|
|
|
23 |
|
 |
|
「四絶」とも呼ばれる特産品 龍井茶 |
|
2020年11月2日 |
|
|
|
 | 原田 美佳 [はらだ みか]
東京都出身。学生時代から長年関わった韓国文化院を2015年末に退職。現在は、日本ガルテン協会の広報部長の仕事をしながら、これまで関わってきた韓国文化を日本に紹介するための著作、交流活動を中心に自分のライフワークを模索中である。共著書に『コンパクト韓国』(李御寧監修)、『読んで旅する韓国』(金両基監修)、「朝鮮の王朝の美」、『朝鮮王朝の衣装と装身具』などがある。 |
|
|
 |
|
▲ 茶葉博物館の前にて |
|
 |
|
▲ ある茶葉農家にて龍井茶を見る。 |
|
|
中国上海・蘇州には家族で何度も出かけた。 中国庭園を見て回ったり、銭塘江の大逆流を観たり、西泠印社で書道道具を観たりと、まだ兌換券を使っていた頃だったが、自由な旅だった。 また、蘇州には、庭園研究会の代表の解説付きで中国庭園を見て回ったり、人間行動研究会の旅行にも家族で参加したりもした。
緑茶は移動中の列車の中でも烏龍茶よりも一般的な感じだった。一般には、水筒の代わりにコーヒーなどの空瓶に茶葉と熱湯を入れて蓋を閉めて持っていて、飲んでは少なくなると熱湯をつぎ足し飲んでいた人が多かった。中国では熱湯を列車などでも無料でくれた。日本の緑茶と異なり、お湯に入れっぱなしでもけっこう長い間、味も変わらず飲める。
現地で飲んだ龍井茶<ろんじんちゃ>がとくに美味で、気に入った。 この龍井茶は、杭州の緑茶で、葉が平たいのが特徴で、色、馥郁たる香り、いくらでも飲めるすっきりした味、姿の4つのすべての要素が完璧に揃っている「四絶」とも呼ばれる特産品である。 「天下第三泉」の一つに数えられる名泉である「虎跑泉(こほうせん)」の名水で淹れると龍井茶が最高に美味しいということだった。 虎跑泉は、西湖と銭塘江の中間に位置する。西湖の名水で淹れた龍井茶を蓋つき碗で、庭園を眺めながら頂くと絶品だったろう。
お茶は町でもけっこう見せてもらったが、茶葉博物館のミュージアムショップで龍井茶を見つけたときに、ここで販売されているならおいしいに違いないと、一期一会ではないが、もう次はないという気持ちでけっこう買い込んだ。 父も弟も同じように買っていて、それをみていたガイドさんが、そんなに龍井茶に関心があるなら茶農家に行ってみましょうかというので、連れて行ってもらうことができた。 けっこうな山道を行くと、茶農家の前には高級外車が何台も停まっていて、なかでは今日出荷できるお茶の奪い合い状態だった。 試飲もさせてもらい、少し買うことができたが、味はミュージアムショップのものとは、同じものとは思えないくらい天と地ぐらいの差があった。こんなことならこっちのを買えばよかったと思ったが、あちこちで茶葉を買っていたからこそ、この味にも出会えたと思い直した。 それにしても高級車で茶畑までも出かける中国人のあのお茶にかける情熱の片鱗を見る思いだった。
|
|
|
|