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僕の偏見紀行
78 シルクロードの旅(1)タシュケント到着
2009年10月20日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ タシュケントに近づく頃見えた山並み。天山山脈かと思って後で現地ガイドに確認したらそうだった。
▲ 到着したタシュケントの空港。空港内は撮影禁止のため、外から。
▲ ウズベキスタン最初の食事、メインの肉料理。牛肉の焼肉風、あっさりした味付けだがヒマワリの油が使われているらしい。
成田を発って9時間くらい経ったろうか、眼下の眺めが、それまでの濃い茶の砂の広がりから、雪に覆われた峰の連なりへと変っていった。これが天山山脈なのか、そしてその北側はるか遠くに広がる高原は天山北路だろうか。

永いこと憧れていたシルクロードにようやく来たという実感がわいて来る。その名を聞き、涼しげなオアシスの映像などに接すると、未だ行ったこともないその土地がどこか懐かしかった。

名も知らぬ古い町のバザールの人ごみを歩きたい。灼熱の砂漠に立って吹き来る風に吹かれてみたい。そんな他愛のないことを考えていた。

シルクロードといっても、東は中国、西はヨーロッパまで果てしなく広い。北路・南路と複数のルートをあまたの隊商が行き交い、東西の大軍勢が激しく駆け抜け戦った。様々な文化、宗教がぶつかりあい、いろんな国が興りそして滅んだ。

歴史にうとい僕には、その全容はとても理解できないが、とにかくその地のどこかに立ってみたかった。

手始めに、中国新疆ウイグル地区のトルファン・ウルムチあたりから入り、バザールでハミウリなどを食し、タクラマカン砂漠の砂の海を眺めてみたい。そう考えて旅行社へ行くと、生憎同地区は先般来の政情不安で要注意渡航先となっていた。

その先の中央アジア、ウズベキスタンあたりは安全で問題ないらしい。ウズベキスタンへは成田から直行便も飛んでおり便利だ。しかしそのあたりは旧ソ連邦に属していたところで、独立後も規制がいろいろとうるさいらしい。

隣国のトルクメニスタンは、入国には身元引受人と、旅行計画書の事前提出が求められるとのこと。さらにビザも大使館が日本にないため、入国時に国境で取得する必要がある。このあたりは治安が良く、世界遺産も山ほどあるけど個人旅行には不便なようだった。

調べるとウズベキスタンとトルクメニスタンを、ガイド付きで巡る9月末から13日間のツアーがあった。これに参加し、オアシスの街に残るイスラム建築群、砂漠に眠る古代国家遺跡などの世界遺産を訪ねることにした。

参加者は僕を入れて60代男性3名、30代女性1名の計4名。これに日本人ガイド1名が日本から同行、向こうで現地人ガイド1名が加わる。本当は8名は参加しないと採算がとれないらしいが、ともかく出発することが出来た。

同行者は女性もそうだが、アフリカ・エジプト・南米・新疆ウイグル方面の旅を極めた人ばかり、僕は新参者として末席に控えることにした。

ところでこのツアーは、旅行社による旅のハード指数(困難度)が最高ランクの三ツ星だった。まずウズベキスタンとトルクメニスタンの国境は、自分で全ての荷物を持って徒歩で緩衝地帯を越える。さらに通関手続きも、トルクメニスタンのビザの取得があるので時間がかかり、国境越えには3時間くらいかかる見込だ。

さらに、地方のホテルでは水周りに問題が多く、お湯が出るかどうか保障できない。トイレ事情も厳しく、砂漠地帯では青空トイレを覚悟しなければならない、等々大変だ。

しかし徒歩での国境越えは僕にはむしろ楽しみだった。自分で歩いて国境を越える旅をしたいものだ、と憧れてさえいた。今まで自分で歩いて国境を越えたのは1度きりしかない。

返還前の香港で、中国側に近い電車の終点まで行くつもりが、偶然買出しの大群衆に巻き込まれ、そのまま中国側に押し出されてしまった。この時は中国側で1日だけの特別ビザ、5000円也を発給してもらい事なきを得た。

しかし便秘症の僕は、トイレだけはゆったりとした清潔なところでないと少々困ってしまう。一抹の不安を抱いて僕は成田を発った。

成田からのウズベキスタン航空の直行便は、途中で関空に立ち寄り、11時間半くらいで首都タシュケントの空港に到着する。機体はかなり古く、リクライニングの具合が悪い座席もあった。

乗組員のサービスはきわめて事務的でさっぱりしたもの、座席や携帯電話に関する注意もうるさくない。日本での過剰なサービスや干渉に慣れた身にはありがたい。ただ暇な乗組員が客席で堂々と休憩するのには閉口した。乗組員の荷物も客より先に棚に詰め込んであった。

改革開放前の中国では、列車や船の食堂は乗組員優先だったと旅行記で読んだ記憶があるが、これもそのたぐいなのか。

タシュケント空港にはほぼ定刻午後5時40分頃に到着した。気温25℃、朝晩は冷えると聞いていたがそうでもない。空港の受入れ態勢はあまり効率的ではない。係員のバスへの誘導ミスで入国審査へ行くべきところが、乗り継ぎロビーへバスが着いてしまった。そこでなんの説明もなくかなり待たされてうんざり、ガイドが走り回る。

始まった入国審査も時間がかかる。中には入国者を途中でほったらかしにして席をはずす係官もいて、思わずそこのボスらしきおっさんに文句を言ってしまった。すると、何かロシア語らしき言葉で言い返されたけど、無視した。

