1989年創立 個の出会いと交流の場 研究会インフォネット
HOME 研究会インフォネットとは 会員規約 お問い合わせ
会員専用ページ
過去のINFONET REPORT カレンダー 会員連載エッセイ なんでも掲示板
会員紹介 財務報告
会員連載エッセイ
最近の記事 以前の記事
葉山日記
68 インターネット時代のジャーナリズム(2)
2005年11月20日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ 東京・原宿にて
「こいつら生まれたときからライバルとの生存競争にもまれて強いですからね。なかなか死なない」―と、講演で物騒なことをはっきり言うのは某社社長。「こいつら」というのは、58歳の当の社長が属す団塊世代のこと。その1歳うえの僕自身も「こいつら」に含まれる。

社長によると、あと5年後くらいに日本の財政は間違いなく破綻するという。その主因は年金問題だ。2007年から2009年にかけて、定年退職を迎える男性は700万人と言われる。この700万人=団塊世代、といっていいだろう。

ぼく自身、正直いうと年金問題などこれまで真剣にかんがえたことがなかった。もちろん僕は死ぬまで働く気でいるし、「老後生活」のことなどじじむさい、後ろ向きの思考だと反射的に忌避するものもあって、これまでこの問題から逃げてきた。

たとえてみれば、野生の危険な動物が徘徊するサファリパークを、防護ガラスつきのバスの内側から眺めているような、こわい世界が現実にまぢかにあるのは分かっているのだが、なんとなくいつまでもクーラーつきの居心地よい車内からそれを眺めていられるんじゃないか、といった趣きがあった。

妻の話によれば、僕は60歳になる来年4月から、年金の掛け金を支払う必要がなくなる、つまり支払い満期を迎え、今度は年金をいただく側に回る、とのこと。「とのこと」と能天気だが、ことほどさように自分の年金問題など真剣に考えたことがなかったのだ。「へえ、そうなの」という僕に妻は呆れ顔をした。年金をいただけるようになるのはその3年後、63歳から、「とのこと」だ。

ここでようやく社長の話が現実味を帯びてくる。「こいつら」700万人が定年退職をすると同時に国庫にいっせいに掛け金がはいらなくなる。そしてその3年後、「こいつら」への年金支払いがいっせいに開始される。そして「こいつらはなかなか死なない」となると。

社長が警告を発した5年後の事態が、「う、これから先きどうなる?」という深刻な不安感となって忽然と湧きあがってきたのである。同時に、周辺の、年齢的に近い人びとが定年退職したり、自分自身が以前にはなかった体調の変化を感じたりすることが最近増え、不安はさらに増幅していく。

団塊世代は厄介である。当事者の僕自身が、そのことをここ10年くらい前から考え続けている。この世代は70年全共闘世代、ともいわれる。学生時代は学園闘争で暴れまわった世代でもある。米帝(アメリカ帝国主義)フンサイ、天皇制カイタイ(解体)、と連日デモを繰り返した。機動隊とぶつかって威勢がよかった。団交(団体交渉)と称して、大学学長や教授たちをつるしあげた。

ところがこの威勢のよかった世代は、就職して社会にはいると、すっかりまじめな企業戦士に変身する。そしてバブル最前線で獅子奮迅の活躍を果たす世代となる。団塊世代の特徴は、この「変わりの身」のみごとさではないか、と僕自身は感じている。

ところがもうひとつこの世代の特徴は、仕事にまい進しながらも、「これでいいのか」と内心忸怩たる心境を常にいだいており、自分の生き方の矛盾のようなものを十分に自覚して、なにやらコンプレックスめいたものをもっている。

僕自身といえば、威勢のよくない学生であった自分自身に学生時代いらいずっとコンプレックスを抱えたまま生きてきた。


全共闘世代の特徴は、やはり同世代の猪瀬直樹氏が指摘しており、以前の僕のエッセイでも触れたことがある。

http://www.kenkyu-kai.info/cgi-bin/forum/essay/detail.php?num=60&name=nakayama

重複になるが以下「明日も夕焼け」(朝日新聞社刊)より引用する。

「どうも僕の世代は、父親の演じ方が下手なのである。全共闘世代とか団塊の世代などと呼ばれて、家父長制度を標的にして破壊の情熱にとりつかれた。それがじつは自分の足下を突き崩すことだったとは気づかない。いや、子育てを終えるころにうすうす気づきはじめ、戸惑っているのだ。定型、様式、形、そういうものを壊したツケが、たしかにじわじわっと毒のように効いてきた。」

