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葉山日記
29 「有栖川宮」
2003年10月24日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ オフィスから見える公園で、ラジコンヘリを飛ばすひとが見えた。でもこれって、ちょっと危険なんじゃないでしょうか。
経済不況とあいまって、さいきん暗いニュースばかりが続く。そのなかで久しぶりに楽しい話題だ。例の「有栖川宮家」を装った結婚披露パーティー詐欺。今年4月6日、東京都港区の会員制クラブで、招待客など参加者約400人から祝儀名目に現金約1200万円と絵画一式をだまし取ったという事件だ。

いやしくも詐欺事件ではないか、楽しい話題とは不謹慎だ、と怒る方もあるかもしれないが、まあ聴いてください。この事件、さほど深刻な被害者はいない。引き出物の銘々皿製作者が300万円ほどの被害にあったようだが、これは常識的な商手続きを踏まなかったということで致し方がない。

とくにおかしいのは、「参列者」たち。「私も皇族の披露宴に招待されるまでになったか」と感激し、着飾り、喜び勇んでかけつけたひとが多かったらしい。ありきたりのサンドイッチやソーセージという食事や、新郎新婦との記念撮影代1万円というイベントに「あれ?」と思ったひともいたことはいたらしいが、式はたいした波乱もなく無事終了してしまったというのがまたおかしい。皇族の「威光」というのは現代においてもそれほど強力なものなのか、ということをあらためて知らされた。

出席者の被害でいうと、ご祝儀1200万円をその数で割ると、平均ひとりあたまで3万円。報道によれば、5千円のひともいたし30万というひともいたらしい。「皇族」の結婚式に5千円のご祝儀持参、というのがいかにもおかしい。畏れ多くも「皇族」の結婚式ですぞ。5千円を包んだというのはどんなひとか、想像するだけでおかしい。ま、面白い体験をさせてもらった、ということで参列者はあきらめるしかない。

式は「経費」を引くとけっきょくトータル赤字で、容疑者にほとんど儲けがなかった、といところがまたおかしい。

僕自身、現役カメラマン時代に宮内庁を担当をしたことがあり、天皇家の身近で写真を1年ばかり撮った体験がある。そこで宮内庁記者とのつきあいもあったのだが、これがおかしいのですね。あの皇居のなかで仕事をしているとなにやら気がつかぬうちに人間が変質していくものらしい。若い頃、学生運動で活躍していた、思想的にはかなりラジカルで、天皇制には批判的な考えを持っていると思える記者が、数年経ってみると、皇室礼賛本かなんかを出版したりする。人間は時とともに変質していく動物であるから、変わること自体あまり批判する気はないが、それにしても変化のしかたがすさまじい。あれはいったいなんであろうか、というのが当時から気にはなっていた。

以前、PR代理店勤務の知り合いから相談をもちかけられたことがある。「ある企業が主催するメセナのオープニングセレモニーに、××の宮様のご臨席をたまわりたい。宮内庁に頼んでみたが断られた。どうすればよいでしょうか」というものだ。

「宮内庁総務課に電話されたのですね」
「そうです」
「宮内庁としてはそういう案件には対応しません、と言われませんでした?」
「は、はい、その通り。やっぱり無理なんでしょうね」
「対応しません、と言ったのでしょう。それは、だめです、ということではないですよ。宮内庁の所管ではありません、と言っているだけです」
「そ、そうなんですか。ではどうしたらよいのでしょう」
「××宮家の電話番号調べて、直接電話してみてはどうですか」
「えー、そんなことをしていいのでしょうか」

かくのごとく、PR業務に携わってきたひとでも、「あの方々」の世界はまったく別世界だと思っている。電話しながら、相手がとても緊張しているのが伝わってきてそれがまたとてもおかしかった。折り返し電話があった。

「驚きましたよ。思い切って宮家に直接電話しました。あっさりOKですよ」
「そんなもんですよ」
「しかし驚いたなあ。最初に電話に出てきたの誰だと思います?××宮ご本人ですよ。ハイ××ですって。あわてましたよ」
「そんなもんでしょう」
「事情話したら、結構ですよ。それで終わり」
「そんなもんでしょう」
「いやはや、ありがとうございました。こんなにあっさり行くとは夢にも思わなかった。クライアントに大きな顔ができますよ」

当然ながら臨席の××宮には、「お車代」が出たであろう。その額がいくらだったかは知らないが、主催企業にとっては、その額がいくらであったとしても、宣伝・広告費に換算すれば安いものだ。しかもいくらこれが高額であったとしても、税務署はぜったいケチをつけない。企業は領収書を求めはしないし、××宮がその領収書を書くわけはないし、税務署がその提出を求めることは絶対にない。

皇室をうまく利用すればビジネスチャンスはいくらでもあるのですよ。「有栖川宮」さん、もう少しうまくやればよかったね。でも楽しい話題をありがとう。

※念のため。僕自身はPR会社から謝礼はいっさいいただいておりません。
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