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葉山日記
61 波乱万丈
2005年1月1日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ 若気の至り、の頃。といっても37歳。なんだか体力の衰えを感じ、あせっていたような時期ですね。いまから思えばまだ十分若かったのに。
【前号まで「木を見て森を見る」というタイトルでエッセイを書かせていただいておりましたが、今回から通しタイトルを「デジアナ日記」に変更させていただきます。アナログからデジタルへの転換期でもがく50歳代台後半のオジサン日記です。=3月5日オリジナル原稿に追記】


三浦半島の付け根、葉山に住み始めてもう20年になる。

そもそもむかしから海が好きで、息子の名が「海(かい)」、娘が「なぎさ」。その子たちが生まれる前からいつの日か海のそばに住みたいとは思ってはいたのだが、住んでいた町田の家を売却し、葉山に家を建てる決断をさせたのにはあるきっかけがある。

37歳のとき、僕は首都高速浜崎橋付近で、あとから思えば即死していたとしてもなんら不思議のない大きな交通事故に遭遇した。といっても自損事故だ。250CCのバイクで高速走行中カーブを曲がりきれず壁面に激突、そのまま道路中央に放りだされた。衝突の角度によっては、高速の擁壁を飛び越えそのまま10数メートル下の一般国道に落下していただろう。

幸運にも僕は高速道路中央に投げ出され、なおかつ日曜日の交通量の少なさが幸いし、後続車の運転手の機転で無事救急車で近くの病院に運ばれた。

ふと気がついたときには、眼前に壁が迫っており、ハンドルを左にひねろうとしたことまでは憶えているが、激突瞬間の記憶はない。つまり、あのままおだぶつとなっていれば、苦痛もなにもなく今ごろは天国で、もちろんこんなエッセイを書いている自分もこの世にはいない。

もしあの時、衝突回避の時間がゼロコンマ数秒遅れていたら、僕は間違いなく、空を数秒飛んだあと、国道にたたきつけられ、おまけに走行中の車両数台にごろごろと踏み潰されていただろう。残された家族はさぞかしむごい僕の顔をみることになっただろうが、あ、死ぬってことはそう痛かったり、苦しかったするわけじゃないんだなあ、というのが事故直後抱いた感想である。

幸い(といっても左腕骨折)にも僕は一命をとりとめ、4月後には職場に復帰できたのだが、人生観が変わった。そしてある決断をしたのである。「海のそばに住む」。

なぜそういう結論になるの、というのがわが妻の反論であった。「人間、いつなにが起きるかわからない。明日のことはだれにもわからない。だからいつか、なんてことは考えてはいけない。夢は今すぐ実現しなくちゃ」というのが僕の理屈だった。かなり変な理屈ではあるが、とにかく事故から1年半後、僕は葉山に家を建てた。

それから5年後、僕は会社をやめ、その葉山の家を売却し、家族ともどもアメリカに移住することになるのだが、反対する妻を説得する理由はまいど同じである。そのつど僕ら夫婦は壮烈な口論を展開するのだが、おおむね「夢を追わせてくれ」という僕の熱意に、妻はいつもだまさ、いやほださ、いや違う、説得され、不思議なことに離婚することもなく今日に至っている。

アメリカ生活5年を終え、僕らはまた葉山に家を買った。前の家に比べ、海の眺望は格段にすばらしくなったが、新築する余裕などもはやなく、築30年のボロヤだ。日本列島に大寒波襲来中のこの新年、我が家は4台の灯油ストーブがフル稼働だ。そうしないと隙間風で風邪をひいてしまうのだ。

実は2年前にこの欄に「木を見て森をみる」というタイトルでエッセイを書き始めたとき、僕にはひとつの目論見があった。このボロヤを売却し、ここから数キロ南に下った山のなかに、土地を買い、自力で家づくりをしようと思っていたのだ。その過程を同時進行でエッセイにしたら面白いではないか。

それから2年。今度だけはその夢は実現しそうもない。僕は昨年末、東京・新宿にオフィスを持った。3月からは六本木にあるベンチャー企業に入社し、その会社が運営するウェブサイトのニュースセンター編集業務も引き受けることになった。

葉山、新宿、六本木。田舎と都会。経営者とサラリーマン。アナログとデジタル。これらが交錯する世界のはざまでしばらくもがくことになる。

これから先き、僕はどういう人生を歩むことになるのか。はてさて、書いている自分自身でもよくわからないのであるが、葛藤の日々になるのか。それとも楽しい日々になるのか。なるべく事実をたんたんと書いて、この波乱万丈の人生を、できれば、楽しみたいと思う。
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