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僕の偏見紀行
159 またまた来ちゃったハワイ!(2)WAIKIKI、NOW
2013年9月26日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ イルカとのふれあい、シーライフパークにて。遠くの観覧席からコンパクトデジカメの望遠で。
▲ 人気食堂魚卓の玄関先でタクシーを待つ。
▲ キャタピラー巻き、カリフォルニア巻きなど、魚卓の迫力あるメニューの数々。見た目よりずっと美味しい。
5歳の孫娘とワイキキビーチで初泳ぎ。二人一緒に浮き輪でゆらゆら漂う。見上げる青空に白い雲がまぶしい。海風とぬるい海水が心地いい。始めは波を怖がったた孫娘も、浮き輪でクルッとターンしたり、遊びに夢中で一向に戻る気配が無い。

ワイキキビーチは美しい白い砂浜だが、他から運んだ砂の人工ビーチだから、海底は貝がらやサンゴのかけらが一杯、裸足では歩きづらい。ビーチを取り巻くリーフの外側には白波の立つポイントがあり、サーファーたちで賑わっている。リーフの内側は波が静かで、泳いだり、ボードをパドルで漕いで楽しむ人たちがいる。

実をいうと僕はこのビーチで泳ぐのは初めて、今までワイキキに滞在しても泳ぐことは無かった。以前訪れた頃は、息子達もそれなりの年だったたので、日帰りツアーや買い物なんかで忙しかった。今度は赤ちゃん連れだし、のんびりできる。

ホテルはワイキキの西寄り、ビーチに面したヒルトンを息子が手配した。ここはタワーがいくつも立ち並ぶ、ワイキキ有数の規模を誇る日本人になじみのホテルだ。我が家も何度か泊った。久しぶりのヒルトンだ。

メインロビーはじめあちこちで改築工事が目立ち、時の流れを感じる。広大な敷地は庭園やプールが点在し、レストランやショップも多く便利な宿だ。新たなタワーが増設され以前に比べ手狭になった感はあるが、歳月を経て程よく古びたたたずまいとゆったり過す客がかもし出す気楽な雰囲気が好ましい。

息子達は友人との会食や挙式当日以外はフリーで、あちこち出かける予定をたてているようだ。ジジ・ババはそれに適当に付き合うことにしている。頼まれれば孫の子守も引き受けるつもりだ。

ジジ・ババ含めて総勢6人でシーライフパークへ出かけた。パパ・ママが孫たちにイルカとのふれあいを体験させたいらしい。ホノルルから近い海べりのこの施設は有名だが、我が家は初体験だ。

到着してみると知名度の割には拍子抜けするくらい素朴なところだった。小さな水族館やカメの泳ぐ池、それにイルカのプールなどが、美しい海を背景に点在している。まことにアナログな少しさびれた雰囲気がよかった。

ジジ・ババが遠くの観客席から眺める中、パパとママに抱かれて孫達のイルカとの初遭遇は無事終了した。戻ってきた孫娘は、最初は緊張したけどちゃんとタッチできた、と誇らしげだった。よそのあかちゃんは大泣きしてリタイアしたのに、1歳の我が孫は泣かずにイルカにキスしてもらったらしい。

パークからの戻りぎわ、嫁が携帯を危うく忘れるところだった。送迎バスが動き出す寸前に気づいた嫁があわててスタッフに告げると、バスを待たせたままスタッフが付き添って探してくれた。

携帯はすでに忘れ物係りのところに届いており事なきを得た。あわてなくていいよ、といいながら一緒に探してくれたスタッフに嫁が感謝感激だったことはいうまでもない。素朴で人情あふれつパークだった。

子供連れの海外旅行で困るのが食事、特に赤ちゃんがいると周りに気を遣う。こんなとき頼りになるのが、ハワイに来た日本人はみんなお世話になる、という(ホントかな)ABCストア。ヒルトンにもちゃんとあるのだ。

朝食はここのパン類とミルク・フルーツで済ませることが多かった。ボリューム満点のサンドイッチやバーガー、ホットドッグ、おにぎりまである。僕は後悔しないよう、パパイヤ・スイカ・パインなどを腹いっぱい食った。

朝日のあたるベランダに買ってきたものを広げ、それをみんなで囲む朝食は楽しい。時には息子達はガイドブックを見ながらパンケーキのお店などにも行ったが、ジジ・ババはベランダのほうが良かった。

