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僕の偏見紀行
194 ネパール出会い旅(3)カトマンズ街歩き
2015年12月17日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ 傾いた寺院の軒先での商い。頼りない支えの下の日常。
▲ 生き神様クマリの館も傾いていた。女神様には会えなかった。
▲ ミティラー画をあしらったカレンダー。見るだけで楽しい。
僕にはカトマンズに着いたらやるべきことがあった。カトマンズからポカラへの国内線のことだ。半年前にネットで予約し、Eチケットはメールで届いたが、そのままになっている。果たして予定通り飛ぶのか、それより予約そのものが有効だろうか。イエティ航空というききなれないエアラインだが、大丈夫かなあ。

当初はイエティ航空のオフィスに行くつもりだったが、ホテルから遠かった。そこでホテルに相談してみると、トラベルデスクでやってくれるという。早速行ってみると、ネパールの若者が一人、忙しそうにパソコンを叩いていた。

これが、ネパール青年、タマンさんとの出会いの始まりだった。ちょっと小柄だけどがっしりした体格の青年で、ぶっきらぼうで飾り気の無い若者だった。

僕が直接予約したチケットの確認を彼に頼むのはちょっと気が引けた。事情を説明すると、彼はいとも簡単にうなずき電話をかけ始めた。ネパール語のやりとりを終えると彼は、確認OK、但し戻り便に若干の時刻変更あり、と教えてくれた。

彼のデスクに置いてあるのはパソコン1台のみ、全ての仕事をそれでこなしている。客との打ち合わせを済ませると、決定事項は素早く手帳に書き込んでいく。こうして彼はテキパキと小気味よく仕事をこなした。

彼の仕事ぶりを見て、明日からのナガルコット村行きの車も彼に頼むことにした。僕らはトレッキングをするつもりは無かったが、どこか眺望のいい場所からヒマラヤを眺めてみたかった。その為にカトマンズから車で1時間半くらいのナガルコット村のホテルを予約していた。1泊して夜明けのヒマラヤを眺めるのだ。

このホテルは日本から直接予約していたので、またもや彼に頼むのは往復の車だけ、ちょっと気が引けるが、彼は気軽にパソコンを叩いていった。専用車でナガルコット村往復、途中世界遺産パクタブル立ち寄り、料金は83ドル、ベストプライスだ。僕は、流暢な英語で手際よく説明する彼の仕事ぶりが大いに気に入った。

その後も市内観光や空港送迎の車など、いろんなことを彼に頼んだ。そのお陰で後日起きた、僕らだけなら途方にくれたに違いないトラブルもしのぐことが出来た。

とりあえず懸案が解決したので僕らは再び町歩きへ出かけることにした。僕らは朽ちかけたスズキの軽タクシーをつかまえ、有名な世界遺産ダルバール広場へ向かった。地震で大きな被害があったというが、どうなっているだろう。

スズキは、15分ほどで観光客で混雑するダルバール広場に着いた。入り口にはチケット売り場が設けられ、外国人はそこで入域料を払うようになっている。売り場前にいた男が、ここで買うようにとエラそうにいう。てっきり役人かとおもったら、カモを待っていた個人ガイドだった。あやうく引っかかるところだった。

ダルバールというのはネパール語で「宮廷」を意味し、ダルバール広場とは宮殿前広場のことらしい。広場を進むと倒壊しかけた寺院、仏塔、宮殿が、明るい日差しの中に無残な姿をさらしている。崩れ落ちた瓦やレンガの瓦礫が広場のいたるところに積み上げられたままだ。もう半年が過ぎるというのに復旧工事は未だ始まっていない。

大きく傾き、数本のつっかい棒で支えられただけの建物の背後の青空が物悲しい。その下を多くの観光客、物売り、客引きが行き交う。お堂のかたわらでは老婆たちが地面で輪になってお経を唱えている。立ち並ぶ露店の売り子が僕らをみては声をかけてくる。コンニチワ!ニイハオ!

生き神様クマリの館も大きく傾き、華麗な木彫で飾られた伝統建築は数本のつっかい棒で支えられていた。可憐な少女の神様はどんな思いでこの災厄を過しておられるのだろう。女神様の力で、一日も早く街並みが元の姿に戻るように、僕は館の入り口で祈った。

道端で老女がハトのエサを売っていた。周りにそれを狙うハトの群れが集って来る。それを、老女は虚しくペットボトルで追うが、ハトはお構い無しにエサを奪っていく。かたわらのヒンドゥーの神様がそれをじっと見つめている。

ホテルに戻り一休みした後、再び買い物の下見に出かけた。勿論、向かったのはあのタメル地区。あらためて訪れると、タメルには文字通りなんでもあった。僕らには欠かせないランドリーはどうか?勿論たくさんあった。

案内板を見てビルの隙間を入るとその奥にランドリーがあった。真面目そうな中年男が洗濯物を大きなハカリで計量してくれた。2キロで2ドル、明日の夕方出来上がり。システムはアジア各国と同じ、1キロ1ドル、本当に助かる。

カシミヤ店でセーターやマフラー等、あれこれ見せてもらった。下見だから見るだけというと喜んで沢山の商品を見せてくれた。親切で商売熱心だ。

ハチミツ屋に入ると、いつかテレビで見た、ヒマラヤ山中の崖っぷちで採った、という蜜を売っていた。蔓のロープにぶら下がり、断崖絶壁の蜂の巣から命がけで地元の村人が採取するものだ。都会の土産物屋で売るほど大量に採れるものだろうか。

店のオヤジに尋ねると、待ってました、とばかりにテレビで見た場面の写真を取り出し、こうやって採ったホンモノだ、と力説する。味見をすると確かに独特の風味があって美味しい。我が家は毎朝ハチミツをパンにつけて食べる。買ってもいいなと思ったけどまた来るからと店を出た。

いろんなカレンダーを並べた専門店があった。その中に面白いデザインのものがあった。手漉きの紙に素朴ながら味わいのある絵があしらってある。これが家内がいっていたミティラー画のようだ。

ガイドブックによるとネパール、ミティラー地方の女性たちは、お祭りや祝い事があると、家の内壁や外壁に独特の絵を描いて神様を迎える習慣があるという。モチーフは自然界や農村生活を反映したものがおおく、そのシンプルで大胆な曲線と鮮やかな色使いはとても楽しい。

手頃な価格、しかも軽くてかさばらない、お土産にもってこい、とこのカレンダーを沢山買い込んだ。これは持ち帰って差し上げると評判のいいお土産になった。

さらに紅茶、コーヒーの専門店もあった。カシミヤ店もいろいろある。お土産によさそうな物が多く、我が家のお土産責任者(家内のこと)はご機嫌だった。(続く)
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64 インド紀行(1)遠かったインド
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62 雨の東北、芭蕉と紅葉旅
61 南会津の旅◆扮の尾瀬沼)
60 南会津の旅 弁愡浚村)
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57 スコットランド紀行(4)偉大なり、ピーター・ラビット
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49 イリオモテヤマネコに逢いたくて(3)
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24 知床の青いそら、光と風
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22 春の東北ローカル線の旅
21 春の東北ローカル線の旅
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11 鞍馬山の向こうへ、大悲山峰定寺
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8 年の暮れ、峩々温泉再訪記
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6 蔦温泉、蔦沼、ブナの森
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1 東北紅葉雪見風呂
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