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かくてありけり
49 睡眠時無呼吸症候群
2008年4月18日
沼田 清 沼田 清 [ぬまた きよし]

1948年、新潟県生まれ。千葉大学工学部卒業。2008年、通信社写真部を卒業、以後は資料写真セクションで嘱託として古い写真の掘り起こしと点検に従事。勤務の傍ら個人的に災害写真史を調べ、現在は明治三陸津波の写真の解明に努めている。仕事を離れては日曜菜園で気分転換を図っている。
 いつのころからか、夜寝ていて息が苦しくなり深呼吸する夢を年に数回見るようになった。呼吸は心臓の鼓動と同じく、意識しなくても働くものだ。それがこのときばかりは意識的に胸を膨らますように深呼吸しなければならない。夢には甘美な夢と後味の悪い夢とがあるが、これは後者で、それも究めつけの不快さを伴うものである。横臥していて身動きができないので、私はそれを金縛りに遭うことと勘違いしていた時期もあった。

 それが夢ではなく現実に起きていることだと分かったのは数年前だった。ある日、居間で仰向けになって転寝(うたたね)中の私の呼吸が止まっているのに息子が気付いた。大きないびきをかいていたのがぴたりと止まり、寝息すら感じられない。びっくりして様子をみていたら、しばらくして深呼吸して元に戻ったという。目覚めてから聞かされて私も驚いた。素人の自己診断ではあるが、いわゆる「睡眠時無呼吸症候群」と思った。

 それから何年になるだろうか、忙しさにかまけてほったらかしのまま定年を迎えた。膝や肩にも故障が出てきたので、本腰を入れて健康チェックとリハビリに取り組むことにした。そんな折、新聞の広告で睡眠時無呼吸症候群のセミナー(無料)が都内であると知って、3月下旬に受講した。主催はこの病気の対症療法の器具を作っている会社であった。

 70人ほどの受講者は中年以上の人が多かった。大半の人が自覚症状があるようで、中には講演の最中(昼間です)にうとうとする姿も散見された。講師の専門医は、夜の睡眠が浅いので日中は眠気が出ますよねと理解を示した。肥満体の人、首が短くて太い人、あごが小さい人など、もともと気道の狭い人が仰向けに寝ると、咽頭の筋肉や舌が緩み気道がふさがれ、呼吸が途絶える。

 医学的な定義では、1晩7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こるか、睡眠1時間当たりの無呼吸回数が5回以上の場合は睡眠時無呼吸症候群とされる。たいていの人は呼吸が止まっていることに自分で気づかない。酸素不足になれば脳は指令を出して深呼吸をさせるので窒息死こそしないが、血中酸素濃度は低下する。エベレストの頂上にいるのと同じ状態という。身体に良いことはない。高血圧や心疾患、脳卒中などとの合併症の危険が高くなる。

 治療は、症状が軽ければ、減量して首周りのぜい肉を落とす、マウスピースをはめ下あごを前に出して気道を広くする、仰向けに寝ないで側位やうつ伏せで寝る、咽頭を切除するなどがある。重ければ睡眠時に鼻から空気を送り込んで気道を開くCPAPという装置を装着しなくてはいけない。これが結構うっとうしいようだ。

 私の場合は軽症なのか重症なのか?まずは1泊の検査入院が必要で予約を申し込もうかなと考えていた矢先、4月13日夜にNHK特集「病気の起源第1回 睡眠時無呼吸症候群」が放映された。これは切り口が大変面白かった。再放送があったら是非みることを勧めたい。

 それによると、この病気は人間に特有のもので、猿にはないという。進化の結果なのである。木の実や草木の枝葉を噛み砕いて食べていた原人はあごが発達していた。しかし石器を手にして狩を習得し、肉食をするようになって、あごが変化した。突き出ていたあごは後退し、幅も狭くなった。後ろに傾斜していた頭が垂直に立ってきたことで、口腔のスペースは小さくなり、気道が狭まった。無呼吸症になる宿命を負ったのである。

 ではあごの後退は悪いことだけなのかといえば、メリットもあった。人にできて猿にできないのはなにか?それは言葉を話すことである。言葉を獲得したことで人類は文明を高度に進化させてきた。それを可能にしたのは、狭くなった口腔内で上下の動きも交え舌を複雑微妙に動かすことを覚えたことが大きい。舌の形の変化はすなわち気道の形の変化であり、発音の種類が増して言葉へと発展したという。

 昨今の食生活は固いものを食べる機会がなくなり、人類のあごは細くなる傾向をたどっている。番組は、幼児にも無呼吸症候群が発生していることを紹介した上で、しかし人類がその叡知を働かせれば克服できると結んでいた。

 さて私はどう取り組むべきか。まずは専門科で検診を受けることだが来月になりそうだ。それまでは少しなりとも減量したい。努力目標は63キロの体重をまず3キロ減らす。そのためには晩酌のビールを止めるのが一番とかみさんは言うが、これは困難な道である。

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