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僕の偏見紀行
256 今年も行きました、ベトナム(4)どうして?ホイアン
2019年8月11日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ 旧市街の川べりの雑貨屋。溢れるように咲き誇るブーゲンビリア。
▲ 旧市街川べりのカフェと食堂、沈んだ黄色の壁。
▲ 旧市街の路地の奥で見つけた小さなTシャツショップ。
僕はホイアンの街が気に入っているけど、旅慣れた人たち、特にバックパッカーとよばれるような人達には評判が良くないようだ。理由は物価が高い、団体ツアー客が多くてうるさい、手ごろなホテルの数が足りないなどいろいろだ。

レストランも土産物店も観光客目当てが多く、物価が高くなっているのは否めない。勿論僕も物価が安いことに越したことは無いと思う。しかしなにも安宿に泊まり、目の色変えていろんなものを値切るばかりが旅ではないだろう。最近はそう考えるようになった。

それより便利で快適であれば多少の負担はやむを得ないと思う。かといって、五つ星ホテルのような華美で贅沢なものがいいとは思わない。価格が手頃で、それにふさわしい品質やサービスが提供されれば満足だ。ホイアンにも河口付近の海岸に数軒の豪華ホテルがあるが一度も行ったことが無い。

空港からホイアンに向かう途中のダナンの海岸沿いには、すでに広大な高級リゾート地が広がっている。その脇をホイアンへ向かう車から眺める度に僕は何となく虚しさを感じる。

ワイキキビーチを思わせるような豪華ホテルやマンション、コンベンションホール、果てはカジノまで建設されている。虚しいのはそれを取り巻く環境が整っていないこと。

いずれ整備されるのだろうが、建物の周りは緑が少なくレストランやショップ類も見かけない。真新しいい建物だけが延々と連なる。人影も少ない、どこか寒々しい光景が続く。

勿論、僕はその中へ入ったことが無いから、間違った印象かもしれないが、ホテルから一歩外へ出たら、散歩を楽しむ雰囲気ではない。やはりリゾートとしては、周辺に心地よい散歩道や気楽な食堂なんかが欠かせないと思う。

多分、そんなことを言う奴は来なくていいよ、というコンセプトなんだろうなあ。僕にとって楽しい旅には人間が欠かせないということ。例えば地元の人で賑わう食堂やエネルギー溢れる市場、そんなとこへ行くと僕はワクワクしてしまう。

そんな僕に、もともと高級リゾートについて語る資格などなかった。どうも見当はずれのことをグダグダと書いてしまったようだ。

この様に旅について僕が語りだすと訳の分からない話となって来る。だから「偏見紀行」なんだけど。しかしこんな話面白くないなあ。もし読んでくれる人に申し訳ない。

旅は、旅する人の目的や好みによって評価は異なる。では僕の場合は何が良くて、何度もホイアンにやって来るのか。ただ毎年、年が明けて春節が過ぎて旅行者の数が減る頃になると、ホイアンを思って心が揺れる。

現在までにベトナムではホーチミンをはじめ、ハノイ・フエ・ダナン・バンメトート・ダラット・カントー等、いろいろ行った。ハノイ以外は、それぞれにその土地独特のの人情や風景・食があって楽しかった。

ハノイについては以前にも書いたと思うけど、タチの悪いタクシーに乗り合わせ、とんでもない遠回りをされて高いカネを取られた。最初にそんなことがあるとその後もいい印象はなかなか持てない。

強いて言えば、僕がホイアンが気に入っているのは、街並みが美しい、好みに合うホテルやレストランがある、旧市街が手ごろの広さで歩き回るのにちょうどいい、そんなところかもしれない。

しかも何回歩き回っても、その都度新しい発見があって退屈しない。車やバイクは進入禁止なので、高齢者も子供連れも安心だ。

ホイアンは、ベトナム中部の東海岸、南シナ海に面したトゥボン川の河口にある。郊外に田圃が広がる平坦な土地だから、雨期には増水した川が溢れることもある。ただ乾期に訪れると、悠然と流れる川のほとりに、黄色の壁と黒い屋根の旧市街が広がり、どこから眺めても絵になる。

