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葉山日記
98 野球とハリケーン
2008年9月13日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ 仕事の合間をぬって進めているフェンス作り。長雨の影響で、作業は遅れ気味。土曜午前6時撮影。
▲ 最初にラティスを作りペイントも塗っておく。これがけっこう地味な作業で時間がかかるんです。
9月13日土曜日午前6時。枕もとの窓から青い空が見える。今日は秋晴れのいい天気になりそうだ。

ふだんだと、4時には自然と目が覚めるのだが、酷暑の疲れがいまごろ出てきたのか、このところ少々体がだるい。ベッドの端にしばらく腰掛けたあと、エイヤっと声をあげて立ち上がる。階下の仕事部屋に入りパソコンのスイッチを入れる。左目が少々かすんで見える。目薬。白内障が出てきたのかも知れない。

スポーツのビッグイベントはたいていが土曜、日曜。そこで半日先を行く日本の日曜、月曜日が僕のもっとも忙しい日になる。今日はメジャーリーグのナイトゲームのみ。入電は午前9時を過ぎるだろう。先週末はニューヨークの全米オープンテニス、ベルギーのF1レース、それにメジャーリーグの野球が重なって、1日10時間以上スクリーンを見続けた。今日は週のなかでもっともスローな日。早いところ仕事を済ませて、大工仕事に入ろう。

朝日新聞と日刊スポーツにゆっくり目を通す。朝日のトップは「汚染米」だ。保育園や老人ホームなどで、基準値の2倍を超す有機物や農薬を含んだ事故米が食用になっていた。それに対して太田誠一農水相が、「人体に影響ないからじたばた騒いでない」と信じられないような発言。新聞はこの発言を「またまた失言」と囲み程度の扱いだが、罷免にも値する問題発言だ。この太田さん、若い頃は威勢がよく、いい顔をしていたが、すっかり悪相になった。

悪相になったといえば、今週のはじめ、辞任した大相撲の北の湖理事長も同じ。「弟子は子供と同じだから彼のいうことを信じます」と言い続けたが、その「子供」は大麻を吸っていた。「子供」だからこそ「親」は疑ってかからなければいけないのだ。高校の教頭、校長を歴任して最近退職した友人の話を思い出した。ある女生徒が校外で万引き行為を働いた。問い詰めると白状したので親を呼び出し。すると一転、泣きながら「絶対やってない」と言い張る。親の方は「この子はほんとうにいい子で、嘘をついたことがない。その子が万引きなどするはずがない。先生たちはうちの子を罪人扱いするのか」といきり立つ。子供は親の前では「いい子」を演じるものなのだ。「本当は巡業のロサンゼルスで吸った。でもこれは親方には内緒にしてください」。まさに万引きの高校生と同じではないか。

待機の時間、移植したばかりの庭の木を見てまわる。あの酷暑のさなかの引越しというのに、2本のヒメシャラからは、若々しい新芽が吹き出している。これでこの木をプレゼントしてくれた親友にも面目が立った。ひと安心。それにしても僕にとっては理想的な仕事だ。インターネットのおかげで仕事はすべて自宅でできる。入電を待つ間を縫って、好きな庭仕事や大工仕事ができる。さらに、これがヨーロッパが舞台のスポーツとなれば、未明には写真が入ってくることが多い。だから午前2時半に起床して、明け方までに仕事を終了させ、世間の人々が仕事を始める時間に、こちらは庭仕事開始、といった段取りも可能だ。いやインターネットさまさま。

とはいえ、ぜいたくかも知れないが、在宅勤務ばかりだと、ときどき人間や都会が恋しくなる。なんとなく時代に取り残されたような気分になることもある。そこで少なくとも週2回は東京のオフィスに出て行く。契約先の、かつて勤めた通信社には、顔なじみの仲間がいて、彼らとの、なんということもない雑談や昼食が楽しい。 かつての駐在体験を生かして、ロシア、韓国、アメリカなど各国のレポート、分析記事を担当する仲間たちからも知的刺激を与えられる。仕事が早めに終わったときは有楽町に出てビッグカメラをぶらついたり、映画を見る。

ところで、つい「入電」とか「写真が入ってくる」と書いてしまったが、これは正しくない。かつて写真送信といえば、プリントを円筒状のドラムに巻きつけ、それに光線を当て、その反射光の強弱を電気信号に変え、これを電話回線で送るという方法だった。「電送」といわれる所以だが、いまではインターネットだ。それも送られて来るのを待つのではなく、こちらから、取材先のデータベースに取りにいく。たとえれば、ウェートレスが運んでくる料理をただ待つのではなく、バイキングスタイル。コックが作る盛りだくさんの料理素材(コンテンツ)の中から、好きなものをこちらでチョイスして、自分の皿に好きなように盛り合わせ(編集)、それからお客に出す。かつては新聞社や通信社しか持てなかった大仕掛けの装置を必要とせず、世界から集まる写真を自宅でコントロールできる時代になったのだ。すごいことである。