出先では適当にカフェやレストランで済ませたが、自然にバーガーやピザ等が多くなり、飽きが来るのが難点だ。ただアラモアナショッピングセンター内の巨大フードコートは、数え切れないほどの店が並び、和洋中からローカルフードまでメニューも豊富で面白かった。大勢の客で混雑していたが、赤ちゃん連れでも気を遣う必要が無くて助かった。

ここは味も悪くなく、かなり前に同じアラモアナで食った蕎麦が想像を絶する不味さだったのに比べると、今は山手線の駅蕎麦程度にはなっている。ワイキキも日々進化しているのだ。

日本人ごひいきの免税店も大きく変わっていた。よく来た頃はブランド品が珍しい時代で、ワイキキのDFSには日本人が溢れていた。そこは免税品が山積みされ、店員のオバチャン達がたくみに客の買気をそそったものだ。我が家もご他聞にもれず買い込んだものだ。今にして思えば、日本中がバブルの宴に浮かれた虚しい時代だった。

今回は特に欲しいものは無かったが、ワイキキに来たからには一応チェックしなきゃ、とジジ・ババ二人で出かけてみた。客は多かったが雰囲気はガラリと変わり、日本人以外のアジア系の人が目立った。

かつて特売場のように免税品を積み上げた売り場は消え、銀座のブランドショップそっくりの店構えに変わっている。店内は気取った若い女店員が立ち、品物に値札が付いていない。店員に尋ねなければ値段が分からない。冷やかしの客は相手にしないよ、というポリシーのようだ。

かつての活気も失せDFSの魅力半減だ。早晩これでは衰退するばかりだろう。しかしなにせ20年前と比べる話だから、変わったなどと騒いでも詮無いことだろう。

息子一家が友人との会食に出かけた日、ジジ・ババはかねて狙いをつけていたレストラン「魚卓」へ出かけた。ここはハワイ大学サークル大食いクラブイチ押しなのだ。(村上春樹・他著、地球のはぐれ方。)

ホテルからタクシーに乗ってドライバーにそういうと、すぐに分かった。到着したら、大通りに面した何の変哲も無いコンクリート2階建ての店だった。町役場か公民館といったたたずまいだ。混むという評判なので我々は早めに出かけ着いたのは5時半すぎだった。

簡素で清潔な店内にはテーブルが沢山並んでいる。よくはやる大衆食堂といった雰囲気がいい。壁には彩色された魚拓が何点も飾ってある。日本人というマスターが釣り好きなんだろう。くどいようだが、店名は魚卓で間違いない。きびきびした動きの若者に2階に案内される。この店は料理も良かったが、フットワークの軽いスタッフの動きは感動ものだった。

早速メニューをチェック、スシ・てんぷら・釜飯などの普通の和食の他、ありましたね、カリフォルニア丼、ニンジャ丼、キャタピラー巻き等々、心惹かれる品々が。せっかく来たのだからと、カリフォルニア丼定食、ニンジャ丼、キャタピラー巻きなどを注文する。

やがて運ばれてきた料理を見て、なるほどこれか、と思った。そこには派手な原色の品々が並んでいた。確かにこれは和食とはいえない。まさしくハワイで育ったローカルフードだ。

食べてみると想像以上に旨い。暫くぶりのお出汁や醤油の風味が五臓六腑にに染みわたる。カリフォルニア丼の具はアボカド・きざみノリ・カニカマ、それにマヨネーズがかかっている。ご飯は白米と玄米があり、注文するときホワイトかブラウンかと訊かれてとまどった。これをかき混ぜて一見ネコ飯風になった一品をかき込む。マヨネーズとアボカドのまろやかコンビにしょう油のパンチがよく効いている。

我々が食事中、係りのウエイターは何度もテーブルに来てはグラスに氷水を注ぎ、何か足りないものは無いか、と尋ねた。満足だ、と応えると、満面の笑みでうなづくのだった。

ニンジャ丼は、アボカドにアヒという魚のぶつ切りを加え、スパイシーなソースがかかっていた。これもよかった。キャタピラー巻きは、アナゴのかば焼きにアボカドが乗っかった、ゴツゴツした外見の巻ものだが、日本のすし屋のアナゴに引けを取らない結構な味だった。

6時を過ぎると店内はいつの間にか満席となっていた。客の顔ぶれは地元の日系の人々が圧倒的に多い。我々以外に観光客は見当たらないようだ。ここは地元の人気食堂なのだ。提供される料理は、ネーミングは奇抜だが決してきわものではない。ローカルフードとして完成されたものとなっている。

帰りのタクシーを玄関先で待つ間も客の出入りは途切れることが無かった。老夫婦が手を取り合ってやって来た。二人とも杖をついているが、ご主人は車のキーを持っている。足元も危ういようだが、自分で運転してきたのだ。えらいもんだ、心和む光景だった。

