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葉山日記
115 心に響いたことば
2012年2月7日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
寒風をものともせず、これから海へ乗り出そうとする男の勇姿、ならいいのだが実態は逆だ。SUP(スタンドアップ・パドルボード)を1時間ばかり漕ぎ、なんとか浜に帰り着いのはいいのだが、腰が痛い。やんわりと腰を回したり、伸ばしたり、アフターケアをしている姿を、ボードの先端に固定したカメラの自動シャッターがタイミングよく(悪く?)捕らえただけだ。

このカメラ、ヘルメットなどに取り付け、スポーツする自分自身を超広角で撮影してくれるすぐれもので、防水ケースつき、静止画も動画も撮れて3万円という安さ。若者のあいだでは「自分大好きカメラ」といわれているらしいが、僕は「自己顕示欲カメラ」と呼んでいる。

この研究会インフォネットのサイトには、さいきん海の写真やら、目障りな管理人自身が写った写真が多くって、管理人である僕としては反省している。言い訳をさせてもらえば、近ごろ、出かけるところといえば海しかない。

インターネットでほとんどの仕事は自宅で済んでしまう。以前は最低でもひと月に一度は、会議出席のため東京に出ていたが、それもインターネットで済むではないかということになって、いまでは顔をみながらの会議は、せいぜい3ヶ月に一度あるかないかだ。だから都会の写真もほとんど撮ることがなくなった。海が嫌いなひともいるだろうが、必然的に海の写真ばかりになる。

ひんしゅくを買いながら(自分で勝手に思っているだけでじっさいそういう声があるわけではない)、なぜ自分自身が写った写真を載せるのか。さいきんは撮影対象者がうるさいのである。カメラを向けると、露骨に嫌な顔をされることが多くなった。なかには「なんのために撮っているのですか」と詰問口調で迫ってくるひともいる。事前に許可を得るのがめんどうだから、自分自身を露出させるのがてっとり早い。

葉山ですか、そこでウィンドサーフィンねぇ、このご時勢にまあなんと優雅なことで、という皮肉のこもった反応も気になるところだ。海のスポーツを始めたのは、このエッセーを注意深く読んでくださっている方ならお分かりの通り、手術後のリハビリである。結果は心身ともに驚くべきほどの効果があった。

知らないひとにとっては、葉山にはハイソなイメージがあるらしいが、実際に住んでみると、本質的にはかつての漁村、つまり田舎である。海が近いから、海のスポーツが安上がりにできる、というだけの話。

だがさすがに、昨年の大震災のあとは、のんきに見えるであろう(本人は健康を取り戻すためにそれなりに必死だったのだが)海遊びの写真を露出するのに、かなり後ろめたい気分があった。だが震災について、深刻ぶった顔でもっともらしいことを書く気になれなかったし、震災後の東京電力や民主党、マスコミの情けなさを、自分自身は関係ないと安全地帯からエラソーに書く気にもなれなかった。自分が体験した病気のこともまだ正直にすべてを書けないでいる。

そんな僕が、なにかまた書いてみたいな、と思い始めたのは、さいきん当サイトの読者からいただいた1通のメールがきっかけである。

― 中山さんの2011年8月18日のエッセイ「ウィンドサーフィン」は、私にとても大きなインパクトを与えてくれました。私も健康のことで悩んでおり、長年の病院通い、薬の服用にも関わらず、健康状態は全く改善されずにどうしたらいいのかわからなくなっていました。そんな時に中山さんのエッセイを拝見し、気持ちがふっ切れた思いがしました。中山さんのようにSUPを始めたわけではありませんが、「自分の身体にもともと備わっている自然の治癒力に頼ろう。運動によって身体全体を活性化させ、自己免疫力を高めて健康を取り戻そう」という気になりました。明るい光が見えたような気がしました。そんなわけで、中山さんに感謝しております。SUPを始められてからの中山さんは、人生を楽しんでいらっしゃる様子が写真やエッセイから感じられます。健康も取り戻されたようで本当に良かったですね。健康であるからこそ人生を楽しむことができるんですよね。これからも海の男のエッセイを楽しみにしております。―

多分にお世辞かもしれないが、それでも僕のつたない文章と写真が、ちょっとばかりの「インパクト」をもし与えたのだとしたら、僕のいま送っている日常を正直に報告することもあながち無意味なことではないような気がしてきた。

ことしは年賀状が来ないな、と思っていた通信社時代の同期の友人から「東北を思い、本年は年賀を辞させていただきました」という書き出しの「寒中見舞い」が届いた。以下の数行も、深くこころに響いた。

―「がんばろう」「絆」といった美辞麗句が世に溢れています。被災者の人びとの心にはどのように響いているのか、気掛かりです。絶望の深さと喪失の大きさに対し、スローガンのような片言は意味を持つとは思えません。今はまだ、静かに耳を傾ける時ではないでしょうか。―
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