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僕の偏見紀行
196 ネパール出会い旅(5)大変だ!
2016年1月16日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ 僕らをカトマンズからポカラまで送ってくれたドライバー氏。無口で運転のうまい青年だった。
▲ ポカラへの途中立ち寄ったツーリスト食堂のビュッフェランチ。カトマンズの伝統料理店より僕らの口に合った。
▲ ポカラ、フェワ湖畔のレストランからの眺め。
大変だ!バッドニュース、バッドニュース。

僕らの顔を見るなりトラベルデスクのタマンさんがいった。なに、悪い知らせ?何が起こったのだろう。ナガルコットで1泊した後、ホテルへ戻って早々のことだった。

悪い知らせとは、明朝のイエティ航空のポカラ便が欠航になりそうだ、ということだった。この便は僕が直接イエティにネットで予約している。本来僕に来るはずの知らせが、たまたま彼が僕に代わってリカンファームしてくれたことで彼に連絡があった。

彼にしてみれば本来関係のないことだが、彼は真顔で心配してくれた。彼によると、現在イエティ社内で最終調整中で、結論がでるのは明日の早朝になるらしい。彼は引き続き情報を集めるという。

僕らはカトマンズ滞在後、明日からポカラへ移動する予定にしている。ツーリストバスやタクシーの便もあるが、いずれも道路事情が悪く、時には山道で渋滞もあると聞いていた。そのため航空便を選んだのだが、果たして今日の明日でどんな手が打てるだろうか。

部屋に戻って二人で相談したが妙案は浮かばない。いずれにせよいざという時に備え、車をチャーターし、飛行機が飛ぶなら車はキャンセル、こんな方法しかないだろう。こうなれば悪路のロングドライブも覚悟するしかない。

しかし今から車をチャーターすること可能だろうか。初めての業者にうかつに頼めば足元をみられるだろうし、飛行機が飛んだらキャンセルする、というのも虫のいい話だ。こんな条件でまともな旅行社が受けてくれるだろうか。思いは千々に乱れた。

再び僕らはタマンさんのデスクに行って相談した。なんとかします、とにかく明朝まで待ちましょう、彼はそういってくれた。結論は明朝6時30分に彼から電話を貰う事になった。

僕らだけなら、見知らぬ異国でこんなトラブルに遭遇した時、どう対処したらいいのか、途方にくれるところだった。タマンさんがいてくれて助かった。

明朝6時30分ちょうどに僕の携帯が鳴った、タマンさんだ。
やはりイエティはノーフライト。続けて彼は次の手を説明してくれた。

ポカラまでタクシーを手配した。往復で250ドル、所要時間は片道6時間、最近は道路事情が良くなり問題は無い、とのことだった。さらに、もしカトマンズへの戻り便が飛ぶ場合、帰りのタクシーはキャンセルOK、という条件だった。短時間によく手配してくれたものだ、と僕らは彼に感謝した。

しかもタマンさんは、イエティに対する欠航便の運賃返金交渉を始めていた。僕らがポカラから戻り、イエティ本社に行けば手続きが完了するはずだ、という彼に僕らは感謝の言葉も無かった。

彼に頼んだのは、空港への送迎、ナガルコット タクシー往復、カトマンズ市内観光くらい。いずれも彼のビジネスとしてはいい稼ぎとはいえない。その上、リカンファームという手間のかかることもやってもらった。

有難いことだ。僕らはあなた無しでは日本に帰るしかなかっただろう、と彼にいうと、彼はとんでもない、という仕草で大いに照れた。

今回のタイトルを「ネパール出会い旅」としたのは、ネパールでは今まで以上に困難に出会うことがあったが、その度に誰かが現れ、僕らを助けてくれたからだ。

9時になると彼の手配した車がホテルに迎えに来た。スズキの小型乗用車、新車だ。日頃見慣れたオンボロタクシーとは随分違う。ドライバーは無口な青年だった。

カトマンズの街を抜けると車は山道に入った。カトマンズ盆地を抜けるのだ。車は峠を越えると緑の多い田園地帯を走った。遠くの山すそから流れる川が、近づいたり遠ざかったりしながら道路と並走した。

流れはだんだん大きく激しくなり、ラフティングの看板が見えるようになって来た。川を見下ろす眺めのいいところに大きなツーリスト用の食堂があった。バスや車がたくさん集り、大勢の客が昼食をとっていた。僕らもそこに入りランチにした。

ビュッフェ形式で、各自がご飯と数種類のおかず、カレー風のスープを大皿に好きなだけとる形式だ。ドライバーの青年は、皿の真ん中にご飯を大きく盛り上げ、周りにおかずを並べた。

僕らも負けずに盛り上げたが、彼のは優に僕らの2倍はあった。どこの食堂でも出てくる料理のボリュームからするとネパールの人は大食いのようだが、その割には太っていないのが不思議だ。

肉と野菜の煮込み、スープと白いご飯は美味しかった。眼下には川が流れ、そして涼しい風と一緒のランチはなかなかいいものだった。飛行機が欠航して、思いがけず田舎の風景を楽しむことが出来た。道路も心配したほどのことはないし、スズキの新車でのドライブは快適だ。車の旅も悪くないものだ、僕は秘かにそう思った。

その後もいくつかの集落を走り抜け、スズキは順調にポカラへ向けて走った。どの集落でもガソリンスタンド周辺には順番待ちの車列が長く続いていた。国中が石油不足に喘いでいる。建機やダンプまでがガソリン待ちをしている。いったい震災復興はどうなるのだろう。

無口なドライバーは見かけによらずよく飛ばした。屋根まで人が溢れるローカルバス、屋根にぎっしりスーツケースを積み上げたツーリストバス、オンボロトラックなどを次々に追い越していく。飛行機の欠航のためか、ツーリストバスも満員のようだった。

結局6時間かからずにポカラの街に到着した。一体どうなることかと心配したが、車の旅は呆気なく終わった。しかも快適だった。ガイドブックの情報は古かったようだ。いずこの国もも行って見なければ実態は分からない。当たり前の話だけど。

ポカラはネパール第二の都市、標高800mと、カトマンズより低地にあり、温暖な気候で人気が高い。ヒマラヤのアンナプルナ連峰を望む登山基地であり、トレッキング客が多い。フェワ湖という美しい湖があって、そのほとりにホテルやレストランが多く、欧米始め各国からツーリストがやって来る。

車はホコリっぽいポカラの街を暫く走った後、フェワ湖近くのホテルに無事到着した。こじんまりした比較的新しいホテル。予約サイトの口コミがとても良かったのでここに決めた。数日のんびりと滞在し、1泊だけは山岳ホテルにいくつもりだ。そんな僕らをここでも出会いが待っていた。(続く)
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61 南会津の旅◆扮の尾瀬沼)
60 南会津の旅 弁愡浚村)
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24 知床の青いそら、光と風
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22 春の東北ローカル線の旅
21 春の東北ローカル線の旅
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14 よるべない孤独にみちた宿
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9 初春初旅救急車
8 年の暮れ、峩々温泉再訪記
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6 蔦温泉、蔦沼、ブナの森
5 雨の幕川温泉再訪記
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1 東北紅葉雪見風呂
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