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天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ〜後楽園 |
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2020年10月23日 |
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 | 原田 美佳 [はらだ みか]
東京都出身。学生時代から長年関わった韓国文化院を2015年末に退職。現在は、日本ガルテン協会の広報部長の仕事をしながら、これまで関わってきた韓国文化を日本に紹介するための著作、交流活動を中心に自分のライフワークを模索中である。共著書に『コンパクト韓国』(李御寧監修)、『読んで旅する韓国』(金両基監修)、「朝鮮の王朝の美」、『朝鮮王朝の衣装と装身具』などがある。 |
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▲ 後楽園唐門 |
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▲ 寝覚めの滝と寝覚めの床 |
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▲ 木曽路を抜けた大泉水は琵琶湖の形式であり大亀の鼇が支える蓬莱山でもある。 |
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小石川後楽園の見学は、東門から始まるように設計されている。 書院造りの武士の内庭、唐門、寝覚めの床ならぬ、寝覚めの滝からがスタート地点だ。(唐門は現在工事中。)ところが、いまは涵徳亭の西門が入り口になっている。以前に会長が、庭園の先生方に伺ったら、引率するときは黙って早足で、唐門まで歩くとみな、どうしたことかとついてくるそうだ。西門から見ると、映画なら途中からから観て、最後から最初にといった感じだ。
木曽路の寝覚めの床は、浦島太郎が助けた亀に連れられて行った龍宮城から帰り、釣りなどをしながら諸国行脚をして、乙姫様から頂いた玉手箱をふと思い出して開いてしまったところ。以前、日本ガルテン協会の旅行でも上松の寝覚めの床を観に行った。バイオリン製作者の陳昌鉉先生の奥様に故郷だから上松に行くのだったら案内したのにと、残念がられた。 後楽園では、寝覚めの滝が暗い木曽路の前に配されている。 さて、東か、西かこれからどちらに進むのか。そんな思いを巡らすのが、庭の楽しい所でもあり、勉強を必要とすると思うのがこうした伝承話や故事を取り入れていれて、主人の思いを入れるところでもある。
天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむから名付けられた後楽園だが、六義園程知識はいらないかと思ったら、つぎつぎとあって、やはり徳川家はあなどれないと反省。 家康遺訓、旗印から伊勢物語、枕草子などの話、また、京都の大堰川から中国の西湖や長野の浦島太郎伝説の寝覚めの床などと訪れたところもある。 日本庭園には、ほんとうにいろいろな思いが詰まっているのだ。
人の一生は 重荷を負うて、遠き道を行くがごとし 急ぐべからず 不自由を、常と思えば不足なし 心に望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし 堪忍は、無事のいしずえ 怒りは、敵と思え 勝つことばかりを知って、負くることを知らざれば、 害、其の身に到る 己を責めて、人を責めるな 及ばざるは、過ぎたるに優れり 慶長八年正月十五日徳川家康人生訓
#日本ガルテン協会 #小石川後楽園 #後楽園
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