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葉山日記
36 続々・年賀状考
2004年1月16日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
前々号で書いたとおり、数年分の年賀状住所録ファイル失くしてしまったがために、昨年暮れの賀状発送はかなり混乱した。仕方なく保管していた年賀状の束をチェックしつつ作業を進めたが、加えて、オフィスのある東京・中野と自宅・葉山に郵便物が分散していたのが混乱を増す結果になった。

やはり失敗が見つかった。喪中連絡をいただいていたのに年賀状を出してしまったのが数件あった。この「喪中につき新年のご挨拶を控えさせていただきます」というのは、分かるようで分からない風習ではある。身内が亡くなったので1年間は喪に服します。喪中であるからお祝いごとは1年間避けます。ここまでは分かる。であるからしたがって「おめでとう」というご挨拶もお受けしかねますーというメッセージなのだろうか。さらに、この喪中扱い?になる身内、親族の範囲はどこまでか、何親等までと決まったものがあるのだろうか。「喪中」連絡をいただいた方に年賀状を出す、というのはほんとうに失礼になるのだろうか。「明けまして」と書くのだから年明けとともに「喪」は解除されたと考えてもいいのではないかーとまあいろいろなことを考えてしまったわけだが、それというのも最近とみに喪中連絡が増えてきたせいもある。自分が歳をとった証拠だろう。

「いただいた年賀状には必ず返事を差し上げる」ことをこころがけているが、うーん困った、というのが結構ある。年賀状を出す。返事が来ない。その場合はよほどの方でない限り、翌年は年賀状を出さない。これは相手に形式的な返事を出す気遣いをしてもらいたくないからだ。ところがその出さなかった相手から、翌年年賀状が舞い込む。つまり相手は過去2−3年分の年賀状を束にしてせっせと賀状書きをしているであろうことが想像できる。

こちらはいただいた以上は返事をだす、という原則がある。そしてさらに、その年の暮れにはこちらから賀状を差し上げる。するとその返事は来ない。だがらその年の暮れにはこちらも出さない。しかしまた向こうから年賀状が来る−というように1年おきの年賀状のやりとり、という奇妙なケースもけっこうある。今年からこういう儀礼的やりとりは思い切ってこちらからやめていこうと思う。こっちからストップするのは失礼、という意識があるからずるずると意味もないやりとりが続いてしまうのだ。

アメリカ人は…、というような決めつけ方は好きではないのだが、この際あえて。「アメリカ人はプライバシーをとても大事にする」と一般に言われる。プライバシーを大事にする、ということはいったいなんだろう。自分の私的な領域に他人を侵入させない。または他人の私的領域に干渉しない、ということだろうか。

そこでこの際、アメリカから来るクリスマスカードに添えられてくる「近況報告」である。僕の場合は、アメリカ人ではなく、アメリカに住む日本人のケースが多いのだが、これには前号で紹介させてもらった雨宮さんの指摘どおり、どうでもいいプライベートなことが書きつらねられていて実は閉口していたのである。日本人とはいえ、在米期間が長いひとほどこういった「プライバシー報告」が長い。つまり現地アメリカの風習に従がった結果そうなってしまったのだな、ということがわかる。アメリカ人はお互いのこういったプライベート情報のやりとりを楽しんでいるんだな、とこれまで思っていたが、やっぱり関係のない人の話は、国がどこであろうと面白くはないのだ、ということが雨宮さんの報告で分かってほっとした。

プライバシーを大事にする、家族を大事にする、のは大いにけっこうなのだが、それにしても、そのプライバシーをどうしてこう他人に語りたがるのだろう。財布入れのなかのファミリー写真。自分だけで眺めている分にはいっこう構わないが、あれ見せられるほうはけっこうしんどい。「いやかわいいお嬢さんですね」、なんて言おうもんならたいへんなことになる。”I think so,too. I am proud of her” なんてことをシャーシャーと言うもんね。

それにアメリカ人ビジネスマンのオフィスの机の上の家族写真。家庭を訪れれば、壁面にも家族写真。自分の空間になにを置こうと勝手ではあるのだが、総じて「これが我がファミリーだっ」としきりにアピールしている。してみると、「プライバシーを大事にする=プライバシーを他人に語らない」ということではないようだ。

こんなことを書きながら、NKKのコメディー番組「お江戸でござる」(1月15日)をみていたら、偶然にも江戸庶民の長屋のプライバシーがテーマになっていた。薄い壁1枚隔てたとなり同士だから、それこそ夫婦げんかの内容は筒抜け。だが翌朝、井戸端でおかみさんが「きのうの晩は派手にやっていたね」などとが語りかけるのはマナー違反だったそうだ。この他、初対面どうしでは「生国を尋ねない」「年齢、家族関係をきかない」という暗黙のルールもあったという。意外にもプライバシーに立ち入らないという掟は江戸時代には確立していたそうだ。

むかしの日本では「プライバシーを他人に語らない」という傾向が強かったような気がする。もし身内のことをあえて語る場合は、「愚妻」「豚児」という言葉があったように(こういう言葉、いまや聞いたこともない、というひとも多いのではないか)、身内の話題はなるべく避けるか、あえて触れる場合もきわめてへりくだった。その日本も、このところかなり「アメリカ化」してきているような気がする。若いサラリーマンで財布にいれた我が子の写真を臆面もなく見せる人も多くなってきた。年賀状に子供写真のアップを使うひとも増えた。

いただいたものにけちをつけるのはそれこそマナー違反というは承知のうえだが、年賀状で会ったこともない子供さんの写真を見せられてもねえ、コメントのしようがない。これはやはりプライバシーの押し付けではないか。写真年賀状の場合は、ぜひ「親」も登場して欲しい。

そんなこんなで考え出すとキリがないから、「賀正ひと文字、なるべく余計なことは書かない」という年賀状がまだけっこう多いのも、分からないではない。だがそろそろ、形式だけのおざなり年賀状はやめにしてもいい頃だ。プライバシー年賀状はおおいに結構。ただし、プライバシー報告を相手が喜んでくれそうな場合のみ。だが、両者の境の判定がむつかしいなあ。
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