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花見 |
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2018年3月31日 |
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 | 原田 美佳 [はらだ みか]
東京都出身。学生時代から長年関わった韓国文化院を2015年末に退職。現在は、日本ガルテン協会の広報部長の仕事をしながら、これまで関わってきた韓国文化を日本に紹介するための著作、交流活動を中心に自分のライフワークを模索中である。共著書に『コンパクト韓国』(李御寧監修)、『読んで旅する韓国』(金両基監修)、「朝鮮の王朝の美」、『朝鮮王朝の衣装と装身具』などがある。 |
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▲ 桜の咲く緑道 |
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急に花見シーズンがやってきた。
旅行に出かけた妹の家でお留守番している猫ちゃんたちを覗きにバスに乗った。 築地市場で買い込んだけっこうな荷物を抱えた私に、隣に座った婦人が「暖かくなりましたね」と声をかけてきて、ちょっとしたおしゃべりが始まった。 92歳で、百貨店で買い物をしての帰り。窓の外の花々を見て、終点の先にある桜の名所にも行ってみたいけれど若い人で溢れているでしょうし、今日は疲れたので家の近所で下車するという。
上野・銀座あたりでは、この花見シーズンに欧米や東南アジアからの旅行者も多く見受けられた。中国、韓国からの旅行者は、それぞれ年間700万人を超えているので、ほかの国とは比較にならないほど多いのだが、東アジア人同士、やはり見た目の違和感が少ないからだろう。
花見といえば、長屋の花見ではないが、卵焼きといった弁当や花見酒を持っていって愉しむのが江戸時代あたりからよくイメージされるが、海外では、桜の下を歩くというのがほとんどだそうだ。
奈良時代に中国から伝来した梅見から始まったといわれる日本の花見も、嵯峨天皇の神泉苑の「花宴の節」や足利義満の花の御所での花見、豊臣秀吉の「吉野の花見」、「醍醐の花見」と有名な花見もある。
韓国でさえ正月後の女性のお出かけで昔から花煎を作って楽しむことはあるが、以前は日本のような桜の下での宴会はほとんどないといわれた。 ところかわれば、文化もかわるである。
降り際には、家にも遊びに来てね、といい、婦人は笑顔で行かれた。
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