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僕の偏見紀行
244 神々の棲む島(1)遠い国
2018年11月25日
時津 寿之 時津 寿之 [ときつ としゆき]

1945年、九州にて誕生。2010年4月65才で長年勤務したメーカーを定年退職。家族は息子2人が独立し、今は配偶者と二人暮し。趣味は読書、散歩、旅行。読む本は何でもジャンルを問わず、旅先も国内外を問わずどこでも、気の向くところへ。
▲ セミニャックのホテル、宿泊棟に囲まれた庭園とプール脇の散歩道。木陰は涼しい風が吹いていた。
▲ 同じく部屋からの眺め。朝食をとったプールサイドレストラン。
▲ おなじくホテル前面の宿泊棟と奥の宿泊棟をつなぐ通路。ここは直線だが、宿泊棟や庭園の一部が複雑で時々迷うことがあった。
久しぶりの香港空港、返還直前に訪れた時はまだ市街地にあって、飛行機は林立するビルの谷間に着陸していた。あれから何年過ぎたろうか.慌ただしい時の流れを思いながら巨大空港の長い通路を歩いた。

そういえば数年前、成田発台北経由ホーチミン行きのフライトが大雪で大幅に遅れ、台北乗継に失敗した。代替便が香港経由となり、その時もここを歩いた。果たしてその日のうちにホーチミンに到着できるか分からず、なれない深夜の空港で乗継便を待つのは心細かった。

今回は乗り継ぎ時間が10数時間あるので香港で1泊する。僕らは1泊分の着替えを詰めたリュックを肩にシャトルバス乗り場へ向かった。

ホテルは空港からバスで10分足らず、ホテルのシャトルバスが行き来している。バス乗り場は、事前の確認メールで分かっていたが、広い空港の中を辿り着くのは容易では無かった。トラムでターミナルを移動し、エスカレーターをいくつも乗り継ぎようやく指定のバス発着場へ辿り着いた。

そこはもうターミナルの外れに近かった。いくつかあるバス乗りは番号が表示してあるだけ、ホテルの送迎用専用のようだ。乗り場前のベンチで待っていると、次々にバスがやってきてはエアラインのスタッフや団体客を乗せて出て行く。

案内のアナウンスがある訳でもなく、時刻表も掲示されていない。ホテルのメールを信じて待つしかない。個人旅行で辛いのはこんな時だ。

15分ほど待ってようやくホテルのバスが到着した。そのボディのホテルマークが頼もしく見えた。ごく普通のミニバスで相客は中年の欧米系男性が二人だけだった。

バスは高層マンションやオフイスビルの立ち並ぶ通りを走り抜けホテルへ到着した。周辺は広大な埋め立て地らしく、清潔だが生活感がない。ホテルは駅やショッピングモールと直結し、便利だけど面白みに欠ける場所にあった。

なんでこんな1泊かけて乗継をするというスケジュールにしたのか、それはいつものことだが、夜間の長時間フライトを避けるためだ。自慢じゃないが時間だけはウマに食わすほどある、という僕らの立場を利用し、ひたすら楽な旅をするというコンセプトに基づいている。

勿論、今回の目的地バリ島へも直行便が飛んでいる。しかしどに便も片道は夜間のフライト、つまり機上で1泊しなければならない。その結果、往復とも香港乗継1泊ということになった。夜間の長時間フライトを避けるためなら、多少の時間と費用は仕方ない。

ところが香港のホテルの料金の高さにはまいった。空港に近い便利な場所には有名な国際ホテルチェーンしかなかった。その宿泊費は僕らが通常アジア旅で利用するホテルの2倍もする。しかし僕らはもういい年なんだから、たまにはいいんじゃないか、という結論に至った。

ホテルはさすが有名チェーン、清潔で行き届いたサービスだった。空港のすぐそばなのに騒音は一切聞こえなかった。なぜか冷房が強烈で部屋はしんしんと冷えこみ、ベッドもバスタブ冷たいのにはまいった。9月だから冷房するのは分かるがここまではやりすぎだ。

翌朝少し早めにチェックアウトしてバスで空港へ向かった。ホテルの朝食が高いので空港で食べることにした。空港とはいえさすが香港、あちこちに美味しそうな店が並んでいる。小籠包の店を見つけてそこへ入った。

中華の点心として日本人が異常に珍重する一品だが、僕はちゃんとしたところで食べたことが無かった。一口食べるとさすがに香港、こくのあるツユが溢れ、もっちりした皮とひとつになって口に広がる。思ったよりサッパリとした味わいが美味しい。

乗継便は予定より遅れて香港を出たが4時間半の順調なフライトの後、バリ島デンパサール空港へ到着した。口コミによると、空港内には勝手に荷物を運んだ上、チップを要求するような輩もいるらしい。僕らはちょっと緊張して降り立った。

入国手続きはスムーズに終わり、預けた荷物も無事出て来た。口コミにあった怪しげな人物にも出会わなかった。見知らぬ国へ初めて入国する時はいつも緊張するが、特に問題も無くて良かった、と安心した。ところがそれは甘かった。

ホテルへ向かうタクシーが問題だ。この空港のタクシー料金は交渉制ということだ。メーターで走るタクシー会社は1社あるらが、空港には乗り入れていない。だから比較的安心なのは空港内にカウンターを構える前払いタクシーだという。

タクシーカウンターはすぐに見つかった。ところが驚いたことにここでも料金は交渉制だった。ガイドブック情報ではカウンターに方面別料金表が掲示してあるとあったが、そんなものは見当たらない。客引きの兄ちゃん達と交渉するしかない。しかもそんな業者が数社あって、それぞれが喧しく客引きをしている。

