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旅は猫連れ |
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2004年7月31日 |
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 | 吉田 美智枝 [よしだ みちえ]
福岡県生まれ、横浜市に住む。夫の仕事の関係で韓国ソウルとタイのバンコクで過ごした。韓国系の通信社でアシスタント、翻訳、衆議院・参議院で秘書、韓国文化院勤務などを経て現在は気ままな主婦生活を楽しんでいる。著書に『朝鮮王朝の衣装と装身具』(淡交社、共著)『韓国の近代文学』(柏書房、翻訳)などがある。現在、文化交流を目的とした十長生の会を友人たちと運営、活動している。 |
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▲ ターコイズカラーのブレスレットとピアス チェコビーズ、まん中は貝殻パーツ |
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▲ ジャラジャラブレスレットとピアス ブレスレットはチェコビーズ、 ピアスはフランス製ヴィンテージビーズ |
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私は、飛行機に乗って移動する際、たいていは猫のモモコと一緒だ。初めてモモコを連れて旅をしたのは、1996年11月タイに行くときだった。
タイと日本の間を3年間に15往復、その後夫が国内で単身赴任となって5年になるが、夫が病気をしたのをきっかけに私は横浜と夫の赴任先との間を頻繁に往復するようになった。
タイに住むようになって2か月余りのころだったか、私は用事でモモコを住み込みのメイドに託し、日本へ1ヶ月ばかり一時帰国をした。モモコは、私の急の不在と慣れない環境のせいで捨てられたと思ったのか、エサを食べなくなり、私が戻ったときには死ぬ一歩手前だった。
以来モモコは金魚のフン状態。不安なのか、寝るときも私の上掛けの端をつかんで寝る始末で、やせ細った体は見るに憐れなものだった。私は留守が10日を越えるときはできるだけモモコを連れ歩くことにした。当時(2000年3月まで)猫の場合、日本入国時に検疫義務がなかったのは幸いだった。
今でもタクシー、リムジンバス、空港、そして飛行機の中でモモコはほんとうにおとなしい。猫の体重と移動用のカゴをあわせると重さは8Kg。これがビーズワークと同様私の肩凝りの一因だ。その分、私の手荷物は当然限られて、バッグの中身は雑誌とデジカメ、そしてビーズ。あとの荷物はすべて宅急便。
この3〜4年、国内旅行にペット連れで出かける人が目に付くようになった。機内に連れて(もちろんカゴに入れて)入ることのできる国際線とちがい、国内線ではペットは貨物と一緒だ。冷暖房完備だそうだが、機内のどんなところにいるのか…。たぶん「気分悪っ!」という顔して、隣のカゴの小型犬などを横目で睨んでいるのではないだろうか。
到着時にペットたちが、荷物とは別のベルトコンペアーでゴトゴト運ばれてくるのを見るのは楽しい。
旅慣れたとはいっても、猫はもともと移動が嫌いな動物である。行ったり来たりするようになって、モモコはおなかの毛が禿げるようになった。おなかを必要以上に舐めるからだが、これはストレスから来る自虐行為なのだそうだ。不自然で無理のある生活では弱いもののところへしわ寄せが行ってしまう。
私が荷造りをはじめ、移動用の白いカゴが出てくると、モモコはいつの間にかベッドの下に隠れてしまう。カゴは目下、モモコの敵なのだ。
しかし、一度だけ例外があった。タイからいよいよ帰国しようというその日。夫と私はアパートでドタバタと引越し荷物を出す作業をし、手荷物をまとめていた。と、あれーっ、モモコがいない…。た、大変っ! 引越しのため開け放したドアからモモコは外へ出てしまったんだろうか? いえ、いました、いました!自分でちゃんと白いカゴに納まって…。
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