気に入ったので最終日にもう一度、息子一家も連れて魚卓へ行った。相変わらず混雑していたが、スタッフは孫達にも細やかな気遣いをしてくれて助かった。孫達はウドンやご飯を食べてご機嫌だった。

疲れてむずがる下の孫をあやす嫁、眠くて不機嫌になった孫娘をなだめる息子、その姿を見ながら僕は時の流れの早さを思った。かつて息子達が幼かった頃、僕たちも同じことをしていた。大変だったけど、あの頃が一番楽しかった、時々そう思うことがある。

「家族が揃って食事するありふれた風景は、実はほんのうたかたのものだ、ということをわたしは自分のこれまでの人生の経緯で知らされていた。」  
   (大きな約束、椎名誠著)  (続く)
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81 シルクロードの旅(4)ブハラへの道
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78 シルクロードの旅(1)タシュケント到着
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76 小笠原の旅(6)小笠原海洋センター
75 小笠原の旅(5)母島列島
74 小笠原の旅(4)宝石の島、南島
73 小笠原の旅(3)ザトウクジラの海
72 小笠原の旅(2)BONIN ISLANDS
71 小笠原の旅(1)波路はるかに
70 インド紀行(7)タージ・マハルの光と影
69 インド紀行(6)ガンジス川の夜明け
68 インド紀行(5)夜行寝台「ハウラー・カルカ・メイル・2311号」
67 インド紀行(4)ダージリン滞在
66 インド紀行(3)ダージリンへの道
65 インド紀行(2)コルカタにて
64 インド紀行(1)遠かったインド
63 暮れの浅草昼酒
62 雨の東北、芭蕉と紅葉旅
61 南会津の旅◆扮の尾瀬沼)
60 南会津の旅 弁愡浚村)
59 奥日光戦場ヶ原
58 スコットランド紀行(5)いくつかの思い出
57 スコットランド紀行(4)偉大なり、ピーター・ラビット
56 スコットランド紀行(3)ネス湖からスカイ島へ
55 スコットランド紀行(2)ウォールフラワー
54 スコットランド紀行(1)エジンバラ大学でお茶を
53 風に吹かれて八丈島(3)
52 風に吹かれて八丈島(2)
51 風に吹かれて八丈島(1)
50 イリオモテヤマネコに逢いたくて(4)
49 イリオモテヤマネコに逢いたくて(3)
48 イリオモテヤマネコに逢いたくて(2)
47 イリオモテヤマネコに逢いたくて(1)
46 秋空の下、いくつかの再会
45 白神の森の宝
44 挑戦!乗鞍岳
43 北東北ローカル線の旅 (4)津軽じょんがらの夜はふけて
42 北東北ローカル線の旅(3) 雨の下北恐山
41 北東北ローカル線の旅(2) うみねこレール
40 北東北ローカル線の旅(1) 春のうららのドリームライン
39 50年の時を超えて
38 知床の秋(2)、ウトロにて
37 知床の秋(1)、鮭遡上
36 風に吹かれて尾瀬ケ原
35 白神山地「ブナの学校」
34 初夏の山形、サクランボとそばの旅
33 ハワイ島滞在記(2)
32 ハワイ島滞在記(1)
31 春の予感、鹿沢(かざわ)高原にて
30 嗚呼!還暦大同窓会
29 年の暮れ、奥那須で想う
28 ラムネの湯「長湯温泉」はいいぞ
27 また「再会の時」道後温泉にて
26 大自然の力、姥湯温泉
25 知床の青いそら、光と風 その
24 知床の青いそら、光と風
23 春の東北ローカル線の旅
22 春の東北ローカル線の旅
21 春の東北ローカル線の旅
20 上海点描
19 やさしかったチェジュの人たち
18 さらば、災の年よ。
17 僕たちのセンチメンタルジャーニー
16 台風を避けて信州へ
15 青島印象記
14 よるべない孤独にみちた宿
13 海があまりに碧いのです
12 安曇野の光と水、そして高瀬川渓谷葛温泉
11 鞍馬山の向こうへ、大悲山峰定寺
10 雪の会津鉄道トロッコ列車の旅
9 初春初旅救急車
8 年の暮れ、峩々温泉再訪記
7 東北紅葉旅峩々温泉
6 蔦温泉、蔦沼、ブナの森
5 雨の幕川温泉再訪記
4 憧れのフルム-ン法師の湯
3 信州塩田平別所温泉
2 信州信濃路
1 東北紅葉雪見風呂
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