考
34 年賀状考
33 思考スパイラル
32 龍志の遺稿
31 冷たい風
30 先延ばし
29 「有栖川宮」
28 窮鼠、猫をかむ
27
26 リタイアメント
25 続・大胆予測
24 大胆予測
23 執筆方針やや転換
22 バングラデシュ
21 すりかえの論理
20 囚人のジレンマ
19 野合
18 便所の落書き
17 バナナとタマゴ
16 日本の景気は回復する
15 土地について考える
14 ドメイン −5
13 ドメイン −4
12 ドメイン −3
11 ドメイン −2
10 ドメイン −1
9 「19%」の意味
8 僕らの世代(2)
7 僕らの世代(1)
6 ど忘れ
5 スペースシャトル
4 80年代初頭の写真
3 ハンバーガー
2 ゆでガエル
1 止揚
ページトップへ
Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved. Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラスト等、全てのコンテンツの無断転載・複写を禁じます。
0 7 6 0 7 5 2 7
昨日の訪問者数0 4 4 6 3 本日の現在までの訪問者数0 2 0 6 1