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159 戦争は、防衛を名目に始まる。
2015年7月14日
齋藤 恵 齋藤 恵 [さいとう・さとし]

1948年埼玉県生まれ、1970年に大学卒業後、時計メーカーの輸出部門に就職。8年間の勤務の後、宮仕えには向かない自身の性格を認識して、父の経営していた小売店 (創業1912年 = 大正元年)に転身しました。歴史、風土、絵画、言語等に関心が強く、駄文ながら文章を書くことがストレス発散の手段のひとつになっています。ささやかながら、会社を経営するというのはそれなりにたいへんです。ここに書かせていただくことは、そうしたストレスの大いなる発散のためですので、お読みになる方もどうぞお気軽に。
多くの人が不安や疑問の中で止めて欲しいと願っている、途方もなく非常識な費用のかかる国立競技場の建設、そして戦争への途に間違いなく繋がる強制力のある法制の制定など、国会の議席を得たのだがら何をしてもよいという「傲慢症候群」にとりつかれている権力人達の言動を見るにつけ、日々本当に絶望的な気分にさせられています。

そんな中で昨日、目にしたのが以下の声明分です。誰がいつ出したのかは後述するとしまして、よろしければまずはご一読いだたけますか?


戦争は、防衛を名目に始まる。
戦争は、兵器産業に富をもたらす。
戦争は、すぐに制御が効かなくなる。
 
戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。
戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。
戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。

精神は、操作の対象物ではない。
生命は、誰かの持ち駒ではない。
 
海は、基地に押しつぶされてはならない。
空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。
 
血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、
知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。
 
学問は、戦争の武器ではない。
学問は、商売の道具ではない。
学問は、権力の下僕ではない。
 
生きる場所と考える自由を守り、創るために、私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。


実はこれはつい先日(7月に入ってから)、京都大学の教職員や学生らが中心となって結成した有志の会が発表した声明文の全文です。既にお読みになった方もおられると思いますが、僕の心には見事にストーンと収まりましたので、あえてご紹介させていただきます。

そうです、歴史上のいかなる戦争も「今から自分達の権益のために侵略戦争を始める」と言って始められたものはありません。あのナチスドイツだって、自国民の生命・財産を守るためにと宣言して、ポーランドやチェコへの侵略を開始し、それが欧州全域の戦争へと発展したのです。戦前の日本だって、「満蒙は日本の生命線、失ったら日本は立ち行かなくなる」と叫んで、中国への侵略をとめどなく広げていったのです。敗戦後、「満蒙を失った」どころか、そんなこととは比較にならないほど途方もなく巨大な負の遺産を抱え込まされながら、日本は平和を宣言しつつ、見事に立ち直ったではありませんか。

ナチスドイツも見事にそうでしたが、戦争を始めたい連中は、世論を喚起するために、必ず、例外なく、憎悪の相手を創出します。わかりやすい憎悪の対象、つまり敵を作るのです。そして、あらゆる手段、とりわけ大衆に影響力を持った媒体を駆使して、その相手に向けた憎悪の世論を喚起します。

その結果は、ヒトラーの遺書に明らかです。ヒトラーはその遺書の中で、世論が国家を戦争に仕向けたのであり、決して自分のせいではないと言い訳したのです。だからベルリン陥落直前になっても、老人や少年達まで戦闘員として強制的に動員し、明らかな死地に積極的に赴かせたのです。戦争の最中には一般市民など存在せず、国民全員が戦闘員なのだ。だって彼ら国民がこの戦争を始めさせたのだからと。

戦争が始まれば、非戦闘員、なによりも、若者や子供達が、そのおじいさんくらいの人達の指揮のもとで、たくさん死んでいくのです。その挙げ句、膨大な犠牲を出した後に、ヒトラーのように「世論がそう言っていたからだ」と責任逃れをされたのではたまりません。

史実を冷静に、きちんと検証して、自分のことに置き換えて具体的に考えることが必要なのではないかという、この声明を書いて発表した人達に僕は心から賛同します。たいして長くありませんから、まずはもう一度、お読みになりませんか?
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