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かくてありけり
23 ペーパーレス
2004年3月14日
沼田 清 沼田 清 [ぬまた きよし]

1948年、新潟県生まれ。千葉大学工学部卒業。2008年、通信社写真部を卒業、以後は資料写真セクションで嘱託として古い写真の掘り起こしと点検に従事。勤務の傍ら個人的に災害写真史を調べ、現在は明治三陸津波の写真の解明に努めている。仕事を離れては日曜菜園で気分転換を図っている。
 何年か前、職場にIT化推進の号令が掛かり、最終的にはペーパーレスでの業務運用を目指すと言う話でした。その後、新しいシステムが完成して、近ごろようやくペーパーレスの実現に一歩を踏み出しました。とはいっても、申請文書や届け出・報告文書、承認文書、通達文書など扱う事務系のIT化のお話です。

 じゃあ編集系の業務はというと、これがなかなかです。記事や写真もIT化され、電文やファイルとしてやりとりされるのであれば、紙は不要と思うかもしれませんが、それぞれの作業端末には必ずプリンターが付いていて、入力の度に自動的にモニタープリントが出てくる。昔と変わらないどころか、前より紙の消費量は増えているようです。

 なぜかなと自分の職場の業務を振り返りました。デスクワークは編集と校閲の作業を兼ねています。その観点から一つ一つの作業を洗うと、紙とディスプレーの機能の違いにたどり着き、次のような紙の利点が見えてきます。

・一覧性。新聞は1ページ全体を見渡せる、本ならページめくりが出来るし他のページとの参照も容易である。

・携帯性。印刷物は特別の仕掛けはいらないで持ち運びできる

・書き込みが可能。編集作業というのは過程が大切だとおもいます。赤ペンを持って文章を添削をするとき、その前と後での違いが一目瞭然に出来ること、紙を残せば経過も記録できる。本への書き込みも紙だからこそできます。

・目への負担。PCディスプレーは目に優しくない。私は写真部ですのでフィルム時代はライトテーブル上にネガを並べ、ルーペで見ました。それが40代後半から辛くなってきた。同時に夜間の車の運転が辛くなってきた。晴天の日中の屋外ではサングラスが欲しい。加齢に伴い浅い白内障が出てきたのです。明るいところ、コントラストの強い光景、テレビ画面など自ら光を出すディスプレーや透過原稿は敬遠するようになりました。その点、反射光で見る印刷物は目に負担が小さい。中年の編集者が原稿を紙で出してその上で作業をしたがるのはリテラシーの問題だけではないと感じます。

 印刷物を見るのとPC画面を見るのでは瞬きの回数も違う様な気がします。瞬きはリセットだと言います。一覧性とも関係しますが、PCでは今見ているところを見失うといけないので瞬きをしない。新聞や雑誌では全体のレイアウトからどこを見ているか把握しているので、見失わないですぐ戻れる。見つめっぱなしではドライアイの患者が増えるわけです。

 一方、電子ファイルは仕掛けさえ整えたら、検索性、伝送のスピードや同送性、双方向性、保存の省スペースなど優れた面はあります。
 要はアナログとデジタルの長所を使い分けて行くことが大切なんだと思いますが、ペーパーレスそれ自体が目的化して押しつけられると現場は苦労しますね。

 以上のことを愚考した後、WEBで検索したら、私が感じていたことにズバリ答える記事がありました。日本ユニシスの高谷賢一氏が「ペーパーレスオフィスの神話」を今年1月28日付で書いていますhttp://japan.internet.com/column/public/technology/20040128/1.html

 そこでは紙媒体の「アフォーダンス(余裕価値)」と言う概念も紹介しています。アフォーダンスは「モノの物理的特性がそのモノを認識ないし使用する人にとって色々な機能を提供する。換言すればモノの特性が、可能な行為を規定する」ことだそうです。

 紙は薄く、軽く、水・油透性があり、不透明で、折り曲げ自由であることから、つかんだり携帯したり、丸めたり書き込んだりが可能になっているわけです。
このような紙のアフォーダンスをすべて代替するようなIT機器はまだ市場に現れてない。

 また、知的作業というのは進行過程が大切で、それをいかにやりやすくするか、書き込みが出来たり複数の参照が出来たり、全体の中で当たりを付けたりということが可能でないといけない。
 作業が終了してできあがったものはその時点で死んだモノでありほとんどは二度と見ない。死んだファイルを電子化するのがITの得意分野であるとも書いています。私が感じていたことを裏打ちしてくれて、なるほどと思わせる記事です。
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