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書くということ |
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2013年1月8日 |
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 | 吉田 美智枝 [よしだ みちえ]
福岡県生まれ、横浜市に住む。夫の仕事の関係で韓国ソウルとタイのバンコクで過ごした。韓国系の通信社でアシスタント、翻訳、衆議院・参議院で秘書、韓国文化院勤務などを経て現在は気ままな主婦生活を楽しんでいる。著書に『朝鮮王朝の衣装と装身具』(淡交社、共著)『韓国の近代文学』(柏書房、翻訳)などがある。現在、文化交流を目的とした十長生の会を友人たちと運営、活動している。 |
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▲ 行き詰ったら初心に返って…。最初のころの切り抜きやデザイン帳を取り出す。 |
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▲ 昨年12月の「押し花&ビーズ in X’mas」展。8回目を迎えました。 |
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こんな題名を思いつくのは、書けないせいです。前回の日付を見て我ながらあきれました。なんと2011年9月!ブランクがこんなに長かったとは…みなさんお許しください。
「書けない」のは、いろいろ考えすぎるからだろうとはうすうす気づいてはいるのです。 うまく書こう、斬新なことを書こうなどという雑念が入るから書けないのだということも…。
先月(12月)初め、故郷糸島市(福岡)で展示会をしたときのこと、展示の共催をする妹の知人のMさんと立ち話をしました。
陶芸家でアラフォー世代の女性Mさんは最近、10年ほど続けていた月1回のエッセーをやめる宣言をしたというのです。その決断をするまで(というかサイト運営者に伝えるまでに)相当悩んだらしいのですが、「ようやく宣言でき、肩の荷が下りた!」と明るい表情だったのが印象に残りました。
ちょっとした立ち話でも相手をぐいぐい自分の世界に引き込む表現力(話術)と、それを上回る発想の豊かさが伝わってくるのですから、彼女のエッセーはさぞ面白いものに違いありません。残念ながらそのエッセーを読んだことはないのですが…。
そのことはさておいて、「書くことがなくなった」と“断筆宣言”の理由を述べた彼女の気持ち、私もようくわかる気がします。
自分をさらけ出すほどの勇気や(作家たちのような)必要性はなく、かといって身近な家族やこれまでの仕事仲間や友人たちのこと(実は私が書きたいことはこの人たちのことだったりするのですが)は赤裸々に書けないし、なにわの漫才師や落語家のような「なにを表現するかより、(なんでもない日常を)どう面白く表現するか」という技術も才能もない…そんな私はどうしたらいいのだろうと暗澹たる気持ちになるのです。
そしてなにより「ものいえば唇寒し」に似た感情を書くことに抱くようになったのは、年齢のせいでしょうか。過去に自分が書いたものを読んで自分の気取った言い回しや思い込みがなんとも薄ら寒く、後味悪く感じられることがあるのです。「書くということ」には、そういったことも含めて自分を振り返るための意味があるといえばそうかもしれませんが…。
まあともかく今年も、いや今年こそ挑戦してみることにしました。 書くことがないと思っても書き始めると書けてしまうことがあるし、これこそ書きたかったことと思って書き始めても(気持ち余って)どうにもまとまらないこともあるけれど。
別れ際、私はMさんに、断筆宣言から数年後に文筆活動を再開した作家の話をしました。 「一度断筆したことで気持ちが新たになることもあるかもね?」 と知ったような口調で…でも実は自分へのことばだったのです。 (正直なところアクセサリーづくりとサイト運営に疲れると、ときどき断作宣言?したくなることあるのです)
今年の年末、展示会で会ったらMさん、「実はまた書いてるの!」と照れ臭そうに話し始めるのではないかしら。
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