1989年創立 個の出会いと交流の場 研究会インフォネット
HOME 研究会インフォネットとは 会員規約 お問い合わせ
会員専用ページ
過去のINFONET REPORT カレンダー 会員連載エッセイ なんでも掲示板
会員紹介 財務報告
会員連載エッセイ
最近の記事 以前の記事
寄り道まわり道
33 熱帯でゴルフを楽しむ法
2005年8月16日
吉田 美智枝 吉田 美智枝 [よしだ みちえ]

福岡県生まれ、横浜市在住。夫の仕事の関係で韓国ソウルとタイのバンコクで過ごした。韓国系の通信社でアシスタント、翻訳、衆議院・参議院で秘書、韓国文化院勤務などを経て現在に至る。自作のアクセサリーをBeads Duoというブランドで販売しながら、韓国の主に女性たちについてエッセーを執筆中。『朝鮮王朝の衣装と装身具』(共著)、韓国近代文学選などの翻訳がある。
▲ さんごチップと赤いタイの竹ビーズを使ったラリエット。アイボリー色の部分は貝ビーズ。
▲ 紺色の布はタイのマッドミー(絣の一種、シルク)。
「こんな暑い国でゴルフをする人の気が知れない!」
友人たちに誘われ、私が言い放ったセリフだそうである。だが、この約半年後、私はひょんなことからゴルフにハマる。

夏の盛りになると、タイでのゴルフを思い出す。気温36℃、地上温度40℃の炎天下、スポーツドリンクをガブ飲みし、汗をダラダラ流しながら、ひたすら白い小さなボールを追う。

寒さに縮こまりながらする日本の冬のゴルフか、熱帯でのゴルフか、ニ者択一を迫られたら、私は迷わず後者を選ぶ。

スポーツというのは、もともと健康とストレス解消が目的であるはずなのに、炎天下でのゴルフなんてその対極にあるようなものだが、暑いには暑いが、身も心も伸びやかに思いっきりよくスウィングできる爽快さは捨てがたい。それに白いボールを夢中で追っているうち暑さなど忘れてしまうから不思議である。

とはいえ、日焼け対策は必須である。長袖シャツ、長いパンツ、帽子、サングラス、首を覆うスカーフ、手袋、外に出ているのは顔の皮膚だけで、その顔とて日焼け止めクリームとファンデーション。歌舞伎役者顔負けの厚塗りである。これが、タイでゴルフするときの私たち女性のイデタチであった。紫外線の強い熱帯でゴルフを楽しむにはこれぐらいの武装は覚悟しなければならない。

女性だけではない。男性だって…。コースでお面のように真っ白い顔の男性に会い面食らうことがある。ましてそれが親しい友人のダンナさんだったりすると、見てはいけないものを見たような気がしてドギマギする。噴き出しそうになるのをこらえあいさつしたものかどうか躊躇しているうちに、あちらは知らぬ顔で行き過ぎる。なんのことはない、あちらはあちらで、こちらが誰だかわからないのだ。なにしろ完全すぎる武装なのだから…。

熱中症対策ももちろん怠らない。スポーツドリンクをペットボトルで3,4本飲み干すぐらいの覚悟が必要だ。1ショットごとにスポーツドリンクをグビグビ飲む。(タイは湿度が高いので)必然的に汗がとめどなく流れる →化粧が落ちる→日焼け止めクリームを塗る→グビグビ→流れる→クリーム…この繰り返しである。

日本以外では、途中の昼食・休憩を入れず18ホールスルー(通し)でまわるのが普通である。カートは1人1台ずつ使えるから3時間もあれば、あっという間に終わる。早朝に家を出て暗くなって帰宅、という日本でのゴルフとは大違いだ。

キャディーさんもプレーヤー1人に1人ずつ。だから、キャディーさんとのコミュニケーションは大事な要素となる。わずかなボキャブラリーのタイ語を駆使し、気の利いた冗談でやり取りできるということなし。冗談好きのタイ人のこと、キャディーさんの働きも違ってくる。

ナワタニ(Navathanee)ゴルフクラブというゴルフ場がある。1975年にワールドカップが開催されたゴルフ場である。バンコク市の中心から車でわずか30分のところにあり、地理的便利さ、コースの美しさ、キャディーのマナーのよさなどから人気のゴルフ場である。

ここのキャディーさんはなぜかイスラム系の人が多い。おおらかで気がよく、タイ人特有のホスピタリティーに富んでいる。だが、中には長年のベテランでコワモテのキャディーさんもいて、こちらが欲しいクラブを言っても、「いいや、こっちでやってみて!」と頑固、頑固。互いに目と目で火花が散る場合もある。

