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きょう一日を穏やかに
5 イネイブリング
2017年3月6日
永島 さくら 永島 さくら [ながしま さくら]

東京で生まれ長野で育ち、現在夫の転勤で新潟で暮らしている。平凡を当たり前に暮らしてきたが、身辺にここ数年さまざまなことが起こり、自分自身の生き方、考え方が変化してきた。きょう一日をふつうに暮らせることの大事さを悟り、ほんの小さななんでもないことにも感謝できるようになった。そんな日々の自分の暮らし、気持ちを伝えていきたい。
ギャンブル依存症の息子は昨年の1月から就労プログラムに入り、回復施設からアルバイトに行き始めた。4月には2年近く入所していた施設を出てアパートで暮らしながらアルバイトを続けていた。そして自分の収入で生活をはじめ、私たち夫婦が毎月支払っていた20万円近い入寮費用も不要になった。
 
安心したのもつかの間、9月になると息子がアルバイト先のレジからお金を盗み行方不明になったと連絡があった。目の前が真っ暗になった。ひと月後、息子は警察に捕まった。

その後、弁護士から「示談にしないか」と話があった。私たち夫婦は前回は、息子の職場の上司、弁護士、警察から「息子さんも反省している。将来のことも考え、ここは穏便に済ませた方がいい」と言われ、示談にした。

しかし、自助グループや施設家族会に通い、ギャンブル依存症問題を考える会で活動するようになってから、「ギャンブル依存者は、誰かが代わってイネイブリングを続ける限りギャンブルをやめられない」と学んだ。イネイブリングとは肩代わり、尻ぬぐいのことだ。

つらい選択だったがが本人のためにならないので、今回は示談は断った。友人に示談を断った事を話すと、よく決断したと感心された。しかしイネイブリングをしてはいけないと頭では分かっていてもすぐに決断できるわけもなく、昼も夜も頭の片隅に「示談」の文字がちらついた。

しかし、息子になんとか立ち直ってほしいし、親が現実を冷静に受け入れないかぎり親自身が病んでしまう。本当に本当につらい決断だったが「突き放す」ことにした。
 
息子は、起訴され裁判となり執行猶予がついた。そして2か月近く拘留された。本人から弁護士を通じて手紙が来た。「たびたび迷惑をかけて申し訳ない。更正施設に入りもう一度、依存症と向き合いたい。可能なら力をかしてほしい」と。出所後息子は新しい施設にはいった。
 
私は息子の裁判の少し前にアメリカ西海岸に住む姉の家に行く予定があり、すでに航空券も予約してあった。キャンセルしようかと悩んだ。ギャンブル依存症問題を考える会の代表に相談したところ「行ってきたらいい」と勧められた。

「息子が起こした事件は息子が責任をとるものである。家族が予定を変える必要はない。海外にいても弁護士と連絡をとり合い、釈放日、時間が分かればわれわれが迎えに行き施設に連れて行く」と言っていただいた。また、「この際アメリカのギャンブル依存症対策はどうなっているか勉強してくるといい」とまで言っていただいた。
 
私は行く決心をした。
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