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葉山日記
52 皇族の自己責任
2004年6月5日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ 本日、梅雨入り宣言です。わが家の「チョウセンアサガオ」が満開。可憐な花姿、艶っぽい香り。でもこうパッパカ咲き乱れると、なんだか、うっとおしくも。ものごとはほどほどに。開けばいいってもんでもない。「秘すれば花」というじゃないですか。
「自己責任」という言葉はまちがいなく今年の流行語大賞にノミネートされるだろう。僕なんかは、これまで周辺に迷惑をかけどおしの人生だから、とても他人さまに向かって「自分の行動の結果は他人の助けを借りず、きっちり自分で責任をとらなければならない」などとは、とてもじゃないが、言えない。だから、他人の自己責任を問えるひとはさぞかし立派な人生を歩んでいるんだろうなあ、と感心するばかりである。

わが妻などは、「あなたはね、波乱万丈、はたで見ているだけのお友達からすればほんとうにおもしろいひとよね。でも奥さんの立場から見たらたまったもんじゃない。はらはらドキドキ人生、つき合わされる身にもなってよ。それにホント手間かかるし。なんだか私、あなたの世話をするためにこの世に生をうけたみたい」と、のたまう。まさに自分は妻にとって「無・自己責任」の塊のような存在ではないか、と自己嫌悪に陥ることはしばしばある。

しかし、妻にかく言われても実はなんということはない。
「でも結婚相手はキミが選んだんだろう。見合い結婚したわけじゃないんだし。まあ、仕方ないな、自己責任さ」。それまで機関銃砲のごとき勢いで、一方的に攻め立てていた妻も、たいていは、これ一発で沈黙してしまう。僕には、ほんとうにありがたく、便利なことばではある。が、もちろんこの「即効性毒単語」を妻以外のひとに使ったことはない。

「自己責任」について考えていたら「皇族に自己責任はあるのか」という突拍子もないテーマが浮かびあがってきた。というのも皇太子発言に関連して、このところ、テレビ、週刊誌のインタビューをいくつか受けたからだろう。

僕は「宮内庁批判派」と思われているらしく、「宮内庁の体質はちっとも変わってないと思われますが、今回の発言の背景となった宮内庁をいまどう思われますか」とまず、質問してくる。宮内庁に矛先を向け、「皇太子夫妻を悩ませているのは、すべて…」というシナリオができているのが、透けてみえる。いつも変わらぬワンパターンである。

「ちっとも変わっていないのは、マスコミや国民も同じじゃないでしょうか」。僕がそう応えると、あいては意外そうな顔(または声)になる。「お役人は法律や慣習を守りながら動かざるをえない職業です。石頭、頑固は仕方がない。今回の発言問題を宮内庁の責任に押しつけている限り、問題の本質はわからないと思いますよ」。すると、「そういったお話をぜひうかがわせていただけますか」と来るのもワンパターン。

「私は宮内庁にも問題はあるが、マスコミの側にも大いに問題あり、と言い続けている人間です。お話しするのはいっこう構いませんが、マスコミ批判もどうじにやりますよ」。「いやそれは大いにけっこうですので、ぜひ」というのも同じパターンだし、結果、僕の発言のうち「マスコミ批判」がみごとにカットされて「宮内庁批判」部分だけが残ってしまうのも毎回同じ。

今回の発言は、皇太子が国民に、あるメッセージを発信しているのではないか、というのが僕の考えだ。それは前号に書いた「皇室典範」の改定問題である。皇太子夫妻に男の子が生まれなければ、天皇制は「自然消滅」。秋篠宮夫妻の第3子としてこんご男子誕生があれば、その方が天皇の皇位継承者となる。しかし、こういう騒ぎのなかで、秋篠夫妻が「よーし、それではがんばって男の子をを生んでみましょう」とはとても言えない。遠慮や配慮もあるだろし、第3子誕生は望みうすだ。側室(つまりお2号さんですね)に生んでもらうのも合法だが、これはありえない。すると、現皇太子夫妻はこのままでは「天皇家お家断絶責任者」ということになってしまう。皇太子夫妻の悩みが深いのはとうぜんである。

そういった状況下、たとえ天皇・皇后が「ご旅行を控え、こどもづくりに専念を」とやんわり語りかけたとしても、ある意味それは「特別な使命を帯びた親」として当然ともいえるし、宮内庁幹部が「秋篠宮に第三のお子を期待したい」と発言したことも、天皇制の存続を是が非でも考えねばならない側近の立場としては、あながち責められはしない、と僕は思う。

「外国に行かせてもらえないからキャリアが活かせない」「世継ぎに関して『両親』または『とりまき』やマスコミがプレッシャーをかける」というような不満が雅子さんにあって、皇太子の発言がそれを代弁している、つまり「雅子さんの不満が発言の背景にある」とすると、ここには別の問題が生じてしまう。雅子さんの「自己責任」である。つまり、さまざまな制約を承知で天皇家に嫁ぐことを決めたのは、ほかでもない雅子さん自身だからである。すくなくとも建前上はそういうことになっている。また「家庭内問題」を国民に吐露してしまう皇太子の「品位」「皇族としての自己責任」論も浮かびあがってくる。

そこで不思議に思うことがある。イラクの日本人人質や、北朝鮮拉致家族を「自己責任」論で攻め立てたひとたちは、なぜ皇太子妃・雅子さんの「自己責任」を問わないのだろう。いま、この時期、雅子さんの「自己責任」を問うのは、人間として酷で失礼なことはじゅうぶん承知している。しかし、彼らは、「良かれと思って行動した結果予期せぬ事態に遭遇し、動転し、追いつめられ、どうしてよいか分からぬ不安にさいなまれた人々」に対し、「酷で失礼な」自己責任論をさんざん展開したではないか。この「自己責任論」が好きなひとびとのなかから「皇族の自己責任」を問う声が少しはあっても不思議はないと思うのだが、とんと出ない。

さて最後に。僕の考える、皇太子の真意だが、

1)発言は、宮内庁やマスコミへの不満(は内心大いにあるものの)表明を意図したものではない。
2)問題解決は「皇室典範」の改定しかない。つまり「女帝あり」にして欲しい。しかし、立場上、それをはっきり口に出すわけにはいかない。当然ながら法律改正に口をだすことは、天皇・皇族が厳しく禁じられている政治への関与になってしまう。だからやんわりと国民に呼びかけた。

というようなことではないか。マスコミが「宮内庁批判」や「開かれた皇室」論で発言問題をとらえるのはかなり筋違いではないか、と思うのはこのような考えが僕にあるためだ。

近々、皇太子が発言の真意を公表するらしい。皇室典範改定に向けた国民的議論を、とやんわりとにおわせることになるのか、それとも皇太子も「時代の子」として、「妻を守るのは夫のつとめである」と「やさしい夫、悩める妻」の現状をただアピールするだけなのか。もし、皇太子夫妻が、庶民と同じ幸せな家庭を築きたいのだとしたら、「お家断絶」もそれはそれで、あり、と僕は思いますけどね。
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