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葉山日記
118 年賀状考
2014年1月1日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ 「健康がいちばん」 神奈川県・葉山町の一色海岸で=2013年12月、淺川一博君撮影
2014年あけましておめでとうございます。昨年はこの欄のエッセーが1本も書けませんでした。変に気負ってしまうと、ますます書けなくなってしまいますので、今年はのんびりと気ままにやりたいと思ってます。幸い、(むかし職業とした)写真という便利な表現手段がありますので、「ビジュアル主体で、テキスト従」という方向を考えています。よろしくお願いします。
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昨年暮れは、ここ10年出来なかったことが実現できて、たいへん気分が良かった。べつにたいしたことではないのだが、年賀状を12月30日午前までにすべて投函することが出来た。なにごともお尻に火がつかなければ動き出せない、愚図の僕には珍しい事件なのだ。

成功のコツは、年賀状の宛名書きにプリンターを使わず、半分ほどを手書きにしたこと。少し時間があると、黒のマジックペンで10通ほど宛名を書く。これが終わったところで裏面の写真に白い水性ペンでひと言あいさつ文。書く順番は遠隔地から。九州、北海道とまとまるたびに発送。同じ手順で四国、中国、東北。遠隔地を先行させることで心に余裕が生じる。最後に関東。この辺になるとプリンターも併用してスピードアップ。気が付いたらいつの間にかすべて投函できていた、というわけだ。

眼から鱗とはこのことだ。機械を使ったほうが作業スピードは速い、という思い込みというか錯覚があった。プリントは当然ながらプリンターがなければやれない。これは自分の仕事部屋にいなければ年賀状づくりの作業はできないということだ。ところが手書きならどこでも作業が出来る。外出のたびに葉書を持ち歩き、暇ができたらちょこちょこと書けばいい。ふつうの人間にはこの「ちょこちょこ時間」が意外にあるもので、その時間の積み重ねは大きい。

加えてプリンターはミスが出やすい。途中で紙詰まりを起こしたり、インク切れを起したり。放っておいても動いてくれる代わりに、ミスに気づかないまま失敗作の山が出来てしまい、その結果ひつよう枚数が足りなくなってあわてまくる。つまりプリンターを使う作業はトラブルが発生するリスクが高いのと、ひとたび事故が起これば、歩留まりが急カーブを描いて悪くなるのだ。手書きは書き損じても1枚単位。しかも修正ペンで直せばいい。

もちろん手書き年賀状は相手に好印象を与える。出すほうも書きながら相手の顔や消息を思い浮かべる。そもそも現役を離れつつある人間が、機械の力を借りてまで大量の年賀状を送り続ける意味があるのか。相互に機械が「書いた」年賀状の送り合い。どちらからも先には止められない。ま、機械がやってくれることだから100枚も300枚もたいした差はない。気持ちのこもらない儀礼のやりとりの永久連鎖。

この歳でいまさらこんなことを言うのも恥ずかしいのだが、機械や便利が善、という考え方が知らず知らず身に付いてしまっていることに、年賀状が気付かせてくれた。思い込みや錯覚にとらわれた判断・思考をしていないか、ことさら注意深く今年は生きなければと思っている。

「国のために殉じた英霊に感謝するために靖国神社に参拝するのは当然のことだ」とおっしゃった安倍総理。若者たちは国のために「殉じさせられた」のであり、「殉じた」のではありません。あえて美しい言葉で死を美化するのは、あの戦争を推進した人びとの身勝手な思想をオブラートで包む意味しかありません。僕が20代の半ば、取材した原発反対運動のリーダーがポツリと言った言葉を思い出す。「お上が発する『開発』のひと言にはいかなる反対運動もかないません」。

「原発がなければ日本の豊かさは維持できない」という方たち。あれだけの悲劇を見ておきながら、あなたたちはまだ間違った思い込みと錯覚から脱することが出来ないのですか。あなた方が言う「豊かさ」とはいったいなんでしょう。指とペンによる宛名がきは、作業自体が充足感を与えてくれ、効率の面でもけして機械に引けをとらないことを教えてくれた。

来年から年賀状はすべて手書きにしよう。手で書くのが疲れるようだったら、疲れない範囲まで出す枚数を減らそう。本当に年賀状を書きたい人の数は、たぶん手が疲れないほどの数しかないとは思うが。
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