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一夜が明けて |
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2016年11月10日 |
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 | 雨宮 和子 [あめみや かずこ]
1947年、東京都生まれ。だが、子どものときからあちこちに移動して、故郷なるものがない。1971年から1年3ヶ月を東南アジアで過ごした後、カリフォルニアに移住し、現在に至る。 |
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呆然、としか言いようがない。トランプが勝つ可能性はある、とは言われてはいたが、実際に起こるとは、開票が始まるまで想像もできなかった。主流のメディアは新聞もテレビもラジオも一様に、選挙の結果をどう受け止めていいか、戸惑っているようだった。
9年前の山火事でアボカドとパームが燃えてしまったときよりもっと大きな衝撃で、「とても信じられない」という言葉が、繰り返し口をついて出てきた。ほんとうに、信じられない。
国全体の経済は着々と向上しているとはいえ、一般市民、特に白人の労働者階層は自分たちの生活は一向に良くならないどころか悪くなる一方だと感じていることが、トランプ支持の基盤だということはわかっている。でも、でも、人間的にも最低の男を大統領に選ぶなんて‥‥ 私はアメリカ人の良心を過信していたのだ。ああ、なんということか‥‥
昨夜は眠れなかった。朝方ちょっと寝ただけで、しぶしぶ仕事を始めた。
何人かの友人から、私と同じ気持ちを表すメールが届いた。水道管の修理に来た配管工も、昨夜は夫婦揃って眠れなかったと言った。
せめてもの慰めは、カリフォルニアではしっかりとトランプを拒否した結果を出していることだ。民主党支持はアメリカの西海岸と東海岸北部に固まっている。いっそのこと、カリフォルニアはアメリカから分離して独立国になってしまえばいいのに、などと思ったりする。
さて、これからどうしたらいいのか。戸惑い続けている私です。
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