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葉山日記
83 整理
2006年12月18日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
整理の要諦は捨つることにあり。ということは分かっているのだが、これがなかなかむつかしい。仕事場の不要な書類整備にかかっているのだが、遅々として進まない。捨てる、という行為はだれにとっても苦手なものかもしれないが、派手な攻めには強いが、守りには弱い、つまり、何かを生み出そうとするときにはとてつもないエネルギーがでるが、裏方の地味な仕事はやる気が起きない、という困った僕の性格に起因するのだろう、一念発起、始めてもすぐ飽きてしまう。

まず名刺だ。ここ15年でたまった名刺。積み重ねたら50センチにもなった。確認しながら、1枚1枚破ってゴミ箱へ捨てていく。半分は顔をさえ覚えていない。いっそのこと、全部まとめて処分すれば良さそうなものだが、ときどき「おっ」という名前が現れる。日常生活ではまったく忘れ去っていても、顔を思い出して、「どうしているかなあ」としばし時間を費やすひともいる。だからまとめて捨てられない。それにしても、と思う。名刺を交わしたいじょう、当人とは短くても数分、通常30分以上、なかには数時間、話をしたはずだ。この時間×名刺の数、をあらためてカウントしてみる。なんだか壮大な時間の無駄をしたようで、ばかばかしくなって、というかそれを理由に作業中断。

さらにやっかいなのは、僕の会社でつくった企画書だ。ダンボール数箱にごっそり。陽の目をみなかったものばかりだから、これもごそっと捨ててしまっても何の影響も受けないのだが、これがまた捨てられない。時間とエネルギーを投入したものだけに、ひとつひとつの企画書にそれなりの思いがある。読んでいると、社員と徹夜したり、議論を重ねたりした記憶が昨日のことのようによみがえってくる。座り込んで読みふけってしまう。

名刺、企画書のようなものは、見始めてはいけない。見ず、読まず、一気呵成に捨ててしまうことだ、というのが得た結論だが、ダンボールにまとめて捨てたはしたものの、「要処分」とマジックで書いたはいいが、またそれを押入れにしまいこむ。

さて、過去数年分のいただいた年賀状の処分だ。文字だけの年賀状は思い切りよく捨てたが、写真入りが捨てられない。数年前、鹿児島に住む親友の家に泊めてもらったとき驚いたことがある。彼の家のアルバムに我が家のこれまでの全年賀状、全暑中見舞い状が整然と貼ってあったのだ。時系列でみごとに整理されていて、我が家族30数年の歴史がぱらぱらめくりで見える。自分たちですらきちんと整理していないものを、友人がやってくれているのをみていらい、他人様の写真入り年賀状を捨てるのを躊躇するようになった。だが、ここは心を鬼にして捨てずばなるまい。

そうこう、ぐずぐずしているうちに、ふと気がつくと郵便局の年賀状受け付けがはじまってしまった。年賀状および暑中見舞い状には、必ず直近の家族写真を載せる、というのが結婚以来の我が家の伝統みたいなもので、子供たちが家を離れて夫婦2人になってからも、この習慣は守り続けてきた。が、12月も半ば過ぎになろうとしているのに、年賀状制作にまだ手がつけられないでいる。海外居住の友人にはもう間に合わないかも知れない。

ことしに限って、なぜぐずぐずしているのか。肝心の写真がなかなか決まらないのだ。候補作品があることはあるのだが、どうももうひとつ、といった趣きなのだ。温泉旅館の囲炉裏端で、浴衣姿の僕が場違いな赤い野球帽をかぶり、わきに座る妻がその帽子を右手で触って笑っている。子供たちが還暦祝いに招待してくれた旅行で、野球帽は「赤いチャンチャンコだけは勘弁してくれ」という僕の頼みに、娘が代わって探してくれた記念品だ。娘が撮った写真はややぶれているが、はがきサイズなら使えるだろう。

当初、この写真に、「おかげ様で、夫婦揃って還暦を迎えました」というコメントをつけるつもりだったのだが、妻からクレイムがついた。「もう写真入りは卒業しようよ」「ましてや、わざわざ還暦のことを自分たちからお知らせする必要はないじゃない」というわけだ。実のところ、妻はここ数年、自分たちの顔を年賀状に露出するのに反対している。前にも書いたが、彼女は顔面評論家?で、TVに出てくる政治家や芸能人の顔をみてあれこれ評論するのが大好き人間だ。だから逆に、自分たちの年賀状をみて、あれこれ評論されるのを恐れているのである。

そんなこんなで、書類の整理も中途半端、新年の備えも中途半端な状態が続いている。「いけいけどんどんの中山、決断力の中山はどこへ行った」と、先日も九州の親友から電話でハッパをかけられたが、まさにぐずぐず状態の年末である。
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