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葉山日記
18 便所の落書き
2003年7月22日
中山 俊明 中山 俊明 [なかやま としあき]

1946年4月23日生まれ。東京・大田区で育つが中2のとき、福岡県へ転校。70年春、九州大学を卒業後、共同通信に写真部員として入社。89年秋、異業種交流会「研究会インフォネット」を仲間とともに創設、世話人となる。91年春、共同通信を退社、株式会社インフォネットを設立。神奈川県・葉山町在住。

ニックネームはTOSHI、またはiPhone-G(爺)
「親なんか市中引き回しのうえ、打ち首にすればいいんだ」−と言ったのは、長崎の中1少年による4歳児殺害事件のあとの、鴻池・防災大臣。「勧善懲悪や節度の思想が戦後教育であまりにも欠落している。そういう戦後教育を受けた人がパパやママになっている」「こんなことをしたらえらいことになると、親に自覚させるためには、罪を犯した子供の親は全部引きずり出すべきだと思っている」などと語ったという。さらに鴻池さんは「加害者の人権を擁護する必要はない。子供が無理なら親が出てくるべき」とも発言している。

なんでもかんでも学校のせいにしてしまう最近の風潮には憂えるものがあるが、この発言はひどい。たしかに教育の基本は家庭。両親の責任はもちろん学校より重い。しかし、だからといってこの発言は許せるものではない。ところが鴻池さん、「不適切な言い方ではあったが発言自体は撤回しない」と強気である。「よくぞ言ってくれた」というメールが殺到している、と本人が語っているという。

このところ自民党の太田元総務庁長官が、早大生らによる女子大生暴行事件に関連し、「集団レイプをする人はまだ元気があるからいい」発言とか、森元首相による「子供も生まない女性が歳をとってから国の世話になるのはおかしい」発言とか、ひとむかし前なら大問題になって、本人がそれなりの責任をとらされても不思議ではない発言が相次いでいる。そのつど陳謝や撤回はするものの、いずれもご当人たち、こころから詫びている感じが伝わってこないのは、相当数の「声なき声」が彼らの発言を電子メールで支えているのではないかと、僕は危惧している。

「2チャンネル」という掲示板サイトがある。
http://www.2ch.net/
だれかがスレッドを立ち上げると、それに関連する投稿が次々に書き込まれる。ハンドルネーム(いわばペンネーム)による無署名投稿だから、筆者の年令、性別、職業などいっさい不明。それこそ言いたい放題、書きたい放題だ。1日数百万ヒットという超人気サイトだという。僕もときどきは覗いてみるが、そのつど強い不快感に襲われる。

長崎の少年逮捕のニュースとともに「2チャンネル」ウオッチを開始したが、案のじょう、少年の氏名(いくつかあったが、そのうちの1つが実名と思われる)飛び交った。「いよいよ発表、これが顔写真だ」と指定されたURLに飛んでいくと、これがポルノサイトだったり、「早く顔を見たい。出せ、出せ」という催促の書き込みが頻発したりと、人間のおぞましさ、いやらしさがみるみるうちに積み重なっていくのには吐き気を覚えた。

ひと言でいうと、きわめて下劣な井戸端会議の場が2チャンネルである。僕の敬愛するトロンの坂村健氏は以前2チャンネルを「便所の落書き的効用はある」と評価していた。換言すれば、社会の底辺でたまったフラストレーションのはけ口としての存在意義はある、またはインターネットの実験場としての意味はある、と彼は言いたいのかもしれないが、僕はみているだけでムカムカしてきて、なんら意味を感じたことはない。

人間がきれいごとだけで生きてはいけない存在であることは百も承知している。が、「便所の落書き」は狭い空間ににひっそりとしか存在しえない。ところがインターネット時代になると、かつては「便所の落書き」的であったはずのメッセージが数百万の目に一瞬にしてさらされる存在になった。このことを、文化的、社会学的にどうとらえればよいのだろう。

2チャンネルの管理人「ひろゆき」という人物の言い分が毎日新聞に掲載された。いわく「鴻池担当相が『加害者の人権を擁護する必要はない。子供が無理なら親が出てくるべき』と述べたように、加害者の人権をどこまで擁護すべきかというのは議論の余地があるように感じています」「マスコミが、12歳少年が通う中学校のHPを閉鎖したというニュースを流したのですが、長崎県の中学校の中でHPが閉鎖された学校は一つだけでした。おかげで、加害者の通う学校名は新聞社お墨付きの公知のものとなったわけです」「生徒に画像を配った中学校の教師もいるようですし、聖職者でその有様なのになぁ、という気はします」。

この「ひろゆき」さんの言い分に共通するのは、「みなさん2チャンネルを悪者に仕立てあげようとしているが、もっとひどい教育現場やマスコミをなぜ問題にしないのか」という論理展開だ。下品なことばだが「目くそ鼻くそをわらう」的論法そのものではないか。

テレビを見ていたら、土屋義彦・前埼玉県知事の長女で、政治資金規正法違反容疑で逮捕された市川桃子容疑者(53)について、かつての高校の同級生が後姿でインタビューに答えていた。「高校生の頃は、私はあなたたちとは違うのよ、といった感じでいつも顎をあげて威張るように歩いていた。逮捕を報をきいて正直ザマーミロと思いました」。

いっぽう八王子の公団マンションが初期の価格の3分の1で売り出され、応募に長蛇の列のニュース。これまた初期に高値で買わされた既存住民がTVのインタビューに応え、「安い値段でマンションを買う人のドアは色を変えたらいい」と言っている。そうでもしないと5千万円以上で買った私たち高給取りの「先住民」と、1800万円で買えてしまった「新住民」との「差」が分からないじゃないの、ということらしい。

いやはやなんと下品な国になってしまったことか。ほんらいたとえよぎったとしても、けして口に出すべきでない、または良心が打ち消すべき、人間の奥底のホンネや卑しい心が、マスコミとインターネットでどんどん拡散されていく。
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