「君の自主性を尊重するとか、自分で考え給えとか、格好がよいけれど決断という負担を単に押しつけているだけで、とても無責任なのである。確固とした価値観がなく臆病でなにかから逃げているだけにすぎないのに、ものわかりがよいふりをしている。」

「インターネット時代のジャーナリズム」というテーマからはずれてきてしましまったが、チャンネルKが、ブロガーの攻撃を浴びて沈黙してしまったのは、どうもこれまで述べてきたような世代論を抜きにしては語れないような気がしてしかたがないのだ。もちろんチャンネルKの編集部は、われわれと同世代、つまり団塊の世代である。(続く)
最近の記事 ページトップへ 以前の記事
ボーダーを越えて
雨宮 和子
かくてありけり
沼田 清
葉山日記
中山 俊明
寄り道まわり道
吉田 美智枝
NEW
僕の偏見紀行
時津 寿之
老舗の店頭から
齋藤 恵
ぴくせる日記
橋場 恵梨香
縁の下のバイオリン弾き
西村 万里
やもめ日記
シーラ・ジョンソン
徒然.... in California
明子・ミーダー
きょう一日を穏やかに
永島 さくら
ガルテン〜私の庭物語
原田 美佳
バックナンバー一覧
123 富士三昧
122 断捨離(2)
121 断捨離(1)
120 喪中につき
119 いろいろあった2014年
118 年賀状考
117 新年号準備中
116 あの日の朝
115 心に響いたことば
114 僕の海
113 ウィンドサーフィン
112 無心の境地で
111
110 64歳のスタート
109 妻との会話
108 坂の上の雲
107 「変人たち」の一瞬
106 歯みがきチューブ
105 宣告(下)
104 宣告(上)
103 とんがりコーン
102 グローバル戦略(1)
101 大臣辞任
100 なにはともあれ
99 ガラガラポン
98 野球とハリケーン
97 ある土曜日の記録
96 続・決定的瞬間
95 鳩時計(下)
94 鳩時計 (上)
93 決定的瞬間
92 HANG IN THERE
91 残すか、捨てるか
90 同窓生
89 去りゆく夏
88 東京タワー
87 立ち位置
86 エッセイ再開
85
84 侮るなかれ、恐れるなかれ
83 整理
82 孤独
81 写真家
80 鬼怒川温泉
79 夢物語
78 SOMETHING
77 還暦
76 花盗人
75 ホリエモン(下)
74 ホリエモン(中)
73 ホリエモン(上)
72 フィルムが消える日
71 新年読書三昧
70 下請け
69 蝉しぐれ
68 インターネット時代のジャーナリズム(2)
67 インターネット時代のジャーナリズム(1)
66 海坂
65 刺客
64 麻酔
63 偶然
62 六本木の病院
61 波乱万丈
60 シ・ア・ワ・セ
59 「老害」を打破せよ
58 「ライブドア」対「楽天」
57 ブログってなに?
56 ブログ戦争
55
54 不思議な「装置」
53 釈明不要
52 皇族の自己責任
51 皇太子発言
50 異常のなかの日常
49 ロバート・キャパ
48 コンテンツ(最終回)
47 コンテンツ(9)
46 コンテンツ(8)
45 コンテンツ(7)
44 コンテンツ(6)
43 コンテンツ(5)
42 コンテンツ(4)
41 コンテンツ(3)
40 コンテンツ(2)
39 コンテンツ(1)
38 下戸
37 野狐禅
36 続々・年賀状考
35 続・年賀状考
34 年賀状考
33 思考スパイラル
32 龍志の遺稿
31 冷たい風
30 先延ばし
29 「有栖川宮」
28 窮鼠、猫をかむ
27
26 リタイアメント
25 続・大胆予測
24 大胆予測
23 執筆方針やや転換
22 バングラデシュ
21 すりかえの論理
20 囚人のジレンマ
19 野合
18 便所の落書き
17 バナナとタマゴ
16 日本の景気は回復する
15 土地について考える
14 ドメイン −5
13 ドメイン −4
12 ドメイン −3
11 ドメイン −2
10 ドメイン −1
9 「19%」の意味
8 僕らの世代(2)
7 僕らの世代(1)
6 ど忘れ
5 スペースシャトル
4 80年代初頭の写真
3 ハンバーガー
2 ゆでガエル
1 止揚
ページトップへ
Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved. Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラスト等、全てのコンテンツの無断転載・複写を禁じます。
0 7 6 0 7 5 1 1
昨日の訪問者数0 4 4 6 3 本日の現在までの訪問者数0 2 0 4 5