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葉山日記
5 スペースシャトル
2003年2月4日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ これまで何度も通りすぎていたはずなのに見過ごしていたノレン。視野に飛び込んできたのは「ドバイ奮闘記」を読んでいるせいだろうか。念のため、これは「理・美容室」のサインです(神奈川県・葉山町)
スペースシャトルが空中分解して乗員7人が亡くなった。ショッキングな事故だが、この影響で宇宙飛行士希望者が減るということはないだろう。「夢」というやつはつねに「死」ととなり合わせ。夢を追うひとは、その代償として危険が近くにあることが分かっている。わかっていても夢の誘惑には勝てない。それゆえ夢を追った結果の死は美化される。僕のまわりには「月の表面を踏めたら地球に帰還できなくてもかまわない」とか「宇宙から地球を眺められたら死んでもいい」という「大のおとな」がまだけっこういる。

冒険心では人後に落ちないほうだが、空はだめ。旅客機のなかでは緊張で眠れない。「いつでも、どこでも」(これに「だれとでも」と付け加える悪友もいるが)眠れる自信があるのだが、飛行機だけはだめだ。理由を考えてみると、空の事故は一瞬だ。一瞬だから痛くも痒くもない、楽な死に方じゃないか、ともいえる。でも、自分のとっさの判断や機転がなんの役にも立たず、暴力的な外的要因で一瞬のうちに命を失う、ということがとにかく怖い。

ヘリコプター取材はそれこそ100回近く経験した。荒天で急降下、とかエアポケット突入なんて経験も何度かあるが、そういうのはなんともない。地上に激突するまでのわずかなあいだに、もしかしたら(可能性はかなり低いにしても)、脱出の可能性を考える時間がある、と思えるせいだろうか。それとも地面や水面がそばに見える、という安心感か。というようなわけで、狭い空間に閉じ込められて宇宙空間を旅する夢は僕にはない。狭所恐怖症もあるかな。とにかく怖い。

ではどんな死に方が理想か。
花いじりをしている。とつぜん急性心不全かなんかでばたり。土に頬をつけたまま「あ、なにが起きたのか」なんてうちに静かに意識が薄れていく、というのが理想。しかし僕の知り合いで、作物の生い茂る畑でまさにこういう死に方をして、そのまま1週間発見されなかったという人がいる。真夏の1週間である。これはごめんだなあ。「花に包まれ大往生」と「孤独老人、腐乱死体で発見」では大違いではないか。自分が死んだときの新聞見出しまで考えるところがかつてのブンヤのDNAであろうか。今回の宇宙飛行士の遺体(一部であっても)が地上までたどりつきすぐさま発見されたというのが、無惨ではあってもいくばくかの救いに思えた。そして瞬時の死であったことを願う。

冒険心というやつは生まれついてのDNAに規定されているのではないか、ということを最近考える。というのも、20代の若者に進路についての相談を受けることが多くなったからだ。
「会社をやめたいけれど踏ん切りがつかない」。
「外国で勉強したいけれどどうしたらいいだろうか」。

少し前の僕ならたいてい「意思なきところ道なし。ただ行動あるのみ!」とかなんとかいってやみくもに冒険心をあおった。しかし最近は別の言い方をするようにこころがけている。「家系はどう?」とか「貧乏に耐えられる?」とか「後悔しない自信ある?」とか。そして「結局は自分自身で決めることじゃないかなあ」と結論をぼかす。

「POSITION TALK」という英語がある。つまりひとは自分の立場を反映したり、守ろうとする発言を本能的にする、ということだ。「地方の道路整備は国の責任においてやるべきだ」というのは、これによって自らの立場や懐ろがうるおう政治家。「株はこれから上がる」というのは株を保有しているひと。「イラクとの戦争は正義」という大統領は、石油資本の代弁者。いくらでもある。「日本経済はいったん破綻させるべし」というのが僕の最近の考えだが、これ失うものが何もないから言える僕の「POSITION TALK」かも。

冒険を求めるひとが、安定を求めるひとに相談しても答は決まっている。安全を求めるひとが、冒険心のあるひとに相談しても答は決まっている。実は、相談者本人のこころは、無意識下で、またはDNAの世界で、相談する前からほんとうはすでに決まっているのではないかと思う。この本人無意識状態を論理化=言語化するために、ひとは他人のアドバイスを求め、自分の「POSITION TALK」を補強、武装しようとするのではないか。結局のところ他人への相談なんて意味ないし、オジサンの訳知り顔のアドバイスなんてたいした役には立たないのではないか…と思ったりする。

さいきんの僕は、自分の考えを一方的に話さず、彼らの内に潜むDNAを探りだすために、できるだけ話に耳を傾けようと努力をしている。そうしているうちに相手の「POSITION」があらかた見えてくる。そして若者が持っているであろう生まれついてのDNAに逆らわないような「アドバイス」をする。つまり相手が無意識に求めている結論に合わせる。

少し僕がずるくなったのか、歳をとって運命論者的になりつつあるのか、それとも人間の本質が少し分かってきたのか。その辺はよく分からないのだが…。
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