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2003年6月17日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ ドッグイヤー、といってもこちらはDOG YEAR ではなく、DOG EAR。大事なページに折を入れますね。あれがワンチャンが耳をペこりとやるのに似ているからだそうです。そういえば最近、IT業界筋の方からドッグイヤーという言葉が聞かれなくなりましたね。人生そうあくせくせず好きな本を読みながらのんびりいきましょう。
写真がインターネットの添付ファイルで簡単に送受信できるようになった。ではこの技術を活用した収益性の高いビジネスは実現可能だろうか。答えはNOだ。なぜなら技術が一定レベルに達し、その技術使用料がリーゾナブルになったということは、その技術自体が、だれでもが使いこなせる社会的共通インフラになりつつあることを意味する。電話やファックスと同じで、だれでも使える道具を使っただけではビジネスにはならない。

僕が10年前、写真伝送で苦しんでいた時期は、写真をデジタルで送ること自体がすごいことだったが、同時にコストも高くついた。先進性はあったがコスト的には見合わなかったのだ。いまではそのコストが急激に低くなり、デジタル伝送は素人でも簡単にできる。ということになってしまうと、地球の裏側の映像をいち早く入手できる、というだけではビジネスは成り立たない。

では写真とインターネットを組み合わせて、どうしたら新しいビジネスは成り立つのか。ここ10年そのことばかりを考えてきた。

写真をデジタル化し、データベースに蓄積して、それを出版社向けにオンラインで販売する。いちはやく取り組んだが、その試みは失敗した。その理由はしごく単純。ひとつはインターネットを使いこなせる編集者がきわめてすくなかったからだ。編集の世界は紙とペンで成り立つアナログの世界だ。人間は長いこと慣れ親しんできた習慣をかんたんには変えない。いや変えられない。

たとえていえば井戸水や川の水で生活できている村に、「大きなダムができました。水道管をひけばいまの生活はずっと便利になりますよ」とおすすめするようなものだ。便利になるだろうというのはだれにでも分かる。ところがこの水道管を引くには費用がかかる。蛇口がけっこうやっかいでコンピュータという機械を使わなければ水は出てこない。しかも村人は炊事と風呂の水があれば十分で、プールに水を貯めるわけではない。いまのやり方でそう不便を感じてはいないのだ。

ふたつ目。ダムをつくっても肝心の水を集めるのが大変だ。データベースに貯める水(つまりコンテンツとなる写真)はタダではない。写真家というコンテンツ所有者の同意が必要だ。たとえ同意してもフィルム画像のデジタル化が必要になる。このコストはダム(つまりデータベース)を建設する側が負担する。この事業の主体は、ダム自体の建設費用、そしてそこにためる水(コンテンツ)の制作費用を先行投資しなければならない。そして市場に向け水道管を敷設しなければならない(これは電話会社やプロバイダーの仕事だが)。しかしマーケットはその水道管がなければ日々を送れないわけではない。市場はまだほとんど未成熟といってもいい。

つまりインターネットを使ったコンテンツビジネスというやつは、世の中全体のデジタルインフラがすべてそろわないと先へは進めない構造になっているのだ。コンテンツ供給者、データベース運営者、通信キャリア、プロバイダー、コンピューターメーカー、そしてユーザーの意識。これらが少しずつ前へ進みながら、じわりじわり、知らず知らず世の中が変わっていく。

アナログからデジタルへの革命は、一足飛びに成就するものではない。ITバブルの崩壊はそのことをまざまざと教えてくれた。ドッグイヤーということばに追い立てられるように奔走したこの10年とはいったいなんだったのだろうか。

デジタル革命はこれから第2段階にはいっていくのはまちがいない。だがそこにおける具体的ビジネスとはいったいなんなのか。もう少しで見えるような気もするし、その答えは10年経っても見えないかもしれない。考えるだに、恐ろしい世界に飛び込んでしまったものだ。
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