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24 一生大事にしたい宝物
2014年7月17日
明子・ミーダー 明子・ミーダー [AKIKO MIEDER]

東京都小平市出身。5年間のOL生活の後渡米。カリフォルニアのサンディエゴに23年住んだ後、アイドルワイルドという小さな山間の町に引っ越し、現在アメリカ人の夫と猫3匹と田舎生活を楽しんでいます。サンディエゴから2時間の距離の町ですが、標高1800メートルの山の上の生活は、サンディエゴとは全く違います。そんなところでの日々の暮らし、感じたことを綴っていこうと思います。
▲ 学級通信『でこぼこ』と『くまのこ』
前回のエッセイに書いた里帰りの目的のひとつが、小学6年生のクラス会に参加することでした。8年前に、担任の先生の退職と還暦のお祝いを兼ねて、幹事の方達がクラスメートに連絡を取り(40年も経っていたので、これはかなり大変な作業だったようです)、かなりの人数が集まって盛大にクラス会が行なわれました。それまでは公にクラス会は行なわれていなかったので、40年ぶりに会う人もいて、とても思い出に残るクラス会となりました。それ以来、毎年クラス会が行なわれるようになり、私もお誘いを頂いていましたが、参加したい気持ちは山々でしたが、なかなか参加できずにいました。ですから、今回はとても楽しみにしていました。

もうひとつ楽しみだったのは、小学5年、6年の学級通信が本になり、先生から2冊の本をいただくことでした。小学5年、6年は、持ち上がりで、担任の先生もクラスメートも同じでした。5年の学級通信は「でこぼこ」、6年のは「くまのこ」。数年前のクラス会に、クラスメートの一人が保存していた学級通信を持って来て、先生に渡したそうです。今は退職なさっていますが、以前出版社にお務めになっていた先生のお兄様がそれを読み、「本にしよう」と言って下さり、出版の運びとなったそうです。クラス会の際に頂いた2冊の本は、きれいに装丁され、思っていた以上に素晴らしい本になっていました。

「でこぼこ」(命名は先生で、1年間にはいろいろなことがあるし、中には苦しいことも辛いこともあるけれど、みんなで力を合わせて「でこぼこな道」を乗り越えていって欲しいという願いが込められているそうです。)は、全148号。「くまのこ」(こちらも命名は先生。先生のあだ名がクマだったので、深く考えずに決めたそうです。)は、208号。単純に計算して、2日毎に1枚のペースで発行されたことになります!

学級通信は、主に私たち生徒が毎日書いていた日記から成っており、その他に学級での出来事、学級目標の取り組みの様子、学習したことの感想、行事の取り組みの様子や感想、保護者への連絡、参観日の感想(保護者も含めて)、国語で学習した詩や作文、歌(毎日みんなで歌っていた歌の歌詞)等、盛りだくさん。とても読み応えがあります。

最初は、自分の書いた文章を読むのは恥ずかしいな、と思いましたが、ひと通り読んで、当時の様子が鮮明に思い浮かぶこともあるかと思えば、こんなことがあったんだと思ったり。あの時はこんなふうに思っていたのか、何であんなことを言ったんだろう?とか、正直言って、自分がどんな子供だったのかわからなくなりました(笑)。例えば、「くまのこ」のある1ページの見出しは、「平元さんの涙を無駄にするな!」。平元は私の旧姓です。これは2号に渡って、私の思っていること、他の数人の人の思っていることが載っていました。どうやら、私が出席した班長会議で、私が提案したことを話し合うはずが、みんなふざけて話し合いにならなかったので、悔しいのとやりきれない気持ちから私が泣いてしまったらしいのです。私はこのトピックの中心人物であるにも関わらず、全く覚えていないのです。この時、どんな泣き方をしたんだろう?班長会議はどんなだったんだろう?等と考えても、全く思い出すことができません。もちろん、当時読んだ時と今とでは全く受け取り方が違うと思いますが、当時からしっかり筋の通った文章を書く人、大人顔負けの詩人がいたり、驚きました。また、全員の気持ちが純粋で、何に対しても一生懸命でまっすぐだったなと感じます。

この学級通信は、先生と生徒達の協力の下で成り立っています。私たちが日記を書かなければ発行できませんし、先生がガリ版を刷ってくれなければ、発行できません。そうです、学級通信は謄写版印刷、通称ガリ版印刷でした。ガリ版の上に蝋原紙をを載せて、鉄筆で文字や絵を書いて、出来上がった原紙を、今度は謄写版に貼付け、インクを付けたルラーを押して印刷します。わら半紙を一枚めくってまた印刷し、まためくるという作業の繰り返し。まさしく「手作り」の学級通信でした。今なら、コンピューターで全ての作業が行われ、文章をスキャンして印刷することも可能、誤字脱字も修正が簡単、イラストはストック写真からダウンロード、最近の進化したコピー機ならば印刷も瞬時にできるでしょう。当時先生が費やした時間の半分(1/4?!)の時間で作成することができるかもしれません。当時も先生に感謝していましたが、今は先生の熱意、情熱を感じ、感謝の気持ちでいっぱいです。

このように、これだけの数の学級通信を発行するだけでも超人的な先生でしたが、日々の授業の準備、私たちが毎日書いた日記の返事を書いたり、おまけに、週末に先生の家に遊びに行ったり、先生にはプライベートな時間は無かったのではないかと思い、今さらながら申し訳なく思います。「くまのこ」の冒頭で先生は「当時、私は、子供が可愛くて可愛くてたまりませんでした。子供に会いたくて、「何で日曜日なんてあるのだ」と思っていました。若さと子供に対する情熱だけで子供達に接していました。未熟でハチャメチャな教師に、子供達の方がよくぞ付いてきてくれたと思います。」と書いていらっしゃいます。この先生だから私たち生徒は付いていったんです。みんな先生が大好きだったから。

2冊の本を読んで、小学5年と6年の2年間はとても内容の濃い期間だったと感じます。いろいろなことを学びました。協調性、自主性、責任感、継続すること、差別をしないこと等、人格形成の基盤となることを学んだと思います。本当に、私たちは最高の先生に巡り会いました。

「聞くところでは、今の学校現場では、学級通信の発行についても、事前に管理職のチェックを受けなければいけないそうです。こんなところにも、教育の「管理が」強められ、自由が無くなっていくようで、心配です」とも先生はおっしゃっています。40年前のあの頃は「良き時代」だったんですね。

本の中で、「10年20年経って読んだ時に、小学校5年、6年の時にはこういうことがあったんだと思い出すだろう」とたくさんの人が書いていました。それが現実になったのです! お金を出しても買えない、私たちだけの宝物。思い出と共に、一生大事にしたいと思います。
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