さらに税関では、所持金等に関する申告書2枚を提出し、1枚返してもらった。これは出国時に必要なので、くれぐれも失くさないように、とガイドから注意。あわせて滞在中は、ホテルが宿泊毎に証明書を発行するので、それも失くすな、と重ね重ねの注意。入国早々疲れる話だ。

現地ガイドのオバサンに案内されて夕食のレストランへ行く。地元料理でなかなか美味しい。野菜サラダ風の前菜が数点、具沢山の野菜スープとメインの肉料理、焼肉風。羊かと思ったが牛らしい。ガイドにきくと羊より牛が安いからというのがその理由だった。それに大きなナンがついて、デザートは旬のスイカとメロンが山盛り。料理の味付けは塩コショウが主で、野菜や肉の素材の旨みがよく出ている。

隣のテーブルでは着飾った老若男女の一家が会食中、長老の誕生祝いらしい。舞台では熟年の男が哀調に満ちた歌を歌っている。言葉は分からないが、切ない想いが心にしみる。悲恋の歌かとガイドにきくと、老いてままならぬわが身を嘆く歌だった。

ホテルに着いたのは夜9時過ぎ、日本時間では午前1時だった。今夜だけは5ツ星ホテル、安心してお湯をお風呂一杯に張って入浴。肩までつかりながら明日からはどうなることやらと思った。(続く)
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94 ベトナム紀行(4)タイを追い出した町
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92 ベトナム紀行(2)暑い!ホーチミン町歩き
91 ベトナム紀行(1)「僕の1号線」はどこに?
90 マイ・センチメンタル・ジャーニー
89 シルクロードの旅(12)風の城、アヤズ・カラ
88 シルクロードの旅(11)「博物館都市」イチャン・カラ、ヒワ
87 シルクロードの旅(10)ちいさなリンゴ
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83 シルクロードの旅(6)国境越え
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81 シルクロードの旅(4)ブハラへの道
80 シルクロードの旅(3)アレキサンダー大王が来た街
79 シルクロードの旅(2)青の都サマルカンド
78 シルクロードの旅(1)タシュケント到着
77 小笠原の旅(7)惜別
76 小笠原の旅(6)小笠原海洋センター
75 小笠原の旅(5)母島列島
74 小笠原の旅(4)宝石の島、南島
73 小笠原の旅(3)ザトウクジラの海
72 小笠原の旅(2)BONIN ISLANDS
71 小笠原の旅(1)波路はるかに
70 インド紀行(7)タージ・マハルの光と影
69 インド紀行(6)ガンジス川の夜明け
68 インド紀行(5)夜行寝台「ハウラー・カルカ・メイル・2311号」
67 インド紀行(4)ダージリン滞在
66 インド紀行(3)ダージリンへの道
65 インド紀行(2)コルカタにて
64 インド紀行(1)遠かったインド
63 暮れの浅草昼酒
62 雨の東北、芭蕉と紅葉旅
61 南会津の旅◆扮の尾瀬沼)
60 南会津の旅 弁愡浚村)
59 奥日光戦場ヶ原
58 スコットランド紀行(5)いくつかの思い出
57 スコットランド紀行(4)偉大なり、ピーター・ラビット
56 スコットランド紀行(3)ネス湖からスカイ島へ
55 スコットランド紀行(2)ウォールフラワー
54 スコットランド紀行(1)エジンバラ大学でお茶を
53 風に吹かれて八丈島(3)
52 風に吹かれて八丈島(2)
51 風に吹かれて八丈島(1)
50 イリオモテヤマネコに逢いたくて(4)
49 イリオモテヤマネコに逢いたくて(3)
48 イリオモテヤマネコに逢いたくて(2)
47 イリオモテヤマネコに逢いたくて(1)
46 秋空の下、いくつかの再会
45 白神の森の宝
44 挑戦!乗鞍岳
43 北東北ローカル線の旅 (4)津軽じょんがらの夜はふけて
42 北東北ローカル線の旅(3) 雨の下北恐山
41 北東北ローカル線の旅(2) うみねこレール
40 北東北ローカル線の旅(1) 春のうららのドリームライン
39 50年の時を超えて
38 知床の秋(2)、ウトロにて
37 知床の秋(1)、鮭遡上
36 風に吹かれて尾瀬ケ原
35 白神山地「ブナの学校」
34 初夏の山形、サクランボとそばの旅
33 ハワイ島滞在記(2)
32 ハワイ島滞在記(1)
31 春の予感、鹿沢(かざわ)高原にて
30 嗚呼!還暦大同窓会
29 年の暮れ、奥那須で想う
28 ラムネの湯「長湯温泉」はいいぞ
27 また「再会の時」道後温泉にて
26 大自然の力、姥湯温泉
25 知床の青いそら、光と風 その
24 知床の青いそら、光と風
23 春の東北ローカル線の旅
22 春の東北ローカル線の旅
21 春の東北ローカル線の旅
20 上海点描
19 やさしかったチェジュの人たち
18 さらば、災の年よ。
17 僕たちのセンチメンタルジャーニー
16 台風を避けて信州へ
15 青島印象記
14 よるべない孤独にみちた宿
13 海があまりに碧いのです
12 安曇野の光と水、そして高瀬川渓谷葛温泉
11 鞍馬山の向こうへ、大悲山峰定寺
10 雪の会津鉄道トロッコ列車の旅
9 初春初旅救急車
8 年の暮れ、峩々温泉再訪記
7 東北紅葉旅峩々温泉
6 蔦温泉、蔦沼、ブナの森
5 雨の幕川温泉再訪記
4 憧れのフルム-ン法師の湯
3 信州塩田平別所温泉
2 信州信濃路
1 東北紅葉雪見風呂
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