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偶然 |
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2005年3月27日 |
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 | 中山 俊明 [なかやま としあき]
1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。 |
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前号で書いたとおり、僕は縁あって、いま世間を騒がせているライブドアという会社のニュースセンターに勤務している。
といっても、午前中は自分が経営する株式会社インフォネットの仕事をやり、午後から深夜にかけてライブドアニュースの編集の仕事にはいる。つまり二足のワラジ状態なのだ。
この新職場は六本木ヒルズ森タワーの38階にあるので、とうぜんながら眺めがいい。仕事の合間に、ガラス越しの眺望を楽しんでいてふと気がついた。楽屋落ちのような話ばかりで恐縮なのだが、僕がオートバイで事故を起こしたまさにその現場が真下に見えるではないか。
写真中央が、浜崎橋のインターチェンジ。僕は高速を写真左から右のほうに向かって走り、画面上方への急カーブを曲がり切れずに激突した。そして、どういうコースをたどったかは知らないが、現場から、この森タワーのほぼ根っこ部分に位置する救急病院に運ばれた。いやはや他人様には、それがどうした、という話かもしれないのだが、本人は自らの運命の不思議にあらためて驚いている。
さて肝心のライブドアである。僕の「入社」が3月1日。なんだか機を一にして、世間を大騒ぎさせる「事件」が立て続けに起きた。
ほんとうにおかしくて仕方ないのだが、「もしかしたら一連の仕掛けに中山さんが絡んでいませんか?」というお尋ねがこのところ非常に多いのである。
「社内のことはしゃべれませんので」 と返事すると 「やっぱりねえ、いやそうじゃないかとにらんでました。いやいや事情があおりなのは十分わかりますから、これ以上はうかがいませんが・・・」 と勝手に質問しておいて、勝手な判断で話題をそらしてくれてしまう。
そういえば、僕はこの連載でも過去何回か、堀江さんを結果的には持ち上げるような、エッセイを書いている。「もしかしたらこの日本を変える可能性を持った人物」とまで書いた。その僕が数ヵ月後、ライブドアに就職。そして立て続けの大仕掛けが炸裂。はは、偶然にしてはできすぎている。はたがいろいろ深読みしても不思議はない。
種明かしからいうと、僕のオートバイ事故と森タワーの関連性がまったく偶然の産物なのと同じように、僕のライブドア入社と、一連のニュースはなんの関連もない。かつてお世話になった方がニュースセンターの責任者で、その方から「手伝ってくれないか」とお誘いを受けたのが1月2日のことだ。つまりすべては偶然に過ぎない。
と同時に、世間が考えている「ホリエモン」の戦略、と実際に「ホリエモン」が考えている戦略の間にはかなりの乖離がある。
つまり世間の側(特に大メディア)が彼の意図を深読みしすぎている部分が相当ある。彼の放った、あくまで資本の論理にそった矢が、射手が意図しなかった大メディアのいちばん弱い部分(つまり時代にあわなくなった部分)に偶然にも、深く突き刺さってしまった、ということではないか。
その辺を、つまり「ホリエモン」が実のとことは何を考えているのか、そしてなぜメディアの側が過剰にうろたえまわっているのか、僕なりの分析をいまここで書いておくことはとても大事だとは思うのだが、一方で微妙な時期、と立場であることも確かで、タイミングを見ながらおいおい書いていきたい。
いずれにしろ、いま日本中の耳目を一身に集めている人物と同じ会議テーブルを囲んだり、または廊下ですれ違ったり、またはトイレに並んで偶然「連れ××」状態になったり、というのは、理屈抜きに面白いことではある。
はたまた、こういう状況に、なんら意図していないのに、偶然にも自分が立っている、という状況がこれまたいとおかし、とひとりにやにやしている。
読者の皆さん、いろいろ知りたいことがおありでしょうが、少しばっかり時間をくださいね。
※お詫びと訂正。通しタイトルを一時「デジアナ日記」としましたが、当初のタイトル「木を見て森を見る」にもどさせていただきました。これもたいした意味はなく、新タイトルがどうも好きになれない、それだけの理由なんです。
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