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まだこどもでいられる幸せ |
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2014年1月1日 |
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 | 吉田 美智枝 [よしだ みちえ]
福岡県生まれ、横浜市に住む。夫の仕事の関係で韓国ソウルとタイのバンコクで過ごした。韓国系の通信社でアシスタント、翻訳、衆議院・参議院で秘書、韓国文化院勤務などを経て現在は気ままな主婦生活を楽しんでいる。著書に『朝鮮王朝の衣装と装身具』(淡交社、共著)『韓国の近代文学』(柏書房、翻訳)などがある。現在、文化交流を目的とした十長生の会を友人たちと運営、活動している。 |
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▲ 花びら形の淡水パールを使ったブローチ |
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『長生きしてくれればそれだけ私もいつまでも子どもでいられるわけで、有難いと思えます』
2014年元旦、友人から届いた年賀状にあったことばです。
昨年は、私にとって介護ということばを初めて身近に感じた年でした。
5月初め、同居の夫の母がベッドから転倒し、アッという間に夫と私は介護生活が始まりました。年老いてからの小さな事故が人の生活をどのように変えてしまうのか…目の当たりにした半年でした。
幸いなことに義母は、食べ物も水も一切受け付けない最悪の状態から原状(転倒する以前の生活)に近い状態に奇跡的に回復し、私たち一家は穏やかな年末をすごすことができたのです。これまで義母が取り仕切っていた正月の準備は私がすることになりましたが…。
冒頭の友人のことばに、私は深い共感を覚えました。この友人、近くに住んでおられる要支援の実父のお世話をしているとのこと…。
日々の暮らしの中からこぼれ出た、小さな、しかし重みのあるこのようなことばの、上っ面でない、その意味をちゃんと受け取ることができるようになったのは、私自身が老親の世話を避けて通れない年齢になったからでしょうか。
誰もが経験することかもしれないけれど、なかなかことばにならない、本当のこと…。
子どもでいられる幸せを改めて感じた元旦でした。
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