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ガルテン〜私の庭物語
28 月出山と猫  〜王仁博士、「神仙・太極庭園」
2021年4月30日
原田 美佳 原田 美佳 [はらだ みか]

東京都出身。学生時代から長年関わった韓国文化院を2015年末に退職。現在は、日本ガルテン協会の広報部長の仕事をしながら、これまで関わってきた韓国文化を日本に紹介するための著作、交流活動を中心に自分のライフワークを模索中である。共著書に『コンパクト韓国』(李御寧監修)、『読んで旅する韓国』(金両基監修)、「朝鮮の王朝の美」、『朝鮮王朝の衣装と装身具』などがある。
▲ 月出山と王仁博士遺跡地に作庭した神仙・太極庭園
▲ 王仁博士の霊廟
▲ うぉるちゅるさん
王仁(わに)博士は、百済から応神天皇の時代に日本に渡来し、千字文と論語を伝えた人物として私たちの時代には歴史の教科書にも載っていた。若手の記者に王仁博士のことを話したときに、教科書にも載っているといったら、いまは、時代の信ぴょう性が疑問視されてか掲載されていないと言われた。

古代のことなので時代のずれなどはともかく、『古事記』『日本書紀』『続日本紀』などの史書には、王仁に関しての記述が存在し、日本に千字文や論語などが伝わり発展したのは確かなので、王仁博士に感謝して、韓国全羅南道霊岩(よんあむ)の月出山下の王仁廟のある王仁遺跡地に、「神仙・太極庭園」を日本ガルテン協会長が作庭することとなった。

秋に話がきて、翌春の王仁文化祭りに間に合わせて欲しいという工期が考えられないほど特に短かったところに、下見のときにお願いしていた石が現地にいったら使えなくなり大揉めしたり、雨続きで粘質の土に足をとられるなかでの作業などいろいろとたいへんだったが、現地の人々にも恵まれ、なんとか完成。開園式には、お世話になった方々とともに参加した。

その後、父に飼われた猫は、韓国の王仁博士の遺跡地の月出山にちなみ「うぉるちゅるさん」(月出山)と名付けられた。うぉるちゅるさんは、月出山の韓国語読みである。

うぉるちゅるさんは、前の家の台所のフードのところで暖を取るように小さな体でよく丸まっていた。そのうち、家の中を父が移動するたびに、どうしてわかったのか、表の部屋にいくと表に、裏の部屋にいくと裏の窓のところについてきて、寒いよというように見つめる。

我が家には、もともと数年前に田舎から飛行機で連れてきたモンドリアンという母猫と、彼女の息子のピルゼンがいた。行動を共にしなくともやはり親子なので、新たに猫を飼うのはどうかと思っていた。

とうとう大みそかの寒い日に入れてあげなさいという父のお許しが出たのである。
居場所を得て安心したのか、あのときのほっとしたような顔は忘れられないと、いまでもときどき母が思い出したようにいう。最初の正月3ケ日は、父の部屋のベットから出ることなく過ごした。

その後、徐々に慣れて家のあちこちに行くようになったが、父の帰宅時には必ず玄関で毎日、お出迎えした。めんどうみるのは主に母なのだが、小さい上に何かと立場が弱いうぉるちゅるさんの頼りは。やはり父である。父は子供の頃からいろいろな動物を飼ったそうだが、あれほど父に懐いた猫もいない。
生まれてからフードのところにいたせいか、気管支が弱く、よく病院にも通った。ともかく、死ぬ時まで父に孝行を尽くした。
父が思い出すうぉるちゅるさんの顔は、医者に点滴すれば、少し良くなって明日会えますよと、いわれて泣く泣く置いてきたときの病院での最期に別れたときのうぉるちゅるさんの顔だそうだ。

毎年4月に桜の名所でもある木浦からつづく全羅南道・霊岩では王仁文化祝祭が盛大に開かれるが、今年はコロナの影響で、オンラインでいろいろなイベントの模様が流れていた。
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