そのせいか街を歩いていると、あちこちでカメラマンやコーディネーターに囲まれたカップルを見かける。それは結婚式用の写真の撮影だが、まるでドラマのラブシーンを思わせるように派手で大袈裟だ。できればホイアンで見たくない光景だ。

それよりアマチュア写真展で、入賞を狙うならホイアンに来るといい。実にそれ向きの場所があちこちにある。夕暮れ時のトゥボン川に浮かぶ小舟の群れを、逆光で狙うといかにもそれらしい絵になる。難点は、そんなポイントが多すぎて、ホイアンでは誰が撮っても、同じような絵葉書風になってしまうことだ。

旧市街はそんなに広くない。周囲数キロ程度でブラブラ歩いて一周しても2時間かからない。勿論、途中には様々なレストラン・土産物屋・洋服店・カフェなどがたくさんあるので寄り道次第では時間も変わって来る。

もともと東南アジアの貿易拠点として栄えた港町だから、当時の商人たちの家や店舗がそのまま残り、外観を変えず内部だけを改装して、現在の街が出来ている。

建物は平屋もしくは2階立て、重厚な黒い木造建築がそのまま残り、歴史を物語っている。家々の間口は狭いが奥行きのある造りになっている。入り口の土間からそのまま奥へ進むと、中ほどに手の込んだ坪庭が設けられ、土間はそのまま裏通りへの出口につながっている。

ある時小さな食堂でトイレの場所を尋ねると、土間のを奥へ行くように言われた。奥は家族の住居となっており、広い土間に台所と洗い場があった。トイレはさらに土間をその奥へ進んだところにあり、店の入り口からかなり遠かった。

大小の違いはあるが、旧市街の家々は概ねこんな造りで、それを様々な店が改装して商売をしている。だから外見からは何を商っているのかよく分からない。しかしそれがかえって面白く、古びた入り口を入ると洒落たブティックだったりする。そんな通りを気の向くままぶらついていると、つい時間のたつのを忘れてしまう。

旧市街の通りは、川沿いから内陸へ向かって数本の通りがあり、その通りを縦に貫く通りがまた数本通っている。さらにその通りの合間には、人がやっとすれ違えるくらいの狭い路地が縦横に延びている。

そんな路地を歩くと、客で賑わう食堂や雑貨屋なんかがひっそりと店を構えている。何度来ても見知らぬ路地裏に思いがけない発見があるのが楽しい。

通りを歩いていると、あちこちでブーゲンビリアの花を見かける。街角では、豊かな花をつけた枝が心地よい木陰を造り、路地では通路に覆いかぶさるように咲いている。ある店先ではブーゲンビリアが、バルコニーから流れ落ちる滝のように咲いていた。

