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僕の偏見紀行
168 越南二人旅(2)ホイアンのランドリー・ママ
2014年3月10日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ ホテル裏手、芝生のスロープを降りた先からの夕景。
▲ 夕暮れのホイアン路端、ランタン祭り。
▲ ホイアン「市場食堂」。おいしそうなものが並ぶオープンキッチン。
翌朝、7時過ぎに目覚めてホテルの食堂へ行った。睡眠時間は5時間足らず、しかし2時間の時差があるため、日本時間は9もう既に9時を過ぎているのでそんなにきつくない。

外を見ると薄曇の空の下にホーチミンの街並が広がっている。今日も暑くなりそうだ。じわじわとアジアの地にやって来た実感がわいてくる。

アジア旅の楽しみの一つにホテルの朝食がある。宿泊費に含まれたビュッフェスタイルの朝食は、とにかくメニューが豊富、地元料理から洋風まで多彩だが、特に麺類とタマゴ料理のコーナーでいろいろとコックにオーダーできるのがいい。

サッパリしているのにコクがある鶏のフォー、そして目玉焼きを頼む。出来上がりを待つ間にかたわらのパンコーナーでトーストを焼く。ベトナムはパンが旨い、そういわれているが事実だ。またベトナムはブラジルに次ぐコーヒーの大生産国らしい。酸味の少ないまろやかなその風味は、あまりコーヒーになじみのない僕にも美味しくてついおかわりをした。

今日は中部のホイアンへ向かう、移動日は何があるか分からないので朝食をしっかりとることにしている。デザートのスイカやマンゴー・パパイヤ、ジャックフルーツ、そして旬のランブータンなど、大皿一杯に盛り上げて食った。鮮やかな色彩が溢れるフルーツコーナーの前で、あれこれ迷うのがこれまた楽しかった。

今日ははホイアンへ移動するだけ、他には何の予定も無い。昼前の便でホーチミンを発って午後にはホイアンのホテルに着くだろう。チェックアウトの時、ホイアン、フエと巡って1週間後またお世話になるからよろしく、と係りに告げてホテルを後にした。

2年ぶりのダナン空港はあまり変わっていなかった。前回はホイアンへ行くのに、ローカルバスに乗りたくてわざわざダナン市内のバス停まで行ったが、今回は家内同行なのでタクシーで直行することにした。空港のインフォメーションでホイアンまでの料金相場を尋ねると20数ドルという。少し値上がりしたようだ。

空港を出ると、タクシー?といいながらわらわらと男たちが寄って来る。元気のいい真面目そうな若者を選んで交渉開始。しかし彼曰く、メーターだよ、もうメーター時代なんだ。本当はやってみたかった料金交渉。実際には得したのか分からないが、あれこれ交渉して値切るのは面白い。大騒ぎしてもその結果は円にすれば10円、20円の話なんだけど。

若者のタクシーは海岸沿いの広い道路をすっ飛ばしていく。ダナン周辺は大規模なリゾート開発が進み、大型ホテルやゴルフ場が点在し、クレーンの動く現場も多い。

1時間弱走りホイアン市内に入る。車両進入禁止の旧市街を迂回したりしてホテルを探すのに手間取ったけど無事ホテルへ到着した。料金はメーターで25ドルくらい、空港で聞いた相場よりやや高いが、上がったとはいえ安いものだ。

ホテルはこじんまりとしたリゾートホテル、プールを挟んで2階建ての客室棟が並び、その先はなだらかな芝生の斜面が川岸まで続いている。トゥボン川が南シナ海にそそぐ河口近いホイアンでは、広い中州や川沿いにホテルが点在する。

アジア特有の薄いコーヒー色の川面を小船や自転車と客を満載し渡し舟が行き交っている。岸辺まで歩いて古びた竹の桟橋から川を眺める。ゆったりとした流れと吹いてくる風が心地よい。

夕食はフロント一押しの人気レストランへ行った。ロウソクの灯る薄暗い店内は、白いTシャツとスニーカーの若い女の子がきびきびと動き回り、テンポのいい音楽が流れていた。出てきた料理は確かに旨かったが、大皿に洒落た盛り付けは都会のレストランを思わせ、わざわざホイアンでこんなものを食うことはなかった、と少し後悔した。

日暮れとともに旧市街とその周辺には夥しい数のランタンが灯された。街灯が消えた暗闇に赤・黄・青、無数の光がゆらめき、黒い川面で揺れている。灯りの中を散策しながらホテルへ戻る。途中の橋の欄干や道端の屋台にもランタンが揺れている。なんとなく懐かしいような、嬉しいようなそんな気持ちが湧いてくる。

ホテル正面の通りのむこうに3軒のお店があった。店頭には飲み物や雑貨が並び、たいていその前では老犬が昼寝していた。看板をよく見ると、ランドリー・ツアー予約・タクシー手配等いろんなことをやっている。真ん中の店のオバサンはやたらアイソが良かった。通る度に大げさに手を振って挨拶する。

洗濯物を持っていくと、1キロ1ドル、アジア相場だ。下着もシャツも一山にして重さを量るだけ、簡単な受け取りには明細など無いがなにも問題は無い。朝出せばその日の夕方、夕方なら翌朝。これは旅行者には実に便利なシステムで大いに助かった。ただ、朝晩前を通るたびに声をかけられるのはちょっと恥ずかしかった。

さらにホテルの周りは2年前に比べて食堂や土産物屋、洒落たカフェが多くなっていた。観光の目玉、旧市街から橋を渡ってすぐという地の利を生かした店が増えたのだろう。

その中の「市場食堂」にはよく通った。ここはアジアの市場で見かける屋台食堂を一ヶ所に集めた、フードコート形式のレストランだ。沢山のテーブルのあるフロアを囲み、様々なスタイルのオープンキッチンが並んでいる。様々な地元料理が昔ながらの手法で調理されるのを見ながらメニューを決めることが出来、便利で楽しかった。英語の達者な若いスタッフが多く、食事中もいろいろと気遣ってくれるのには感心した。

ランドリーと食堂が見つかり一安心、これでホイアンを楽しむインフラが確立した。(続く)
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