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続・年賀状考 |
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2004年1月8日 |
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 | 中山 俊明 [なかやま としあき]
1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。 |
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(以下は、僕の前回エッセイ「年賀状考」を読んだ会員の雨宮和子さんが、このサイトの会員掲示板にアップしたコメントです。これに関連して、「続・年賀状考」を書こうと考えたのですが、雨宮さんの文章をまず読んでいただいた方が良いと思うので、ご本人の了解を得て全文転載させていただきます。私の原稿は「続々・年賀状考」として次回に。)
私はいわゆる年賀状ではなく、年末年始のごあいさつをクリスマスカードと代わりとして出します。宛書きはコンピューターで。(2001年のごあいさつカードは手製だったのですよ。)カードのほかに、1年のまとめの報告を英語と日本語の両方に短くまとめたものを同封し、その上にさらに必ず何か一言手で書くようにしていました。筆無精の連れ合いには、彼の友人宛のカードをお膳立てして、彼自身にも一言書かせていました。
最近はクリスマスレターをクリスマスカードの代わりにする人たちが増えてきたのですが、その多くはつまらないんです。息子がフットボールの奨学金を得たとか、娘が水泳チャンピオンになったとか、夫婦でどこそこへ出かけて友だちのだれそれと食事をしたとか、ペットの猫が隣人の犬とけんかしたとか、読む側にとっては顔を見たこともない人たちのどうでもいいようなことが長々と書いてあると、悪いけど、うんざりして全部読むのがばかばかしくなってきます。
友だちにはそんな思いをさせないよう、私は年末の「報告」は決して長くてはいけないと心掛け、レターサイズ(ほぼA4と同じサイズ)の半分におさまるようにしています。それを書き上げ、練り直し、そしてまた練り直し、と丸2日ぐらいかけて完成させ、プリントします。そうして、滅多に会わなくても繋がりは保っておきたいと思う人たちに送っていました。義理でごあいさつカードを送るということはしません。それは中山さんと同じ思いです。
が、2002年は1通もカードを出さずに、2003年を迎えてしまいました。姪が重病で、とてもその気になれなかったからです。そうしたら、今年、久しぶりに会った人たちから、去年はカードが来なかったからアボカドは止めてどっかへ引っ越しちゃったのかと思ったとか、年末の「報告」がこなくて淋しかったとか言われ、改めてごあいさつカードの意義を認識したのでした。それで、2003年はしっかりカードを出そうと心がけました。
本当は手作りのカードを出したかったのですが、そんな時間はありません。それで2003年に完成した私たちの「肖像画」を撮影してプリントし、カードを作ったのです。その「肖像画」というのは、仲良しのアルゼンチン出身の画家、アルフレード・アントニーニ氏に依頼したものなのです。
普通の重苦しいような肖像画はいやなので、芸術家の想像性を十分発揮して自由に描いてくれと頼んだら、アルフレードは、それではルネッサンス時代に盛んに描かれた聖母マリアと赤子のイエス・キリストの画像をモデルにすると言ってきました。反カソリックのアルフレードですから、それはパロディーにもなるわけです。それはおもしろい、と私たちも承諾して、取りかかってもらいました。完成するまでに1年以上かかり、完成までは一切見せてもらえなかったのですが、待った甲斐があると思ったほど傑作なのです。
完成して壁に掛けたときには、友だちをよんで除幕パーティーを開きました。幕(といってもシーツを代用したのですが)を取ったときには、思わず、オーッ!という静かなどよめきが上がったほど。タイトルは Madonna Amemiya with Baby Royden and Angels。Baby Roydenというのは私の連れ合いで、私の膝の上に坐っています。Angelsというのは、同居している犬2匹と猫2匹とオウム1羽で、全員が私の周りにいるのです。Madonnaの私は、地に足をしっかりつけてどっしり坐っています。そんな絵をクリスマスの時期のカードにしちゃったわけです。
連れ合いの友人にはクリスチャンもいますから、連れ合いは「このカードはクリスマスの宗教的意味はない」と、いちいちことわり書きを添えていましたっけ。私としては、受け取った人がこのカードを見て、ワッハッハと笑って愉快な気分になってくれればそれでいいと思っていたのですが、それ以上に好評で、「ユニークだ」とか、「ユーモアにあふれている」とか、「すばらしいカード」だとか、普通のクリスマスカードには聞かれないコメントをあちこちからいただきました。コンピューターですべて処理したとはいえ、心をこめて作ったと思っていますので、喜んでくれた人がいて、とってもうれしくなりました。
ところで、中山さん、私の母も「太く短く生きたい」と言っていたのですよ。業績を残した訳では全くありませんが、彼女なりに太く生きて、42歳になる8日前に短い生涯を終えてしまいました。それで私は伯母(母の姉)に、「太く短く生きるなんて言ってはいけない」と言い聞かされましたっけ。おかげさまで(?)母より既に14年も長く生き延びております。
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