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コンテンツ(4) |
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2004年3月26日 |
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 | 中山 俊明 [なかやま としあき]
1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。 |
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コンテンツビジネスのむつかしさを書いてみようと連載を続けながら、自らが携わるそのコンテンツ世界の交渉ごとで翻弄され、しばらく筆が滞ってしまった。
この間、「コンテンツ」に関する興味深い判決がでた。(ほんとうはここにURLのみ表示して読者にじかに原資料をみていただくのが良いのだが、当該サイトがいずれ消える可能性があるので、長くなるが引用する)
●見出しに著作権認めず 読売新聞が敗訴
ホームページの画面にニュースの見出しを流すサービスが著作権を侵害しているとして、読売新聞東京本社(東京都千代田区)がインターネットサービス会社に見出しの使用差し止めと約6800万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は24日、請求を棄却した。飯村敏明裁判長は「ネット上で公開されている見出しを無許諾で利用するのは、著作権侵害にならない」と述べ、ネット上の見出しに関する初判断を示した。判決は「この見出しは25字以内で作成され、客観的事実を記述したか、それにごく短い修飾語を付けたもので、創作的表現とは言えない。不正な利益を図るなどの目的がない限り、第三者が利用することは自由だ」と指摘し、争いとなった見出しの創作性を否定した。(毎日新聞ウェブサイト、3月24日より)
被告は「デジタルアライアンス」という神戸の会社。有限会社というから資本金は300万円。マンションの一室オフィスの小さな会社のようで、もし今回の裁判に負けていたらまちがいなく倒産に追い込まれただろう。僕の会社も似たような規模だから、社長さん、裁判の結果にさぞかし快哉を叫んだであろうことは想像できる。
それにしても6800万円という損害賠償額はどうやって算定されたのか。訴状を調べてみてわかった。僕の予想通り、新聞社が電光掲示板等に文字サービスするときの「配信料」が基準になっていた。僕もこの訴状ではじめて知ったのだが、あの電光掲示板ニュースの提供料は1日1万5千円が相場。1日にだいたい記事40本が提供されているらしい。訴状によれば、デジタルアライアンス社は読売記事の見出し部分を1日平均で7本を使用し、これを1万3000のサイトに提供している。違法に流した期間が60日。これを掛け合わせていくと6,825万円になりますよ、という計算らしい。
デジタルアライアンスがどんなサービスをしているかは、以下をみていただきたい。
http://linetopics.d-a.co.jp/
デジタルアライアンスが提供するプログラム(無料)をダウンロードして自分のサイトに貼りこむ。するとPC画面の片隅の箱にニュース記事の見出しが常時次々とスクロールする(流れる)ようになる。コンピュータ作業をしながらでも、このスクロール画面を横目で見ながら、おもしろい見出しが流れてきたらクリック。するとその記事本文にジャンプできる、というアイデアサービスだ。デ社はスクロールする見出しの間に、短文の広告記事を挿入する。この広告料が同社の唯一の収益源だ。
このスクロール画面に読売新聞の見出しがそのまま使われていることが問題の発端だ。読売側は、見出し作成作業にはそれなりの工夫と創意を必要とし、著作物であるから使用料を払わないで使用するのはまかりならん、という。いっぽうデジタルアライアンスは、記事の見出しに著作権はない、と自社サイト上で以下のように反論する。
(前略)一般的に、小説や論文などの文章には著作権が発生し、通常は作者が著作権を有しますので、単に「記事の見出しは新聞社が作る」とだけ考えれば、「記事見出し」に著作権が発生しても不思議ではないと簡単に思ってしまいそうです。しかし、もう少し具体的に考えてみて下さい。「松井、大リーグ行き表明」「雇用保険料率1.6%に引き上げへ」「東証大幅続落、終値8690円77銭」「日本信販社長が引責辞任発表」「高円宮さまご逝去、47歳」「発泡酒10円〜20円増税へ」これらは今回の裁判で読売東京に著作権があると主張されている実際の「記事見出し」のほんの一部ですが、みなさんは、これらそれぞれに「著作権」を認めてよいと思われますか?これらに著作権が認められるとしたら、同じような表現を使用するには読売東京の許可が必要だということになりますが、それでは我々の表現の自由はどうなるのでしょうか。(後略)
読者は見出しには著作権がある、とお考えだろうか。それともない、とお考えだろうか。私見を述べてみたいのだが、うーん、また急ぎの仕事が飛び込んでしまった。またまた(続き)ということで次回!少しがんばって「文春の出版差し止め問題」にも触れたいのだが、時間があ・・・。
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