近くにいた兄ちゃんにホテル名を告げ料金を尋ねるといきなりとんでもない金額が返ってきた。驚いて他の業者にも尋ねたが言い値は様々で埒が明かない。いくらかまともな料金を応えたところと交渉を重ねるとようやく15万ルピア(約1200円ほど)まで下がった。

交渉するのにも疲れたのでここらで手を打った。しかしホテルまでタクシーで30分くらいというから、バリの物価からするとまだまだ高いと思う。兄ちゃんたちの言い値は、は45万ルピアから15万ルピアまであった。通常、空港の前払いタクシーは大体決まっており、業者によってばらつきがあるのは珍しい。

タクシーは順調に走ってほぼ予定通りの30分でホテルに到着した。ビーチリゾートで有名なクタからちょっと北上した同じ海岸沿いのセミニャックに僕らはホテルをとった。

クタはバリ島における海洋レジャーのメッカとして有名なところで、世界中から大勢の観光客が押し寄せるている。特に近くのオーストラリアからの客で賑わい、メインの大通りは混雑と喧騒に満ちているという。

そこで僕らはクタより静かといわれるセミニャックで数日間のんびりるつもりだ。その後はもっと北上し山間の高原にも近いウブドの町でゆっくり過ごす予定にしている。

ホテル正面はカフェになっており、その奥にフロントがあった。さらにその先にはプールや庭園や宿泊棟が見えている。なんだか入り口は狭いが奥が深いウナギの寝床のような造りだ。

ところがこのホテル当初思ったよりはるかに奥が深かった。最初のプールと庭園を抜けると凝った造りのレストラン、スパなどが並んでいた。さらにその奥にはまた庭園と一プールがあり、それを宿泊棟が囲んで建っている。僕らの部屋は奥の宿泊棟にあり、慣れるまでこみいった通路で迷子になることもあった。

案内された部屋に落ち着いた僕らは備え付けのポットでお湯を沸かし、持参した日本茶を淹れた。お茶の香りにほっとした。2日前の早朝、家を出てからすでに36時間が過ぎていた。(続く)
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90 マイ・センチメンタル・ジャーニー
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81 シルクロードの旅(4)ブハラへの道
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79 シルクロードの旅(2)青の都サマルカンド
78 シルクロードの旅(1)タシュケント到着
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76 小笠原の旅(6)小笠原海洋センター
75 小笠原の旅(5)母島列島
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73 小笠原の旅(3)ザトウクジラの海
72 小笠原の旅(2)BONIN ISLANDS
71 小笠原の旅(1)波路はるかに
70 インド紀行(7)タージ・マハルの光と影
69 インド紀行(6)ガンジス川の夜明け
68 インド紀行(5)夜行寝台「ハウラー・カルカ・メイル・2311号」
67 インド紀行(4)ダージリン滞在
66 インド紀行(3)ダージリンへの道
65 インド紀行(2)コルカタにて
64 インド紀行(1)遠かったインド
63 暮れの浅草昼酒
62 雨の東北、芭蕉と紅葉旅
61 南会津の旅◆扮の尾瀬沼)
60 南会津の旅 弁愡浚村)
59 奥日光戦場ヶ原
58 スコットランド紀行(5)いくつかの思い出
57 スコットランド紀行(4)偉大なり、ピーター・ラビット
56 スコットランド紀行(3)ネス湖からスカイ島へ
55 スコットランド紀行(2)ウォールフラワー
54 スコットランド紀行(1)エジンバラ大学でお茶を
53 風に吹かれて八丈島(3)
52 風に吹かれて八丈島(2)
51 風に吹かれて八丈島(1)
50 イリオモテヤマネコに逢いたくて(4)
49 イリオモテヤマネコに逢いたくて(3)
48 イリオモテヤマネコに逢いたくて(2)
47 イリオモテヤマネコに逢いたくて(1)
46 秋空の下、いくつかの再会
45 白神の森の宝
44 挑戦!乗鞍岳
43 北東北ローカル線の旅 (4)津軽じょんがらの夜はふけて
42 北東北ローカル線の旅(3) 雨の下北恐山
41 北東北ローカル線の旅(2) うみねこレール
40 北東北ローカル線の旅(1) 春のうららのドリームライン
39 50年の時を超えて
38 知床の秋(2)、ウトロにて
37 知床の秋(1)、鮭遡上
36 風に吹かれて尾瀬ケ原
35 白神山地「ブナの学校」
34 初夏の山形、サクランボとそばの旅
33 ハワイ島滞在記(2)
32 ハワイ島滞在記(1)
31 春の予感、鹿沢(かざわ)高原にて
30 嗚呼!還暦大同窓会
29 年の暮れ、奥那須で想う
28 ラムネの湯「長湯温泉」はいいぞ
27 また「再会の時」道後温泉にて
26 大自然の力、姥湯温泉
25 知床の青いそら、光と風 その
24 知床の青いそら、光と風
23 春の東北ローカル線の旅
22 春の東北ローカル線の旅
21 春の東北ローカル線の旅
20 上海点描
19 やさしかったチェジュの人たち
18 さらば、災の年よ。
17 僕たちのセンチメンタルジャーニー
16 台風を避けて信州へ
15 青島印象記
14 よるべない孤独にみちた宿
13 海があまりに碧いのです
12 安曇野の光と水、そして高瀬川渓谷葛温泉
11 鞍馬山の向こうへ、大悲山峰定寺
10 雪の会津鉄道トロッコ列車の旅
9 初春初旅救急車
8 年の暮れ、峩々温泉再訪記
7 東北紅葉旅峩々温泉
6 蔦温泉、蔦沼、ブナの森
5 雨の幕川温泉再訪記
4 憧れのフルム-ン法師の湯
3 信州塩田平別所温泉
2 信州信濃路
1 東北紅葉雪見風呂
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