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グァカモーレ |
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2003年1月22日 |
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 | 雨宮 和子 [あめみや かずこ]
1947年、東京都生まれ。だが、子どものときからあちこちに移動して、故郷なるものがない。1971年から1年3ヶ月を東南アジアで過ごした後、カリフォルニアに移住し、現在に至る。 |
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▲ ブルーコーンチップですくい上げたグァカモーレ。赤いのはトマト。 |
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▲ ボストンから遊びに来た連れ合いの姪ヘザーも、グァカモーレが大好き。 |
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▲ なかなかいける、和風グァカモーレ。赤い粒々はイクラ。 |
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1月最後の日曜日はスーパーボウル(Super Bowl)、アメリカンフットボールの選手権決勝戦の日です。野球のワールドシリーズと違って、1回で勝負が決まってしまうので、前夜祭があったり、試合後のパーティーがあったり、スーパーボウルの週末はもう大変なお祭り騒ぎ。
こんなことを書くと、アメリカンフットボールの大ファンなのかと誤解されそうですが、とんでもない。あんなに立ったりしゃがんだりを繰り返すゲームのどこがおもしろいのか‥
それではなぜスーパーボウルのことを書き出したのかというと、実は、このスーパーボウルは、1年中で一番アボカドが消費されるスポーツのイベントなのです。ましてや、今年の開催地はアボカドの産地のサンディエゴ。ということで、4000万ポンド(約1万8000トン)のアボカドが消費されるだろうと、カリフォルニア・アボカド委員会(California Avocado Commission)は見込んでいます。
想像できます? 普通サイズのハース2個で約1ポンドですから、8000万個のアボカドですよ。つまり、スーパーボウルがあるとアボカド業者が儲かる。「風が吹くと桶屋が儲かる」みたいですね。(と言っても、若い人にはピンと来ないかな?)
なぜか? スーパーボウルはアメリカのプロスポーツの大祭典。開催地には全国からファンが押し寄せる。企業はスーパーボウルで顧客を接待する。スタジアムに行かれないアメリカ中のファンは、友だちと集まってワイワイとパーティー気分でテレビで観戦する。あるいは巨大なスクリーンのあるレストランやスポーツバーに集まる。観戦中は、ビールを飲み、グァカモーレをポテトチップやコーンチップといっしょに食べる。このグァカモーレの材料がアボカドである―という訳なんです。
グァカモーレ(guacamole)なんて言うと、どんなにエキゾチックな料理だろうかと思うでしょう? なんてことはない、アボカドをつぶして塩・胡椒・その他で味付けするだけなんです。が、「その他」というのが味の決め手かもしれません。これをディップ(dip)として食べるのがアメリカ人は大好き。ディップというのは、ポテトチップとか生野菜などにつけるもので、パーティーのおつまみにぴったり。グァカモーレはディップの中で一番おいしくて、一番栄養があって、一番簡単にできると、大人気なのです。
味付けは好きなようにやっていいんです。が、一応の目安として、私の作り方をご紹介しましょう。私はアボカドを1人につき1個の分量で使いますが、これもお好きなように。以下のレシピーは2人分です。
<作り方>アボカド2個を半分に切り、種を取って中身をくり抜き、アボカドの肉の部分をフォークでつぶす。(あまりスムーズになり過ぎるとおいしくないので、大きなツブツブが残ってよい。)それに、タマネギまたはワケギのみじん切りを大さじ2杯ぐらい、中ぐらいの完熟トマト1/4〜1/2を細かく切ったもの、ニンニク1かけを絞り器で絞ったもの、チリパウダーを小さじ1杯、レモンまたはライムの絞り汁少々を混ぜ入れ、塩とひきたての胡椒を加えて、出来上がり。連れ合いのトーマスは、盛り付けたグァカモーレに赤いケヨンペッパーを振りかけて、色どりよくするのが好きです。コリアンダーのみじん切りを振りかけるのもいい。
アボカドは酸素に触れると黒くなり、水っぽくなります。レモンやライムはアボカドが黒くなるのをある程度防いでくれますが、そう長くは利き目がないので、できるだけ早く食べてください。すぐ食べない場合は、ラップで表面が空気に触れないよう隙間なく覆っておくといいでしょう。それでも1晩はもちません。
メキシコのグァカモーレは、塩・胡椒とライム汁だけ。それもさっぱりしていて、なかなかおいしいですよ。メキシコ人はそれをディップとしてでなく、焼肉の添えとか、タコスの詰め物とかにして食べます。
カリフォルニア・アボカド委員会に消費量確認の電話を入れたところ、日本に向けて書くのなら「ジャパニーズ・グァカモーレ」のレシピーがある、と送ってくれました。大根、イクラ、ワサビを入れた和風グァカモーレなのです。世界中の食べ物が混じり合った新型料理(fusion food)を生み出したカリフォルニアの象徴みたいな料理です。試しに作ってみたら、これがかなりおいしいんです。 強いイクラの味にアボカドの微妙な味が圧倒されてしまうのが少々難点ですが、イクラの分量を減らせばいいかもしれないし、イクラを全く入れなくても、アボカドとワサビの組み合わせがとてもいける! 以下のレシピーで、塩とお酢とお醤油の括弧内の分量は私が調節したものです。
和風グァカモーレ(Japanese Guacamole) <作り方>スライサーで千切りにした大根1.5カップに小さじ1杯(半杯)の塩を振り掛け、1時間置いた後、水気を搾り取る。アボカド4個をつぶし、刻んだワケギを2/3カップ、イクラを1/2カップ、米酢大さじ1/4カップ(2杯)、しょうゆ大さじ2杯(1.5杯)、練りワサビ大さじ1杯、大根を加えて、出来上がり。
これ、カリフォルニア巻のように人気が出れば、第2のカリフォルニア産日本式料理になりますね。
ところで、8000万個のアボカドを一挙にグァカモーレにしたらどのくらいになると思います? 1.5メートル以上の厚さでフットボールのフィールドを端から端まで覆うくらいなんですって。これもカリフォルニア・アボカド委員会の計算です
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