こんなことならタイ語できないフリしておくんだった!語学がいつも役に立つとは限らない。世の中、なにごとも加減が難しい。

「お客様にお願い。オーナーがプレーしているときは、どうぞ道をお譲りください」
このコース、スタートホールの入り口にこんな立て札がある。

そう、ここはオーナー優先のゴルフ場なのだ。オーナーが毎日ゴルフを楽しむためにつくり、一般の人にも(ついでに)公開しているというスタンスなのだろう。この文言に出くわした日本人の反応は概ね2通りである。けしからぬオーナーだと気を悪くするか、常識がないとうすら笑いをするか。

このオーナーが特殊なのか、タイの常識なのか…いまだに私にはナゾのままである。だが、この看板が何年もそのままなところをみると、ここではそれほど非常識なことではないらしい。

とはいっても、タイでのゴルフは気楽でいい。たいしたレッスンも受けずにコースに出た初心者の私でも誰に気兼ねするでなく、ゴルフをエンジョイできたのは南国タイのこういった、どこかのんびりとしたゴルフ場事情(料金も安かった)によるところが大きい。

おもいっきり大汗をかいた後、シャワーを浴び、ゴルフ場内のレストランでタイ料理を囲み冷たいビールを飲む。つい今しがたわがボールを飲み込んだいまいましい池の水面を吹き抜けてくる風を頬に感じながら、仲間たちとその日の18ホールを振り返る。タイに来てよかった…そう思うひとときである。

ゴルフ、そしてビールと焼肉とマッサージ…これぞわが夫のいう“至福の4神器”。ゴルフの後、またまたビール片手に焼肉をおなかいっぱい食べ、焼肉店近くのマッサージ屋さんになだれ込む。昼間の疲れと満腹感で夢うつつの2時間…こうして霜降り肉が出来上がる。

(追記)タイのゴルフプレー料金はこの1,2年で急上昇している。昨年12月に訪れたときにはどのゴルフ場も軒並み上がっていて驚いた。私がタイに住んでいたころは、日本の3分の1以下であった。
最近の記事 ページトップへ 以前の記事
ボーダーを越えて
雨宮 和子
かくてありけり
沼田 清
葉山日記
中山 俊明
寄り道まわり道
吉田 美智枝
NEW
僕の偏見紀行
時津 寿之
NEW
老舗の店頭から
齋藤 恵
ぴくせる日記
橋場 恵梨香
縁の下のバイオリン弾き
西村 万里
やもめ日記
シーラ・ジョンソン
徒然.... in California
明子・ミーダー
きょう一日を穏やかに
永島 さくら
ガルテン〜私の庭物語
原田 美佳
バックナンバー一覧
82 韓国民謡 アリラン (日本語版)
81 에세이 아리랑 (韓国語版)
80 Korean song Arirang (英語版)
79 百年の生涯 (英語版)
78 百年の生涯 (韓国語版)
77 悲運の詩人 許蘭雪軒(韓国語版)
76 悲運の詩人 許蘭雪軒
75 江陵に咲いた花 申師任堂 2
74 江陵に咲いた花 申師任堂1
73 相思華(상사화)
72 迷いの中で
71 小さな写真集
70 故郷往来
69 寄り道まわり道
68 まだこどもでいられる幸せ
67 大ボケ小ボケ
66 サヨナラガニガテ
65 夢のかけら
64 書くということ
63 難易度
62 気晴らし
61 二人三脚
60 暑い夏のすごし方
59 ゴルフ中継の憂鬱
58 悪女の方程式
57 媒体
55 余白
54 あなたに似た人
53 夢の庭
52 エッセーの心得
51
50 もう一人の上司
49 龍馬のように
48 ホームセンター
47 ユルスナールの靴
46 モティーフ
45 あれかこれか
44 ビーズ日記再開
41 カウチポテトを夢見て
40 チャイ・ローン
39 ワイとチャイ
38 100年の生涯
37 春のワルツ
36 マッサージの迷宮
35 幸福の庭
34 彼女のパール
33 熱帯でゴルフを楽しむ法
32 伝説のホテル
31 ベートーベンハウス
30 旅に出ます
28 辺境が好き 前編
27 白い猫
26 龍宮城伝説考
25 寄り道
24 花の旅笠
23 二村洞の人々
22 クヮナクの友人たち
21 追憶ーソウル原風景
20 遍歴
19 エスニック通り
18 小さなジャングル
17 老後の楽しみ
16 失われた楽園
15 女らしい男たち
14 メナムの夕日
13 迷路
12 ノイさん
11 M.ハスケルを探して 5
10 M.ハスケルを探して 4
9 M.ハスケルを探して 3 
8 M.ハスケルを探して 2 
7 M.ハスケルを探して 1
6 旅は猫連れ
5 本ものの偽もの
4 シンプルからの脱皮
3 ビーズな日々の始まり
2 カニカレー
1 タイは「微笑の国」?
ページトップへ
Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved. Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラスト等、全てのコンテンツの無断転載・複写を禁じます。
0 7 5 9 8 0 1 0
昨日の訪問者数0 4 0 6 3 本日の現在までの訪問者数0 2 5 2 5