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14 ドメイン −5
2003年6月19日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
▲ これ僕の日曜大工の作品です。さいきん週末はパソコンに触らず(あまり触りたくなく)、一心不乱に材木と付き合ってます。好きなことに集中していると不思議と突拍子もないアイデアが浮かんだり、ストレスがスカッと飛んでいってくれたりするのですね。
僕が勝手に「ITの師匠」と読んでいるMさんは以下のようなことをある媒体の対談で言っている。

「一時期、数字で時刻を表示するデジタル時計が流行りましたね。ところが、今そういう時計を使っている方は少ない。我々の実生活はアナログだということに気がついて、針で時刻を表示する時計に戻った。人間の脳は、オンとオフしかないコンピュータとは違います。我々は生命体ですからデジタルになるわけがないんです。アナログというのは命やあるときは意思を持った恐ろしく深い世界です。デジタルは高度なアナログに近似しようとする世界ですが、ものによってはアナログの限界を超えて役立っています」

僕が週末にパソコンに触りたくないのはどうしてだろう。デジタルが僕の脳を知らず知らず疲れさせるからだ。土に触れたり、緑を眺めたり、または材木をノコギリでひいているとき、限りなく幸せな気分に浸れるのはなぜだろう。これは生命体である僕自身が、生命体としての正しい活動をしていることの表れだろう。

この辺でとにかく僕がやってきたビジネスをもういちど白紙から捉えなおしてみたいと思う。

「ドッグイヤー」=ITビジネスの世界では犬の一生(10年くらい?)を1年くらいのスピードで走らねば落伍者になる。とにかく急げ、急げ。これってホントかな? なんだかムードを煽るだけ煽り、バブル崩壊前に株を売り抜けた仕掛け人がいるようですね。専門用語の羅列でケムにまかれる犠牲者たちのことを、Mさんは「ムッチ」と名づけた。つまり「無知」と「リッチ」の合成語で、「ニッチ」市場をもじったわけですね。

「コンテンツ」=インターネットビジネスではコンテンツがキーワード。コンテンツ=情報の中味、と説明されてみな分かったような気になっている。これって当たり前じゃない? 新聞や雑誌は紙の質ではなく、そこになにが書かれているかが勝負である。レストランは店構えではなく、まずはうまい物を食わせるかどうかが勝負だ。人は服装や顔ではなく、頭の中味や人間性が勝負である等々。ことさら「コンテンツ」などというまでもない。なんでITだけことさらコンテンツの重要性が強調されるわけ?

つらつら考えてみると、インターネット時代だろうとなんだろうとものごとの本質はなーんにも変わることはない。M氏と雑談を交わすなかでおもしろいことに気づかされた。

僕は写真フィルムを写真家から預かり(ストックし)その著作物の使用権を顧客に販売する(この商売のことをストックフォトエージェントビジネスという)ビジネスのオンライン化を長いこと考えてきた。フィルムというモノのやりとりをデジタルのやりとりに置き換え、時間と場所の限界をいっきに突き崩すところにビジネスチャンスあり、と見た。しかしM氏がおもしろいことを言った。「経済の世界にはストックマネーとフローマネーという考え方があるのに、写真の世界にはなぜストックフォトだけでフローフォトという考えがないのでしょう?」

まさにそうなのであった。写真をデジタル化し、データベースに蓄積し、顧客に検索してもらい、オンラインで販売する。これもストックビジネスの延長に過ぎないではないか。デジタル、インターネットという流行言葉でくるめると、なにやらまったく新しいビジネスが生まれたように見えるが、実は新しくもなんともない。倉庫に多様な商品をつみあげ、効率よく売る。それだけの話だ。「コンテンツ」というあまり意味のないキーワードに世の中が振り回されているのとどうよう、僕自身がここ10年デジタルの幻想に振り回されてきたような気がしないではない。

ほかに書きたいことが多々あるので、この項をそろそろ終わらせねばならない。結論は僕のドメイン=得意分野はたいしたものはないという、しごく単純なものだ。だが全く、ゼンゼンないわけではない。先のことが少しだけひとさまより見えるかもしれない。現にいま少しだけ見えてきた。ただし、見えているのにそれを金儲けにつなげる能力には決定的に不足している。この部分はその能力にすぐれている人とパートナーシップを組む必要があるだろう。ところがですねえ、この私、人をすぐ信用しすぎてしまう欠点がある。ビジネスマンとしては人が良すぎる、というご批判を受けることもある。その通りですねえ。

だがここでも、世間で当たり前にみたいに言われていることをあえて白紙で考えてみよう。人を信用する、人がいい、それでは優れたビジネスマンにはなれない。だとしたら、成功したビジネスマンとはいったい何者なのだろう。

僕のドメイン=拠って立つところ、は人間を信じること。この部分を動かすことはやはりできない。ただし、信じられる人間というのは、たぶん10%くらいしかこの世に存在しないであろうことも、ようやく気がついてきてはいるのだが…。
(この項終わり)
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