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150 修学院離宮 Part 1
2015年2月12日
齋藤 恵 齋藤 恵 [さいとう・さとし]

1948年埼玉県生まれ、1970年に大学卒業後、時計メーカーの輸出部門に就職。8年間の勤務の後、宮仕えには向かない自身の性格を認識して、父の経営していた小売店 (創業1912年 = 大正元年)に転身しました。歴史、風土、絵画、言語等に関心が強く、駄文ながら文章を書くことがストレス発散の手段のひとつになっています。ささやかながら、会社を経営するというのはそれなりにたいへんです。ここに書かせていただくことは、そうしたストレスの大いなる発散のためですので、お読みになる方もどうぞお気軽に。
京都市街の北東のはずれ、一乗寺の北側に修学院という地名があります。その名前の由来は、平安時代、10世紀後半に、そこに比叡山延暦寺の別院の修学院という寺が建立されたことから来ているらしいのですが、南北朝時代にその寺は廃寺になり、地名だけが修学院村として残ったのだそうです。

その地域に、江戸時代初期の1650年代に広大な離宮が造営され、それは土地の名前を取って、修学院離宮と名づけられました。京都にある、もうひとつの離宮、桂離宮造営から30年余り後のことでした。

この離宮造営を命じたのは、当時の後水尾上皇でした。この人物は、天皇としての在位は1611年から1629年でしたが、退位後も1680年に84歳で亡くなるまで、上皇、さらに後には法皇として院政をしいていました。

なかなかの元気者で、徳川幕府が「公家衆法度」、「勅許紫衣(しえ)法度」、そして、「禁中並公家諸法度」等を公布して、朝廷の行動を規制し、宮中を幕府の意のままに操縦しようとする意図の中にあって、それに果敢に立ち向かって、幕府と宮中の緊張関係を作り出しました。結局、後水尾天皇の後は、幕府が宮中を完全に屈服させ、朝廷は幕府の管理下に置かれてしまったのです。(それが結局、1867年の大政奉還まで続いたわけです。)

その意味では、この人物は徳川幕府初期の、まだ朝廷が元気だった時代の最後の天皇、上皇と言ってよいのかもしれません。

ともかくこの上皇の命で作られたのが、54万平方メートル余(16万5千坪余)という広大な修学院離宮なのです。ちなみにあの桂離宮は総面積1万7千坪ですから、修学院離宮の広さは途方もないものです。

というくらいのことはおおよそ知っており、実際その周囲も何度か通ったことはあったのですが、なにせここは宮内庁の管理下にありまして、一般の寺社のように、行けばいつでも参観できるというわけではありません。事前申込みによる入場許可制で、1日の参観者数を制限しているのです。郵送とインターネットでの申込みの場合は、約3ヶ月前から開始される参観申込みをして、運よく空きがあればOKという仕組みです。

ところが、多忙な仕事をしている私達のような者には、3ヶ月後の旅行日程など決められるわけもなく、長年にわたり、桂離宮同様、参観をあきらめていました。それに、時折覗いて見るネット上の申込みページでは、近い日程で空きがあったためしがありませんでした。いつでも満杯なのです。

ところが、ふとしたことから知ったのですが、京都御苑内にある宮内庁京都事務所の参観受付窓口に実際に出向きますと、キャンセルもけっこうあることですので、前日までは申込み可能で、しかも、キャンセルに出くわす可能性はかなり高いというのです。

そこで先年、試してみました。まず早朝の新幹線に乗り、朝9時過ぎ頃、京都駅に到着しました。そして京都駅八条口にある、いつものレンタカー会社で小型の車を借りると、その足で参観係窓口に行きました。10時頃には着いたと思います。

窓口はまったく混雑もなく、スムースに申込みができ、期待通り、翌日10時からの修学院離宮参観券2枚を、いとも簡単に入手できました。参観料無料というのもけっこうなことでした。

必要なものは、代表者の運転免許証等の身分証明書1通だけで、これも至って簡単でした。(代表者1人につき合計4人まで可。それ以上は4人ごとに分けて申し込む。)

予報不可能な3ヶ月先の日が大雨だったりしたら困りますし、だいたい3ヶ月先にどこで何をするのかなど、私の場合、とても予測不可能です。

事務所は、京都御苑の烏丸通りに面した、乾御門(いぬいごもん)を入った所にあります。車でも行きやすい所ですし、これは便利な方法でした。事情通によりますと、ほとんどの場合、どこかに空きがあるとのことですので、これは活用できますね。

修学院離宮の場合、1回50人までの参観を1日5回実施するということですので、1日最大250人が参観できるわけです。基本的に週末や祝日は役所らしく参観休止となります。

という次第で、翌朝午前10時から始まった修学院離宮参観は、1時間15分ほどかかりました。離宮内の高低差40メートル近く、歩行距離約3.5キロという散策でしたが、離宮内部は期待以上のものでした。そのご紹介は、次の記事でさせていただきますが、普通の寺社の参観とは次のような違いがありました。

1)先頭は宮内庁職員の方1名が引率し、各所でガイドを行います。

2)最後尾には、皇宮警察官1名が(私服ですが)付き添い、入門人数と出門人数が異なることのないよう監視します。

3)最初の入門時には、皇宮警察官による参観許可書と参観者チェックが行われます。

でも実際に参観が始まってみますと、先頭と末尾の公務員さん達は、両者ともいたって気さくで、写真撮影はどうぞご自由に、なんなら記念写真のシャッターを押してあげますよ、とサービス精神満点でした。このあたりは税金を使って管理している側の気配りなのでしょうか?

では近日中に、離宮内部のご紹介をさせていただきますね。上の写真は、上から:

上段: 参観に来なければ写せない門の内側からの風景

中央: 下・中・上と3層に分かれている離宮の中の「上離宮」には、こんな大きな池があります。浴龍池(よくりゅうち)と呼ばれる池です。離宮内の最も高い場所にある池です。

下段: 浴龍池の西端は、西浜と呼ばれます。大刈込(おおかりこみ)と呼ばれる垣の向こうには、斜面を下って京都の街が見えます。松ヶ崎から、上賀茂、紫竹あたりになります。正面の山は鷹峯等の北山です。
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