午前8時5分。アメリカ東部時間午後7時5分。試合が始まったはずだ。今日の目玉は、アメリカンリーグ東地区の首位レイズ(タンパ)対ヤンキース戦(ニューヨーク)、それとそのレイズを2位で追うレッドソックス対ブルージェイズ戦(ボストン)だ。MLBの公式サイトをチェック。んん、両方とも雨で試合開始が遅れている。そうか東部は雨、テキサスに上陸中のハリケーン「アイク」の影響か。ルイジアナの友人、ケイコ・ニイハウスのことをまた思い出して電話。この2週間、電話し続けているが出ない。ニューオーリンズから車で1時間の小さな町で78歳のひとり暮らし。たぶん車で2時間ほどのラフィエットに住む次女レナ宅に避難中なのだろう。1週間前にもハリケーン「グスタフ」がルイジアナを直撃、アメリカ南部はまさにハリケーンラッシュだ。

【セントルイス11日共同】米大リーグ、アストロズは11日、米国南部に上陸予定の大型ハリケーン「アイク」の接近に伴い、12日から予定されていたヒューストンでのカブス3連戦のうち、12、13日の2試合を中止すると発表した。カブスは11日のカージナルス戦後、シカゴに戻り待機する。

気になって、東京・世田谷に住むケイコさんのお姉さん宅に電話。こちらも84歳の一人暮らしだ。やはりハリケーンで屋根を壊され、次女宅に避難中とのこと。そういえばこの3月、僕がルイジアナを訪ねたとき、隣家の大木が倒れかかっているのが気になり、彼女に「あれ危ないよ」と指摘しておいたのだ。その木がハリケーンで彼女の家の屋根を押しつぶしたのか。レナの自宅と携帯の番号を聴き電話したが不通。それにしても、カリフォルニアの友人、雨宮和子さん(会員)は山火事、ケイコ・ニイハウスはハリケーン、といずれも世界ニュースになるような大規模な自然大災害に襲われている。
 
9時半。電話をしているうちにボストンのレッドソックス対ブルージェイズは始まっていてすでに2回を終わっている。

10時20分。ヤンキース戦は雨で中止。同じくニューヨークのメッツ対ブレーブス戦も中止。シカゴのホワイトソックス―タイガース戦も中止。うまくすると、仕事はレッドソックスの1試合だけで済むかもしれないぞ。正午過ぎに仕事を終え、それからフェンス作りにはいれば、夕方までにはラティスを張り終わるかもしれない。

11時 ケイコ・ハウスと連絡がついた。やはり次女宅にいた。「いま、アイクがこの辺を通過中なのよ。あっちこっちに竜巻が発生して大変」。周辺は大嵐のようだが声はいたって元気。「グスタフで避難したあと、裏の松の木が倒れてきて、台所がめちゃめちゃらしいのよ。あなたと一緒で悪運が強いのよ。保険で修理してもらって少し残る。つまり焼け太りよ」。脳内の病気で、視力をかなり失い、歩行も困難という状況なのに相変わらず声は大きく、明かるい。

ケイコさんの無事が確認できたので仕事再開。う、マリナーズのイチローがアップされてきたぞ。西海岸アナハイムのエンゼルス戦だ。前日、シーズン200本安打まで残り9本まで来ていたが、今日の試合、先頭打者でまた打ったらしい。なんという男だ。しかし、すると・・・、試合が終わるまであと2時間はかかる。当然ながら、予定していた大工仕事のスタートも2時間遅れ。外は秋晴れの上天気。なんということだ。仕方がない。こいうこともある、と気を取り直してデータベースとにらめっこが続く。

午後2時15分。仕事終了。妻が横須賀の大型スーパーへ連れて行けという。これまたご近所で74歳ひとり暮らしの奥さんも同乗だ。女性はみなひとりでよくがんばってるなあ。それに、明日は隣家のご夫妻を招待してバーベキューをすることになっていたっけ。料理のコンテンツを揃えておかなければいけない。「天気がもったいないから、4時半出発にしてくれる?」。そして2時間、大工仕事に集中したが、予定した作業の半分もこなせず、Tシャツにペンキがついたままの姿で買い出しに出発。

仕事と趣味、それに家族奉仕がもろもろ交錯し、一日があわただしく過ぎていくいまの生活は、けっこう気に入っている。明日はインディアナポリスの世界ロードレース選手権とMLB。午前4時起床できれば、昼までには仕事を終わらせ、そのまま大工仕事に突入できるかも知れない。
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