ホイアン名物のシクロのドライバー達は、昼下がりのひと時、ブーゲンビリアの木陰で一休みする。そんな姿を見ると、アジア特有のゆったりとした時間の流れを感じ、ほっとする。(続く)
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121 メコンへの旅(11)メコンクルーズ
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119 メコンへの旅(9)川を渡ってラオスへ
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109 アイルランド紀行(11)聖人と文豪
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98 ベトナム紀行(8)駆け足バンコクそしてハノイ
97 ベトナム紀行(7)サヨナラ!「サイゴン」
96 ベトナム紀行(6)再びのホーチミン
95 ベトナム紀行(5)アンコール・ワットの空の下
94 ベトナム紀行(4)タイを追い出した町
93 ベトナム紀行(3)メコンデルタの森へ
92 ベトナム紀行(2)暑い!ホーチミン町歩き
91 ベトナム紀行(1)「僕の1号線」はどこに?
90 マイ・センチメンタル・ジャーニー
89 シルクロードの旅(12)風の城、アヤズ・カラ
88 シルクロードの旅(11)「博物館都市」イチャン・カラ、ヒワ
87 シルクロードの旅(10)ちいさなリンゴ
86 シルクロードの旅(9)「愛の町」アシュハバード
85 シルクロードの旅(8)中央アジア最大の世界遺産メルブ遺跡
84 シルクロードの旅(7)未知の国へ
83 シルクロードの旅(6)国境越え
82 シルクロードの旅(5)ブハラ、深夜のトイレ
81 シルクロードの旅(4)ブハラへの道
80 シルクロードの旅(3)アレキサンダー大王が来た街
79 シルクロードの旅(2)青の都サマルカンド
78 シルクロードの旅(1)タシュケント到着
77 小笠原の旅(7)惜別
76 小笠原の旅(6)小笠原海洋センター
75 小笠原の旅(5)母島列島
74 小笠原の旅(4)宝石の島、南島
73 小笠原の旅(3)ザトウクジラの海
72 小笠原の旅(2)BONIN ISLANDS
71 小笠原の旅(1)波路はるかに
70 インド紀行(7)タージ・マハルの光と影
69 インド紀行(6)ガンジス川の夜明け
68 インド紀行(5)夜行寝台「ハウラー・カルカ・メイル・2311号」
67 インド紀行(4)ダージリン滞在
66 インド紀行(3)ダージリンへの道
65 インド紀行(2)コルカタにて
64 インド紀行(1)遠かったインド
63 暮れの浅草昼酒
62 雨の東北、芭蕉と紅葉旅
61 南会津の旅◆扮の尾瀬沼)
60 南会津の旅 弁愡浚村)
59 奥日光戦場ヶ原
58 スコットランド紀行(5)いくつかの思い出
57 スコットランド紀行(4)偉大なり、ピーター・ラビット
56 スコットランド紀行(3)ネス湖からスカイ島へ
55 スコットランド紀行(2)ウォールフラワー
54 スコットランド紀行(1)エジンバラ大学でお茶を
53 風に吹かれて八丈島(3)
52 風に吹かれて八丈島(2)
51 風に吹かれて八丈島(1)
50 イリオモテヤマネコに逢いたくて(4)
49 イリオモテヤマネコに逢いたくて(3)
48 イリオモテヤマネコに逢いたくて(2)
47 イリオモテヤマネコに逢いたくて(1)
46 秋空の下、いくつかの再会
45 白神の森の宝
44 挑戦!乗鞍岳
43 北東北ローカル線の旅 (4)津軽じょんがらの夜はふけて
42 北東北ローカル線の旅(3) 雨の下北恐山
41 北東北ローカル線の旅(2) うみねこレール
40 北東北ローカル線の旅(1) 春のうららのドリームライン
39 50年の時を超えて
38 知床の秋(2)、ウトロにて
37 知床の秋(1)、鮭遡上
36 風に吹かれて尾瀬ケ原
35 白神山地「ブナの学校」
34 初夏の山形、サクランボとそばの旅
33 ハワイ島滞在記(2)
32 ハワイ島滞在記(1)
31 春の予感、鹿沢(かざわ)高原にて
30 嗚呼!還暦大同窓会
29 年の暮れ、奥那須で想う
28 ラムネの湯「長湯温泉」はいいぞ
27 また「再会の時」道後温泉にて
26 大自然の力、姥湯温泉
25 知床の青いそら、光と風 その
24 知床の青いそら、光と風
23 春の東北ローカル線の旅
22 春の東北ローカル線の旅
21 春の東北ローカル線の旅
20 上海点描
19 やさしかったチェジュの人たち
18 さらば、災の年よ。
17 僕たちのセンチメンタルジャーニー
16 台風を避けて信州へ
15 青島印象記
14 よるべない孤独にみちた宿
13 海があまりに碧いのです
12 安曇野の光と水、そして高瀬川渓谷葛温泉
11 鞍馬山の向こうへ、大悲山峰定寺
10 雪の会津鉄道トロッコ列車の旅
9 初春初旅救急車
8 年の暮れ、峩々温泉再訪記
7 東北紅葉旅峩々温泉
6 蔦温泉、蔦沼、ブナの森
5 雨の幕川温泉再訪記
4 憧れのフルム-ン法師の湯
3 信州塩田平別所温泉
2 信州信濃路
1 東北紅葉雪見風呂
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