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かくてありけり
3 トリアージ=負傷者選別
2003年1月17日
沼田 清 沼田 清 [ぬまた きよし]

1948年、新潟県生まれ。千葉大学工学部卒業。2008年、通信社写真部を卒業、以後は資料写真セクションで嘱託として古い写真の掘り起こしと点検に従事。勤務の傍ら個人的に災害写真史を調べ、現在は明治三陸津波の写真の解明に努めている。仕事を離れては日曜菜園で気分転換を図っている。
また1月17日がやってきた。95年の阪神大震災からもう8年になるんですね。
あの日の朝、新米デスクとして初めての宿直明けで、右往左往していたのがつい昨日のようだ。
阪神大震災で皆さんの印象に残っているのは倒壊した高速道、神戸市長田区の火災、都市のもろさ、ボランティア活動などでしょうか?私はそれに「トリアージ」を付け加えたい。

トリアージとは多数のけが人を負傷の度合いによって選別すること。元々はナポレオンの時代に、負傷した兵士を選別し支障がない者を再び戦場へ送るため、つまり戦闘員の確保が目的で始まったといわれる。
フランス語のtriageが語源で、元の意味はコーヒー豆の選別をすること。

現在では、災害や事故で多数の負傷者が発生した際に、負傷の程度により4段階に分け、緊急度の高いけが人から搬送、治療することを意味する。限られた医師、薬、資材を有効に使い最大限の医療効果を上げることが目的です。
判定は基準に基づいて行われ、トリアージを担当する医師は治療には携わらない。現場で1次判定、病院で2次判定をする。

判定結果を示すために負傷者の体に付ける封筒大の識別表はトリアージタッグと呼ぶ。タッグの記入欄は3枚複写式になっていて、1枚目は現場用、2枚目は搬送機関用、3枚目が収容医療機関用。
端は下から緑、黄、赤、黒に色分けされ、モギリ式になっている。最下端の色がその人の負傷の程度を示す。黒しか残っていなかったらもう手遅れということで、治療は行われない。

機だ屐∈罵ダ莠N鄭多量の出血や気道閉塞で命の危険はある が、緊急処置で救命できる
供げ、非緊急治療→単純骨折など、治療を後回しにしても命に別状ない重傷者
掘の弌軽処置→歩けるような軽傷者、とりあえず搬送しなくてもよい
0,黒、不処置→頭などの損傷が著しくてひん死の人や心停止の人。手遅れ

私の頭の中で2つの考えがぶつかり合う。負傷者を選別するとは欧米流合理主義なのかな、自分が黒の判定をされたらいやだなと。
一方、このシステムは絶対必要なんだ、緊急事態には割り切らなきゃだめなんだと。
いずれにしろ、これは医療側の活動だけでは成立しない、負傷者と家族の協力がないと混乱することは容易に想像できる。

その年の5月、朝日新聞は「追跡大震災−いのちは」という記事でトリアージを紹介している。
兵庫県洲本市の県立淡路病院で、若い医師が震災被災者に心肺蘇生法を15分続けていたところで外科部長が「ストップ」を指示するくだりがある。割り切れなさを示す医師に「助かる見込みのない人に時間を掛けていたら助かる人を見殺しにしかねない」。別の場面で救急医は「心停止の人はあきらめろと指示しても蘇生を続ける医師たちを見て、災害医療が通常の救急医療と違うことも知らないのかと腹が立った」と語る。

トリアージが日本に導入されたのは80年代の初頭といわれ、すでに82年の羽田沖日航機墜落事故で使われている。
しかし阪神大震災の報道で初めて知ったという医師も少なくないから、素人の私がこの言葉を知らなかったのも無理はない。
98年版の日立平凡社デジタル百科事典にも、広辞苑第4版(91年刊)にも載っていなかった。
現在、ネットで検索すると2000件以上ヒットするが、医療機関や自治体、政府の防災機関のサイトがほとんどだ。一般市民にどこまで認知されているだろうか。
いつかその事態に直面した時、あなたはすんなり受け入れられますか?
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