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40 コンテンツ(2)
2004年2月19日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
コンテンツ(情報そのもの)は無形物だ。つまり形が目に見えない。無形物の商売はむつかしい。「あの人は良い人だ」という評価と同じで、では「どれくらい良い人」なのか明確な測定装置があるわけではない。無形物の価値判断基準は、蓄積された「信用力」「ブランド力」しかない。

ニュースというコンテンツも無形物だから信用力が命だ。記者が集めてくる記事がそのまま新聞に掲載されるわけではない。ファクトに間違いがないか、主観が加わっていないか、誤字はないか、何重もの社内チェックがあって印刷に回される。さらに新聞の信用は正確なニュースだけで判断されるわけではない。当然ながら毎日毎日まちがいなく決まった時間に配達されてはじめて読者の信頼を得る。つまり、取材、編集・整理、印刷、配送の全行程が連結してニュースというコンテンツははじめてお金をいただける「商品」に変わるわけだ。

IT関連のニュースで登場する「コンテンツ(情報の中身)」は、新聞でいえば「取材、編集・整理」の部分だといえる。印刷から先は、「情報の中身」が「紙」という媒体に記録され、その記録された媒体(これを「メディア」という)が運ばれ消費者に届けられる、いわば目に見える行程である。ニュース=情報を読者に届け、その対価を得る新聞というビジネスも、その行程を分解してみれば、無形、有形が組み合わされたサービス業だということになる。

IT時代になってマスコミサイドから「コンテンツ(情報の中身)」というわけの分からない訳語付きの言葉が生まれたのも上記の新聞の仕組みを考えれば理解できる。インターネットを使えば、情報は、印刷、輸送手段の助けを借りることなく瞬時に読者に直接届いてしまう。いままで「ニュース=紙=配達」一体で新聞業という言葉で説明できた業態が、ばらばらに分解されてしまうかも知れない時代を迎えたのだ。しかも紙というメディアに記録されていない「情報」という「商品」はまだ対価をいただく方法が確立されていない。インターネットの登場は、新聞にとってはまさに屋台骨を揺るがされかねない衝撃である。

同じ新聞社の情報が一方では紙に印刷されて有料で売られ、一方肝心の情報の中身そのものは、インターネットを通じてタダで流れてしまう。同じ情報なら読者はただを選ぶ。しかるになぜ新聞社はタコが自らの足を食うように、自社の公式サイトからニュースを流すのか。実は確固たる方針があるわけではない。情報を売り物にする業態である以上、インターネットは無視できない。他社がやるいじょう自社もやらざるを得ない。だが新聞社のインターネット部門は社内の冷たい視線を浴びている、とも聞く。儲かりもしないのに金ばかり食う部署だ、というわけだ。

毎日新聞社は、読売、朝日に比較して発行部数が少ない分、新しいビジネスに食いつく積極性もまた強い。インターネットについてもしかり。それだけに先進性に富む毎日が今後、どんなインターネット戦略を打ち出してくるか注視してきたが、選んだのはニュースサイトをマイクロソフトと共同運営する、という方針である。

「収益が発生しないニュースサイトの運営は、新聞社だけでは無理です。システム、サーバー、広告集めはマイクロソフト、コンテンツ提供は毎日。集まった広告費を2社で折半しましょう」というのが前号引用記事のエッセンスだ。毎日新聞からみると、多額の費用がかかるシステム運営費、インターネット回線費などの固定費がなくなるのはかなり大きなメリットだろう。

これをマイクロソフト側からみれば「毎日」ブランド付きのコンテンツをただで使える、ということになる。。「ITビジネスを制するのはコンテンツ」。しかし信用力のあるコンテンツを恒常的に集める能力、部署はさすがのマイクロソフトにもない。ここはアライアンスを組むのが得策、というのは当然の判断だろう。ニュースへアクセスするユーザーは必ずマイクロソフトのロゴを見ることになる。また自社サイトへの誘導が可能になる。しかもコンテンツを毎日から買うのではなく、自社サイトに預かり、それにつく広告費を折半しましょう、という話だから、少なくとも持ち出しはない。

ではこのアライアンスで毎日新聞側が失うものはないのか。次号で考えてみたい。
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