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かくてありけり
24 人力飛行機
2004年4月3日
沼田 清 沼田 清 [ぬまた きよし]

1948年、新潟県生まれ。千葉大学工学部卒業。2008年、通信社写真部を卒業、以後は資料写真セクションで嘱託として古い写真の掘り起こしと点検に従事。勤務の傍ら個人的に災害写真史を調べ、現在は明治三陸津波の写真の解明に努めている。仕事を離れては日曜菜園で気分転換を図っている。
 あなたは空を飛ぶ夢を見たことがありますか?

 私は近ごろは見ませんが40代まではときどき見ました。飛び方は、飛行機に乗るのではなく、自らの身体が飛行体となって滑空して行く。身体を水平に伸ばし腹ばいの状態で前進する。方向転換は自由で、好きなところへ飛んで行ける。エンジンは無く、手足をばたばたさせることもないので振動も騒音もない。高度は低く、スピードも速くない。それでも加速や減速の時の感覚はヘリコプターの動作に似ている。不思議と墜落することもない。鳥に例えると雀のような小鳥よりは悠々と舞うトンビに近い印象です。

 切り抜き帳の連載のはじめのころに書いた「怖い夢」とは反対に、このまま覚めなければよいのにと思わせる快い夢です。

 なぜ空を飛ぶ夢を見るのでしょうか?
小さい頃学校のグラウンドに舞い降りたヘリコプターの印象は大変強烈でした。飛ぶことに憧れ、飛行機の話題にはずっと関心を寄せてきました。願望が夢に現れたのでしょう。飛ぶ夢を見ることについて心理学の分野では何かしら意味づけをするようですが、私の頓着するところではありません。でもそんな夢を今一度見たいなと思っていた矢先、久しく忘れていた感覚を思い出させてくれるニュースが先月ありました。

 3月21日朝、日本大学理工学部の航空研究会の「メーベ(Moewe)20」が静岡県蒲原町の富士川滑空場で人力飛行機の飛行距離の日本記録に挑戦し、昨年ヤマハ発動機の同好会が樹立した10.9舛竜録を1.1曽絏鵑襭隠沖舛凌卦録を達成しました。12舛鬘苅曲40秒で飛行ですから、時速15.4舛任后写真は次のホームページで見られます。

http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2004mar/21/K20040321MKC2Z100000024.html

 ドイツ語でカモメを意味するメーベの機体は全長8叩⇒稍坑械沖叩⊇杜味械記繊パイロットの重量を入れても100遡にです。主翼の下に吊したような卵形のコックピット内でパイロットはペダルをこぎ続けプロペラを回します。今回挑戦したのは3年生の平綿甲斐さん(22歳)。

 人力飛行機のふうわりと低空を飛ぶ印象は私の夢の中の飛翔感覚につながりますが、エンジンとしてペダルをこぐパイロットには大変な過酷な仕事です。

 当日の各紙夕刊は、富士山を背景に離陸する人力飛行機の写真を載せて記録更新を報じています。しかし私は記事を読んでも腑に落ちなかった。頭の中に別の数字が浮かんで、12舛なんで新記録かと迫るのです。
 確か昨年の第27回鳥人間コンテストで30舛鯆兇控録が出ていたはずだと(鳥人間コンテストは琵琶湖で開催される読売テレビ主催の大会)。調べたら確かに34鼠召鯣瑤鵑任い襦5‖里脇韻呼大で、パイロットも同じ平綿さん。一体どういうことなんだ?

 各社の記事を読み比べても私の疑問に答えてくれるものは一つもありません。仕方なく私なりに考えてみました。
 今回の挑戦と鳥人間コンテストの違いは何か?鳥人間コンテストは、湖畔に立てられた10辰旅發気離廛薀奪肇曄璽爐ら飛び降りて飛行に移る方式です。人力飛行機は平坦地での滑走後の離陸です。
 つまり「人力飛行」の定義が違っているのです。インターネットで関連サイトを検索して分かりました。人力飛行の条件として「水平な地上からの自力離陸」が必要なのです。

 高いプラットホームから飛び降りる方式は落下のエネルギーを滑空力に変えて進み、その間にプロペラの推力でつないで水平飛行に移るわけです。したがって自力離陸ではないので人力飛行記録の対象外です。

 ここまできて別の疑問が湧きました。日本記録を報じた各社の記者は、一般読者がその条件について知っていると思って記事を書いたのだろうか?むしろ知らない人が多いと私は思います。舌足らずで不親切な記事だと思いました。ひょっとしたら記者自身が人力飛行の定義を知らないのではないかとも思います。不消化のまま書かれた記事から読者がニュースの中身を正確に把握することは出来ません。

PS
人力飛行機の飛行距離の世界記録は1988年に米マサチューセッツ工科大の制作したダイダロスがギリシャで達成した115舛任后パイロット(=エンジン役)に五輪選手クラスのアスリートをあて、風などの条件がよくなるのを1カ月も待って達成したそうです。
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