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かくてありけり
52 解約返戻金
2009年1月14日
沼田 清 沼田 清 [ぬまた きよし]

1948年、新潟県生まれ。千葉大学工学部卒業。2008年、通信社写真部を卒業、以後は資料写真セクションで嘱託として古い写真の掘り起こしと点検に従事。勤務の傍ら個人的に災害写真史を調べ、現在は明治三陸津波の写真の解明に努めている。仕事を離れては日曜菜園で気分転換を図っている。
 昨春、定年を機に加入保険の見直しを図った。最初の生命保険加入から30数年、子供たちは社会人になり、私も無事卒業を迎えることができた。もうこれからはスリムで行きたい。なにしろ収入も減ったことだし。生命保険は葬式代が出ればよい。がん保険はやめ医療共済一本で行くことにした。

 振り返れば、社会人になってから実に色々な保険や共済に入った。手始めは養老生命保険であったか。1回目の転勤先の名古屋支社に出入りしていた外交員の小母ちゃんに勧められた。独身だから保険なんて不要だと思ったが、「貯金代わりだと思って」と言われてその気になった。毎夜飲んだくれてばかりの身には、給与天引きなら可能かなと思えた。

 その後、結婚時に増額し、医療保険にも入った。子供が生まれてからはさらに増強した。報道写真の現場は危険と隣り合わせの場面も多い。飛行機事故や雲仙火砕流で同業の人が亡くなっており、明日はわが身という思いを常に抱えていた。もちろん業務上なら労災が適用されるが、妻子を路頭に迷わせたくない気持ちが勝って、手厚くしてきた。生活の幅が広がるにつれ傷害保険や火災保険、地震保険、自動車保険などの損害保険にも入った。
 これだけ色々経験済みなら、保険に関しては一通りの知識はあると思われるかもしれない。そうではなかったことが、昨年末に露呈した。

 がん保険は掛け捨ての「終身保険」であった。医療共済との重複感があったし、保険料の給与天引きがなくなり、自動振替の手続きが必要で、その辺も面倒な気がしてやめることにした。問題はその先であった。なぜか、私は、保険料を払い込まなければ自動的に解約されるものと思い込んでしまった。退職と前後して色々な出来事が重なり、その対応に追われていたこともあり、保険のことはなにもせず放っておいた。保険会社からは保険料納入の督促と、このままでは無効になるとの警告の文書が2、3回来た。そのつどさっと目を通しシュレッダーに。

 ところが暮れに届いた契約続行を勧める案内を読んだら、隅の方に「解約返戻金」について一行触れていた。「エーっ」と思った。「掛け捨て保険には返戻金はない」というのが私の認識であった。第一それまでの督促や警告の文書には解約返戻金のことなど一言も書いてなかった(と思う)。慌てて保険の契約書や説明書を探したがあるわけはない。とっくに処分していた。

 インターネットで調べたら、掛け捨てでも終身保険の場合は解約時に返戻金が出るらしい。保険の仕組みをよく理解せぬまま、勝手に思い込んでいた私が悪いのだろう。

 我ながら「お馬鹿だねー」とつくづく思った。弁護士をやっている幼友達の言葉を思い出した。法律では「不知はこれを罰す」となっていて、知らないことは免訴や救済の理由にならないと。平たく言えば、世の中、知らないと損をすることが多いですよと。世間知を付けなさい。そして相談できる専門家を友人に持ちなさいという忠告であった。

 そういえば数年前、お風呂の給湯器のパネルの表示が一気に暗くなり役に立たなくなったことがあった。もう寿命かとあきらめていたところ、かみさんがご近所の奥さんから聞いてきた。「先日の落雷で電気製品が故障したので火災保険で修理しました」と。時期は一致する。落雷被害に火災保険が使えるなんて全く知らなかった。早速手続きして、全額保険が下りた。ありがたかった。

 そんな経験がありながら、がん保険の解約での私の対応は落第であった。早くに代理店に電話を入れて話すべきだったのだ。そうすればしかるべき手続きの案内があり、解約返戻金の存在も知ったであろう。

 年末年始を挟んだが、解約手続きは無事に済んだ。保険証書を処分していたがパスポートと運転免許証のコピーを添えてOKになった。昨年春に遡っての解約が認められ、ささやかではあるが思いがけない臨時収入だ。さーて何に使おうか?かみさんと2、3日温泉旅行に行くか、それとも老朽化したエアコンの買い替え費用に回そうか?ともあれ「めでたさも中くらいなりおらが春」のスタートであった。

追記
 これまで色々な保険に入ってきましたが、その世話になったのは2回のみ。上記の落雷被害と、子供が野球をやっていて乗用車のガラスを割った時の修理代を傷害保険で出してもらいました。医療保険や生命保険の世話になることがなかったのは幸いでした。
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